顧客は、あなたのブランドや製品について、本当はどう思っているのでしょうか。友人に薦めたくなるほど気に入ってる?もう一度買ってくれる可能性は?
顧客体験(CX)のプロにとって、この問いは極めて重要です。結局のところ、サービスに満足していない顧客や、製品が気に入らなかった顧客は、リピーターにはならないからです。
その上、SNSで簡単にレビューを投稿できるようになったおかげで、否定的な体験はあっという間に多くの人に共有されます。すでにご承知のとおり、顧客の意見を理解し、不満の種となっているギャップをすばやく埋めることは、最優先課題です。
そこで、Net Promoter® Score(NPS)の出番です。この記事では、NPSのメリットとデメリットを探り、以下の点について触れます。
顧客のロイヤリティレベルを理解するシンプルな方法と言えば、なんと言っても、顧客へのNet Promoter Score(NPS)アンケート送信です。NPSは、顧客満足度を測定し、顧客が友人に推奨するほど自社を気に入ってくれているかどうかを評価するシステムです。
測定に使う質問は、ただ1つ。「[X社]を友人や同僚に勧める可能性はありますか」というものです。
これに対し、顧客は0~10の尺度で回答します。この尺度に基づいて、回答者を「批判者」、「中立者」、「推奨者」の3つのカテゴリーに分類します。
自社のNPSは、Net Promoter Scoreの計算やNPS計算カルキュレータ、もしくは次の数式で手軽に算出できます。
時間を節約したい場合は、スプレッドシートではなく、NPSアンケートテンプレートを使いましょう。Net Promoter Scoreの計算をSurveyMonkeyに任せ、Salesforceで追跡することも可能です。浮いた時間でフォローアップ計画に力を注ぎましょう。
関連トピック: NPSアンケート: 回答率を上げるベストプラクティス
NPSは、顧客満足度の追跡と、改善に向けた戦略の実行に必要なツールを提供します。基本となるNPSの質問は、自社ブランドを利用してポジティブな体験をしたかどうかを顧客に尋ねるものです。回答の数値が高い人は素晴らしい経験をしており、友人に薦める可能性が高いことが分かります。
マーケティングはどのような形のものにも役割がありますが、特に見落とされがちなのが口コミです。実際に、57%の顧客が、嫌な体験をしたと友人から聞いた企業との取引はやめるだろうと答えています。NPSでターゲット層を理解し、顧客体験を向上させて、この作業を繰り返しましょう。
顧客ロイヤリティと顧客満足度は、事業運営を成功に導く上での主要な2つの柱です。しかし、「満足」という抽象的な感情を数値化することは難しく、多くの企業の課題となってきました。そこで登場したのが、NPSです。
NPSは顧客満足度を、驚くほど単純な質問を使って解き明かします。顧客がどう感じているかを理解しようと大量の質問を投げかける代わりに、すべてを凝縮した、たった1つの質問を提示するのです。
これで、顧客ロイヤリティと顧客満足度を示す、シンプルで、定量化もベンチマークもできる数値が導き出されます。この最初の数値を手に入れたら、対策を講じて変更を加え、CXへの影響を再度測定します。
このようにNPSを繰り返し測ることで、社内での変化が顧客にどのような影響を及ぼすのかが目に見えるようになります。やがて、すべてのタッチポイント(顧客接点)で優れた顧客体験を提供できるようになるでしょう。
まずはNPSのメリットを検討し、結果を事業運営に役立てる方法を見てみましょう。
代表的なNPSのメリットの1つが、作成・送信・理解が非常にシンプルな点にあります。
このアンケートは手軽にメールで顧客に配信したり、自社のWebサイトに掲載したりすることができます。計算式も簡単で、単純なスプレッドシートを使うだけで直感的に計算できます。それも面倒な場合は、SurveyMonkeyのNPSテンプレートを使って、SurveyMonkeyにお任せください。
関連トピック: Net Promoter Scoreの計算方法
NPSプログラムの鍵は、世界中の企業で使用されている標準的な測定法だということです。そのため、自社のNet Promoter Scoreを簡単にベンチマーク化し、競合企業の中での立ち位置を確認することができます。業界の他社のスコアと比較することで、自社のスコアの意味が明確になります。
たとえば、自社のNPSが61で業界平均が70だった場合、競合企業に対抗するにはさらに努力が必要なことがわかります。一方、自社のスコアが70で競合他社がすべて60台前半だったら、顧客は非常に満足していると言えます。
しかし、スコアが高かったからと言って、のんびりできるわけではありません。むしろ、高いNPSを獲得したときこそ、アンケートをもう一つ実施して、どうすればさらに改善できるかを推奨者に尋ねる絶好のチャンスです。
この方法だと、製品やサービスを購入した後でも、顧客のニーズに応えたいというブランドの積極的な姿勢が伝わります。また、引き続き推奨者であり続け、中立者に後退しないよう予防策を講じることにもなります。
関連トピック: 顧客ロイヤリティと顧客維持率の改善
NPSの回答を選んだ理由を説明する追加情報を求めると、実際の対策につながる実用的な洞察を引き出す、幅広いデータが得られます。
NPSフィードバックが提供する実用的な洞察は、ビジネスの改善分野をピンポイントで示します。たとえば、特定の製品に対する顧客満足度が他の製品より低い場合、このNPSについて詳しい説明を求めることで、その製品の改善方法が分かるかもしれません。
時間をかけて改善を続け、顧客体験のあらゆる側面をくまなく強化していきましょう。NPSから実用的な洞察を引き出せば、成功への道筋を描くことができます。
NPSは顧客ロイヤリティの測定に便利なだけではありません。高いNPSスコアを維持すると事業の成長にもつながります。高いNet Promoter Score、リピート購入、および収益の増加の間には強い相関関係があることが、多くの研究によって明らかになっています。
SurveyMonkeyの調査によると、CX担当者の40%がNPSを利用して収益を改善しています。この調査では、企業がNPSを主要な指標として使用すると、このスコアの改善に焦点を当てるようになるため、事業の成長が加速することが示唆されています。
NPSは、顧客満足度と社内業務に関する事業の健全性を監視する優れた方法です。高いNPSスコアは、以下のような要素と密接に関連しています。
NPSの向上に注目すれば、顧客体験を積極的に改善し、生涯顧客を獲得することができます。
このように、多くのNPSのメリットがありますが、同時に、認識しておくべき重要な欠点もいくつかあります。
次はNet Promoter Scoreのデメリットを見てみましょう。
Net Promoter Scoreを批判する人々は、顧客ロイヤリティを理解するうえでは役立つものの、顧客が批判者である理由を明確に特定できないといいます。
顧客が企業のある側面を好んでいない理由を理解しようと思ったら、より具体的な市場調査アンケートや顧客満足度アンケートを使って必ずフォローアップしてください。NPSアンケートの配信は、顧客ロイヤリティの理解に向けた確実な一歩です。しかし、NPSシステムの効果を最大限に生かすには、フォローアップの計画を立てる必要があります。
非常に低いスコアが出た場合を考えてみましょう。次に何をしますか?より詳しいアンケートを送って問題を特定する?ロジスティクスの問題が顧客の不満につながっているなら、それを修復するリソースはそろっていますか?
適切な質問をすれば、いつでも解決策が見つかります。同様に、より具体的なトランザクショナルNPSアンケートを作成して、顧客が以下を推奨するかどうかを尋ねることもできます。
NPSアンケートの作成に役立つアンケートのサンプル質問と利用例も、ぜひご参照ください。追加の文脈をできる限り提供し、NPSと他の質問を組み合わせることで、このNPSのデメリットは解決できます。
関連トピック: NPSの批判者、推奨者、中立者をフォローアップする方法
NPSのもう1つの注意点は、推奨者に焦点が当てられすぎてしまうことです。推奨者はもちろん重要な要素ですが、中立者や批判者にも同様に目を向ける必要があります。
企業によっては、中立者だけ完全に見過ごしているかもしれません。批判者へのサービスを改善し、推奨者のロイヤリティをさらに高めることだけに対策が偏ってはいませんか。もちろんこれも一つの方法ではありますが、これでは自社に対する顧客ロイヤルティの全体像を把握することはできません。
推奨者の数は多ければ多いほど良いので、推奨者に注目しがちですが、他の顧客カテゴリーも忘れないでください。
NPSアンケートをいつでもフォローアップして、批判者や中立者からより多くの情報を得ましょう。フィードバックループを閉じて、満足させていない分野を改善できれば、すぐに推奨者に変身させられます。
NPSアンケートの使い方を極めると、ただの優れたアンケートに留まらない効果が生まれます。すなわち、この顧客ロイヤルティ指標をビジネスに最大限生かすには、推奨者、中立者、批判者の声に耳を傾けることが不可欠です。
関連トピック: NPSの批判者を推奨者に変える方法
顧客の期待と体験は国によって異なります。世界にはさまざまな文化的基準や考え方があり、実施する地域によってNPSに大きな差が出るのも不思議ではありません。特に、複数の国に事業を展開しているグローバル企業の場合は、場所によってNPSがどのように異なるかに注意する必要があります。
SurveyMonkeyのレポート、「明らかになった世界のNPS」によると、消費者のNPSは国によって大きく異なります。たとえば、ブラジルとインドでは、企業に対する消費者の満足度が非常に高い傾向があります。平均NPSはブラジルが62、インドが51でした。業界の専門家は、50を超えれば非常に優秀と判断するので、両国の平均的な消費者は非常に満足していると言えます。
これとは対極の結果が出るのが日本の消費者で、平均Net Promoter Scoreは-52でした。この数値はどの業界でみても低い数値で、NPSが国によってどれほど異なるかを顕著に示しています。
さらに、SurveyMonkeyの調査では、キードライバーが国によって異なることも明らかになっています。たとえば、米国では品質がNPSのキードライバーですが、日本ではイノベーションです。フランスでは使いやすさが最も重要な要素であるのに対し、オーストラリアではデザインが何より優先される傾向があります。
文化的背景によってNPSスコアがどのように変化するかを理解することで、これらの違いに正しく対処しやすくなります。
NPSの最もおすすめの活用方法は、他の主要なロイヤリティ指標と併せて実施し、顧客の声(VoC)プログラムを成功させることです。そこで、顧客の問題、ロイヤリティ、満足度を測定できるNet Promoter Score以外の指標をご紹介します。
全体的なCSATの値は、満足している(4または5を選択した)顧客の数を出し、その数を回答者の総数で割ってから、100を掛けて算出します。
CSATは人気の顧客体験指標ですので、比較できる業界ベンチマークがあります。ACSIのWebサイトでは四半期ごとのベンチマークを提供しており、同業他社と比較した立ち位置を判断するのに役立ちます。
CSAT指標を使って次のことができます。
CSATは、顧客ロイヤルティと顧客満足度を実証する貴重な指標として、NPSの強力な代替手段となります。
究極ガイドを読んで顧客満足度スコアの詳細を確認するか、SurveyMonkeyのCSATテンプレートを使って早速アンケートを作成してみてください。
カスタマー エフォート スコア(CES)は、顧客がどれほど手間なくやり取りできているかを測定するツールです。CX指標はタッチポイントにある障害を特定するのに役立ちます。顧客体験の課題をより深く理解し、改善点についての洞察を得ることを目的としています。
カスタマー エフォート スコアは一般的に、顧客の期待に照らして次のように測定します。
「[ここにタスク/操作を挿入]は簡単でしたか」と尋ね、次の回答選択肢を提示します。
その後、「どうすればもっと簡単になると思いますか」という自由回答形式の質問を加え、CESを理解します。
カスタマー エフォート スコアを追跡すれば、顧客の手間を最小限に留め、満足度を最大化することができます。最も重要なタッチポイントでCESアンケートを使用して、プロセスを合理化すべき領域を特定しましょう。
SurveyMonkeyのカスタマー エフォート スコアのテンプレートを使って始めましょう。
購入手続き画面は、サイトの中でも特に重要なページの1つです。顧客が支払い中に問題に直面したり、取引を完了できなかったりしては、ビジネスの資金を獲得できません。さらに、顧客の81%は抱えた不満を家族や友人と共有するため、購入プロセスを改善することは最優先事項です。
購入体験を評価する最善の方法は、購入フィードバックを集めることです。買い物客がチェックアウトを終えた直後に素早くアンケートを起動し、表示しましょう。
これで、エラーや手間取った部分を具体的に知らせる機会を提供しつつ、購入手続きがどの程度簡単だったかをすばやく評価してもらえます。このデータを迅速に実用的な洞察へと変換し、購入手続きの改善に役立てましょう。時間をかけて繰り返し改善することで、顧客体験を強化し、必ずや満足度の向上につながります。
カスタマーサービスは、顧客満足度を高め、維持する上で最も重要な要素の1つです。およそ90%の消費者が、お気に入りのブランドのカスタマーサービスは重要なポイントと答えています。
カスタマーサービスのフィードバックを集めれば、顧客はサポートを受けた体験を評価することができます。担当者が問題を解決できたかどうか、そしてその有効性を評価してもらいます。このプロセスは自動化し、特定のアクションが実行されたとき(たとえば、サポートチケットが「終了」とマークされたとき)にカスタマー サービス チームからフィードバックを収集することもできます。
その後、このデータから洞察を導きだし、データに見られる傾向やパターンをすばやく見つけ出しましょう。選択式の質問で改善の余地がある領域を特定するだけでなく、自由回答形式の記述内容を分析して、実用的な洞察を得ることもできます。
カスタマーサービスが改善されれば、顧客のフラストレーションが減り、ロイヤリティが高まるでしょう。
関連トピック: カスタマーサービスを改善し、顧客維持率を高める5つのヒント
以上で見てきたように、NPSは顧客ロイヤリティを測定する効果的な方法です。顧客が自社や製品についてどう感じているか、総合的に把握することができます。
一方、NPSには文脈がわからない、文化によってスコアが異なるなどの欠点もあります。けれど、欠点は念入りな計画と調査によって乗り越えることができます。そうしてNPSで収集できる実用的な洞察を測定、監視、改善して、カスタマージャーニー全体で顧客体験を向上させるために生かしてはいかがでしょうか。
NPSがこれほどまでに広く使われているのには理由があります。頼りになる最も効果的な顧客体験指標の1つだからです。まだNPSを使っていない方は、今こそ試す最高のタイミングです。専門家が作成した無料のNPSアンケートテンプレートを使って今すぐ始めましょう!
顧客満足度アンケートテンプレートですばやくデータを集め、問題を特定し、顧客体験を改善しましょう。
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Net Promoter、Net Promoter Score、NPSは、Satmetrix Systems, Inc.、Bain & Company Inc.、Fred Reichheldの登録商標です。