リッカート尺度とは?リッカート尺度は、意見や認識、行動を確実に測定する方法です。使用方法と結果の分析方法をご紹介します。
「そう思う・思わない」形式のアンケート質問は、市場調査で広く使われていますが、回答の裏にある微妙な気持ちを捉えたいときは、リッカート尺度の質問を使うとより細かなデータが得られます。
リッカート尺度は、意見や意識、行動などが範囲全体のどこに位置するかを測定し、強い同意から強い反対まで、気持ちの強さを把握する体系的な手法です。回答者がどの程度同意しているか、どの程度満足しているか、行動する可能性がどの程度あるかを調べ、ちょっとした満足(「まあまあ」)と強い熱意(「大好き」)を区別することができます。
このガイドでは、リッカート尺度の基本的な機能、適切なポイント数の選び方、わかりやすく回答しやすい質問を書く方法をご紹介します。
リッカート尺度は、意見や意識、行動などが範囲全体のどこに位置するかを測定し、強い同意から強い反対まで、気持ちの強さを把握する体系的な手法です。
リッカート尺度では、リサーチ担当者やアンケートを行う人が、個々の意見、心理、意識の微妙な違いを効果的に数値化して把握できます。たとえば「この製品は好きだけど、大好きというほどではない」と思っている人は、「まあまあ好き」というリッカート評価を選ぶでしょう。
製品に対する消費者の意識を単純に「好き」と「嫌い」に分けることもできますが、リッカート尺度を使えば、「好き」だけでなく「大好き」まで、詳しい程度を調べることができます。
効果的なリッカート尺度の質問を作成することは、単なるベストプラクティスにとどまりません。統計的に有効で、実用的でもあるアンケートデータを生成するために必要な絶対的な基盤です。
リッカート尺度をうまく機能させるためには、包括的でバランスの取れた選択肢を用意し、「強く反対」から「強く同意」まで、意識の全範囲をカバーする必要があります。
正確な方法を学ぶことで、パワフルで信頼性の高いインサイトを引き出し、中立なフィードバックに過ぎなかったデータを、確信の持てる戦略的な意思決定に役立つような有意義なインプットに変えることができます。
リッカート尺度の効果を最大にするには、正確な言い回しをすること、つまりただの記述文だけではなく質問することが大切です。
記述文(たとえば、「サービスはすばらしかった」)を使った場合、重大な落とし穴である黙従バイアスに陥ります。回答者は、どちらかと言えば反対するより同意する傾向にあるため、肯定的な回答が多くなり、データに歪みが生じます。この深層心理に根差した傾向に対処するために、項目を直接的な質問として表現しましょう。たとえば、「このサービスに対してどの程度満足していますか」と聞きます。
バイアスだけでなく、あいまいな言い回しもデータの有効性を損ないます。全般的な意見を、有益で実用的なインサイトに変えるためには、変数を厳密に定義しなければなりません。たとえば、レストランのサービスを評価するなら、ただ「サービス」について聞くのではなく、次のように細かく分けて聞くようにしましょう。
調べたいことを正確に表現することで、大雑把ではなく焦点を絞った質問をし、信頼性の高い測定や自信を持った意思決定に必要な精度を達成することができます。
すべての質問に標準の「そう思う・思わない」を使うと、正確なデータが得られない場合があります。効果的なリッカート尺度を作成する秘訣は、測定しようとしているコンセプトに一致した回答のラベルを用意することです。
ラベルの選び方によって、測定全体の意味的な文脈が決まります。正確な回答を引き出すためには、測定したいコンセプトに合った言葉使いが大切です。
同意は、信念を測定するには適していますが、細かな違いを捉えられない可能性があります。回答者が「私はアプリを毎日使用する」に「そう思う」と答えた場合でも、1日に何回使用しているのかはわかりません。中核であるコンセプトに合ったラベルを作成することは、曖昧さのない、信頼性の高いデータを得るためのシンプルながらも強力な手段です。
双極の構造とは、中立的な姿勢の中間点を基準として、どちらかの方向に位置づけられます。この中間点は、相反する感情の共存や中立状態を意味します。たとえば次のような質問です。
基調講演の内容は、役に立ちましたか、役に立ちませんでしたか。
単極の構成では、ある感情の程度が問われ、中立的な中間点は存在しません。その感情があるかないか、あるならどの程度か、を調べます。 たとえば次のような質問です。
あなたの職場では、どの程度発言しやすいと感じますか。
リッカート尺度の質問は、顧客満足度から従業員エンゲージメント、製品体験フィードバックまで、ほぼすべての種類のアンケートに見られます。
データの品質を偶然に任せるのはやめましょう。以下の5つのベストプラクティスは、成功へのロードマップです。これにより、すべての回答者に選択肢を正しく解釈してもらえるようになり、結果としてフィードバックの信頼性や実用性が最大限に高まるだけでなく、フィードバックを組織の測定可能な推進要因に変えることができます。
スピーディーかつ自信をもってアンケートを作成するための心強い味方が回答ジーニアスです。回答の種類を選択するだけで、あなたの質問にピッタリの回答選択肢をまとめて自動入力してくれます。
段階の数は、得られるデータのきめ細かさだけでなく回答者への負担をも左右する重要な要素です。
数を選ぶときは、奇数と偶数のどちらにするか、双極と単極のどちらにするかを考えます。
トピックの複雑さとターゲット層の状況を考慮した上で、回答の品質を犠牲にせずに正確で信頼性の置けるデータが得られるようなバランスを見つけることが大切です。
研究調査からは、尺度の設計によって回答行動が変わることが示唆されています。どれが適切かは、質問の内容とターゲット層によって異なります。
調査によれば、5~7段階にすると信頼性・有用性・明瞭さのバランスが取れたデータが得られるということです。ある調査は、特定の状況では7段階が有効であるとしていますが、5段階を超えればほとんど差は見られないとする調査もあります。判断の基準は、細かさと回答者への負担のバランスです。
| 質問の内容 | 単極・双極 | おすすめの段階数 | 使用する場面 |
| 同意の程度を中立なしで測定する | 双極 | 4 | 中立の回答が無意味か、望ましくなく、どちらかの方向で答えてもらいたいとき |
| 記述文への同意 | 双極 | 5・7 | 意識を測定しい場合、中立の回答にも意味がある場合 |
| サービスに対する満足度 | 単極 | 5 | すばやく簡単に体験を評価したいとき |
| 機能の重要度 | 単極 | 5・6 | 優先順位付けの練習 |
| 行動する可能性 | 単極 | 5・7 | 意思に関する質問(たとえば、購入の意思) |
| 行動の頻度 | 単極 | 5 | 習慣や使用状況 |
| 満足度に関する詳細で専門的な調査 | 単極 | 10 | きめ細かく調べたいとき(ただし10が上限) |
| NPSロイヤリティ | 数値(双極) | 11(0~10) | ベンチマーキングしやすいロイヤリティ追跡 |
ヒント: 回答者にとって新しいトピックである場合や、回答者がスマホでマルチタスキングをしている場合のことを考慮し、5段階の尺度を使うと、すばやく明確に答えてもらえます。
リッカート尺度の能力を実感していただくために、さまざまな感情の測定に役立つ効果的なサンプル質問を8つ用意しました。以下の例では、異なる尺度を使って満足度や同意、重要度、頻度などの重要な指標を測定しています。
この4段階のリッカート尺度は、双極で、記述文への同意の程度を測定します。中間点をなくすことで、回答者に同意するか同意しないかを強制的に選ばせ、明確な方向性のあるフィードバックを得ることができます。
製品を適切なタイミングで提供しているという点に同意しますか。
この7段階のリッカート尺度は、双極で「まったく同意しない」から「強く同意する」までの幅広い選択肢を提示し、記述文への同意の程度を測定します。幅広い選択肢を使うことで、感情の微妙な差を捉えることができます。
「会社は従業員のキャリア育成のサポートをしている」という意見に同意しますか。
この5段階のリッカート尺度は、単極で「まったく満足していない」から「大いに満足している」までの選択肢を提示し、顧客満足度を測定します。選択肢は、回答者によるその属性の体験の程度を反映します。
当社のサービスのスピードにどの程度満足していますか。
この6段階のリッカート尺度は、単極で「まったく重要でない」から「とても重要」までの選択肢を提示し、重要度を測定します。中間点がないことで、回答者は、どちらかの方向で答えなければならず、その項目がどれだけ重要かを明確にすることを余儀なくされます。
あなたにとってサービスのスピードはどの程度重要ですか。
この5段階のリッカート尺度は、単極で「まったくない」から「大いにある」までの選択肢を提示し、今後の行動の可能性を測定します。選択肢は、回答者がその行動を取る可能性の程度を反映します。
今後、会議に参加する可能性はどの程度ありますか。
この5段階のリッカート尺度は、単極で「まったくしない」から「いつも」までのような選択肢を提示し、特定の行動の頻度を測定します。この質問により、回答者が特定の行動をどの程度頻繁に行っているか、あるいは特定のイベントがどの程度頻繁に生じているかをすばやく数値化できます。
レポートダッシュボードを使用する頻度を教えてください。
この10段階のリッカート尺度は、単極で「まったく満足していない」から「大いに満足している」までの選択肢を提示し、満足度を測定します。段階の数が多いため、満足の程度をきめ細かく区別した回答が得られます。
当社の配達のスピードにどの程度満足しているかを、1~10の数値でお答えください。1は最も低い満足度、10は最も高い満足度を表します。
この11段階の数値尺度は、Net Promoter Scoreを計算するために標準化されたもので、顧客に、会社を他の人に薦める可能性を0(「まったくない」)から10(「大いにある」)までの間で評価してもらいます。
当社を友人や同僚に勧める可能性はどの程度ありますか。
回答が集まったら、SurveyMonkeyが無料で提供しているNPS計算ツールを使ってNet Promoter Scoreを計算すれば、すぐにスコアを確認して業界のベンチマークと比較することができます。
リッカート尺度のアンケートの完成は大きな一歩ですが、それに続くステップはさらに重要と言えるもので、入手したデータの正確な分析を必要とします。
このプロセスは、パフォーマンスを正確に数値化し、アンケートが目標とする分野の有効な指標を導き出すために重要です。
個々のリッカート尺度の質問は、順序尺度のデータとして扱い、段階が等間隔であると想定することなく順序を重視しなければなりません。
まず分析の始めに、各回答カテゴリの度数と割合を計算し、分布を特定します。
次に、データから棒グラフを作成します。その際、カテゴリーを否定的なものから肯定的なものへと正確な順序で並べ、分布の形状が一目でわかるようにすることが大切です。
生データを実用的なインサイトに変換するには、次の3つのステップを実行します。
回答のばらつきを数値化するには、四分位範囲を使用します。四分位範囲は、データの変動性を示すロバストな指標で、外れ値を除外しつつ、回答の散らばり具合を示します。
正規分布を仮定する標準偏差とは違い、四分位範囲は、リッカート尺度のような「段階」に適しています。
概要を大まかに把握したら、詳しく分析するために、グループ間で回答のフィルタリングと比較を行います。それにより、感情の違いが以下のような二次変数に基づくかどうかを特定することができます。
リッカート尺度のデータのグループをクロス集計すれば、何が起こったかを描写するにとどまらず、誰がその結果の促進要因となっているかを理解する段階に進むことができます。
結果を明確に伝えるため、また、エグゼクティブサマリーを作成するために、元のカテゴリーをより幅の広い少数のグループにまとめます。市場調査では、一般にトップボックスの次のような方法を使用します。
よく使われる方法で、効果が高いのは、肯定的・中立・否定的という3つの大まかなカテゴリーを作成することです。それには、トップ2ボックスとボトム2ボックスを作成し、中間の選択肢をそれ1つで中立のカテゴリーとします。
このプロセスは、レポートをシンプルにするだけでなく、感情の全体的な方向を強調します。また、長期的な追跡にも特に有効です。
適切なアンケートグラフの種類を選べば、関係者に「全体像」と詳細の両方をすばやく把握してもらうことができます。次のようなグラフが一般的です。
よく考えて作成したリッカート尺度でも、体系的なミスのせいでデータ品質が低下することはあります。現実を正確に反映したアンケート結果を得るためには、このようなミスを特定して修正することが大切です。ここで、陥りやすい5つの落とし穴と、その修正方法をご紹介します。
質問の関連性が低いときや、回答者が明確な答えを避けたいときは、中間点(たとえば、「どちらとも言えない」)が回答の大部分を占めてしまいます。中間点を多用すると、真の感情が把握できない可能性があります。
修正方法:
選択肢のラベルがあいまいだったり、区別しにくかったりすると(「良い」と「すばらしい」など)、回答者にとって最も適切なカテゴリーを選ぶのが難しいため、測定エラーにつながります。
修正方法:
すべての段階に区別しやすい具体的なラベルを付けます(たとえば、「あまり満足していない」・「やや満足している」・「かなり満足している」・「大いに満足している」)。尺度の全段階にラベルを付けることで測定属性が改善されることは、多くの調査で証明されています。
二重質問は、2つの異なる概念を1つの質問にまとめたものです(たとえば、「価格は適正で品質は高かった」)。一方には同意するが他方には同意しないという回答者にとっては、正確に答える術がありません。
修正方法:
質問を分割して2つの質問を作成します。上記の例で言えば、価格に関する質問と品質に関する質問に分けます。
「低→高」だった尺度がアンケートの途中で「高→低」に変わる(左端が「まったくそう思わない」だったのが、「強くそう思う」に変わる)など、選択肢の順序に一貫性がないと、混乱を招き、測定エラーの要因になります。
修正方法:
アンケート全体で両極を統一させましょう(たとえば、否定的な極を必ず左側にする)。やむを得ず変更する場合(たとえば、逆転項目を使う場合など)は、短い指示を表示して回答者の注意を促します。
これは、回答者が、特にデリケートな話題に関して社会的に期待されている、または望まれていると感じる姿勢を故意に誇張した場合に生じるバイアスです。
修正方法:
リッカート尺度を使って漠然とした意見を明確な指標に変換するには、適切な極と適切な段階数を選び、正確な質問を作成し、分布を要約(平均だけでなく)する必要があります。リッカート尺度は、調査やフィードバック収集に使える最も汎用なツールの1つです。5段階で満足度を測定する場合も、10段階で信頼度を測定する場合も、質問の書き方やデータの分析方法、結果の解釈方法がわかっていれば、信頼性の高い実用的なインサイトが得られます。
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