世界最高のエアコンを開発しても、南極で売るのは難しいでしょう。同じことが、あらゆる製品やサービスに当てはまります。どれほど良いものであろうと、適切なターゲット市場を見つけないことにはビジネスとして成立しません。
そこで重要になるのがマーケットのセグメント化です。このマーケティング戦略によって、既存の顧客や今後獲得したい顧客を種類別に分け、正しい製品と正確なメッセージでアプローチできるようになります。
それでは、市場セグメント化の定義、セグメント化を通じてターゲット市場を見つける方法、顧客をより深く知るための市場セグメント化アンケートの種類について見ていきましょう。
SurveyMonkey Audienceは、常に130ヶ国、1億7500万人を超える回答者を擁したアンケートパネルです。
市場のセグメント化とは、幅広い層の人々やターゲット市場を、特定の共通要素に基づいて複数の消費者サブグループに分けるプロセスです。セグメント化の基準となる共通要素には、デモグラフィック(年齢、性別など)や地理的な位置、意識、行動などがあります。
市場のセグメント化とターゲット市場の関連性とは
1人の人物が複数の集団に属していることもあります。ある集団と同じ興味やニーズを持ち、別の集団と同じエリアに住んでいたり、他の集団と同じ年齢だったりするかもしれません。これらのサブグループは、すべてブランドや会社が分析を行う市場セグメントになりえます。
セグメント化戦略が事業によって大きく異なる理由
たとえばレインコートを販売するとしましょう。男性、女性、子供といったデモグラフィックセグメントは、それぞれ大きく異なる嗜好を持っている可能性があります。同様に、地理条件によってセグメント化すると、シアトルやマウシンラムといった雨の多い地域に住む人が、アリゾナやアデレードに住む人とは異なる観点からレインコートを捉えていることがわかるでしょう。
異なるセグメント(およびセグメントの種類)が持つ意味を理解すれば、顧客プロファイルを作成し、製品開発から広告展開までのあらゆる取り組みを達成することができます。
市場セグメント化のメリットに注目してみましょう。
ターゲット市場のセグメント化に時間を投資することによって、メリットがもたらされます。
おいしいチョコレートの新作ができあがったとしましょう。ターゲット市場にアピールするには、どうすればよいでしょうか。最も効果的なアプローチは、ターゲット市場の消費者がどんなチョコレートを好むか、どのような動機で新製品を購入するかを調べることです。しかし、味の好みや購入の動機は、消費者の特性によって異なるはずです。たとえば、お菓子作りが好きな人なら、溶けやすいチョコレートを好むでしょうし、会社に持って行きたい人なら、携帯しやすいチョコレートを好むでしょう。
1つの宣伝文句に「きれいに溶ける」と「持ち運びに便利」の両方を入れると、誤解を招いたり、メッセージの詰め込み過ぎになってしまいます。そんなとき、デモグラフィックや習慣、嗜好といった特性で市場をセグメント化すれば、各グループのニーズに合わせてメッセージを作成し、見込み客を効率的に顧客に変換することができます。
マーケティングメッセージの強化に欠かせないのは、ターゲティング広告です。たとえば、お菓子作りが好きな人たちにチョコレートの溶けやすさをアピールしたいなら、料理雑誌やレシピサイトに広告を掲載すると効果が期待できます。市場をセグメント化し、各セグメントのニーズを把握すると、それぞれのセグメントにリーチする最適な方法が見えてきます。
ビジネス上最も重要なコストの一つである顧客獲得コストには、見込み客へのリーチ、接触、および顧客に変換するプロセスに必要なあらゆるリソースと戦略が含まれます。つまり、マーケティング予算、販売担当者の給与、広告費用、在庫管理などをまとめたコストです。そのため、販売担当者や事務員、マーケティング担当者が各顧客セグメントのニーズを理解し、それに合わせてメッセージや宣伝、リソース配分を調整すれば、リソースの無駄を省き、コストが大幅に削減できます。
顧客セグメントは、それぞれに違いがあります。たとえば顧客の中でも特に忠誠心の高い人は、一度好きなブランドを見つけたらずっと同じブランドを利用し続け、値段が上がっても気にしません。一方で、次々にブランドや製品を乗り換えるのが好きで、つい特価品を追いかけてしまう人もいます。このような違いからわかるのは、セグメントの中には他に比べて収益性の高いものがあり、それをターゲットにするのが有効だということです。ただし、それを実行するためには、まず顧客をセグメントに分ける必要があります。
市場のセグメント化は、利益を上げるための重要なツールとなり得ます。なぜなら、市場をセグメント化すれば顧客のニーズが深く理解できるようになり、その結果、無駄のないマーケティング活動を行い、最も価値のある顧客を対象としたメッセージや取り組みにリソースを回せるためです。たとえば、最近Spotifyが利益を伸ばした背景には、同社が1億5800万人のサブスクライバーをセグメント化してニーズを理解し、レコメンドエンジンを使って各人の好みに合った楽曲を提案するようになったことがあります。
さて、顧客のセグメント化がもたらすメリットを理解したところで、どのようにセグメント化を実行すればよいのでしょうか。市場のセグメント化によってコストを下げ、マーケティングを改善し、利益を上げるためには、効果的なセグメント、つまり測定可能で有力な、実用的で手の届くセグメントを特定する必要があります。そこで、これらの特性を一つひとつ見てみましょう。
顧客セグメントは、測定可能でなければ価値がありません。つまり、各セグメントの大きさ、嗜好、ニーズ、購買力について定量化できる情報を得られることが重要です。そのような情報がなければ、ターゲットを絞った効果的なマーケティングキャンペーンを作成することはできません。まず、自社の製品またはサービスに市場が存在するかどうかを見極め、市場全体の見込み客の数を測定してから、市場のセグメント化に移りましょう。そうすれば、市場全体に対する各セグメントのサイズを測ることができます。
各セグメントの特性や振る舞いを参考にして、手頃なコストでセグメントにリーチする最適な方法を見つけることが大切です。たとえば、重要なターゲットが主婦であると判明したなら、主婦が好んで見るようなWebサイトに広告を掲載するのが適切でしょう。
効果的な顧客セグメントとは、製品やサービスを購入する力があるセグメントです。時間やお金、労力を費やして最小のセグメントにリーチしても、ビジネスの観点からして意味がありません。見込み客の大部分を顧客に変換することに成功したとしても、購買力が小さければ、いずれにしろリソースの無駄に違いないのです。セグメントごとに、プロファイル、購買力、収益に対する潜在的な貢献を定義し、最も有力なセグメントに集中するようにしましょう。
どのセグメントも、他とは違うこと、そしてマーケティング戦略に対して価値を生み出すような形で反応することが重要です。セグメントを実用的なものにするには、市場テストを行って、どのマーケティング戦略が特定のセグメントに対して最も効果的かを調べる必要があります。そのために用意されている本格的なツールの中には、たとえばクリエイティブキャンペーンの効果をテストする広告クリエイティブ分析や、メッセージがターゲットセグメントに適しているかどうかを調べるメッセージと主張の分析などがあります。
では、一般的な市場セグメント化の種類を見てみましょう。
市場セグメント化アンケートは、ターゲット市場のさまざまな人の共通点や相違点の理解に役立ちます。以下に、ターゲット市場の発見に利用できる市場セグメントのいくつかの種類をご紹介します。
既存の顧客や見込み客に関する最も大切なデータとしては、年齢や所得水準、学歴といった基本的なデモグラフィック情報が挙げられます。デモグラフィックによるセグメント化は、ターゲット市場を細分化するのに役立ち、あらゆるマーケティング活動において有効な最初の一歩となります。(このトピックについての詳細はデモグラフィックアンケートページでご覧ください。)デモグラフィックによるセグメント化で使える特性には、次のようなものがあります。
顧客がどこに住んでいるかによって、あなたの会社とのやり取りが変わって来る可能性があります。たとえば車を販売している場合、田舎に住んでいる人のニーズや嗜好は、都会に住んでいる人のそれと大きく異なるでしょう。ターゲットとなる顧客がどこに住んでいるかを調べ、それに合ったマーケティングを行いましょう。地理条件によるセグメント化で使えるデータには、次のようなものがあります。
サイコグラフィックによるセグメント化では、社会経済階級やライフスタイルに従ってターゲット市場を細分化するため、普段は気づかないような購入の感情面を紐解くことができます。というのも、ライフスタイルや社会経済階級は、意識、価値観、習慣、見解と関係しているからです。サイコグラフィックによるセグメント化を行うと、消費者の行動や購入、振る舞いや習慣の背景にある理由が見えてくるため、それに基づいて売上を伸ばすことが可能になります。
この種類の調査では、顧客が特定の製品やサービスとどのように関わっているかが明らかになります。たとえば、どの程度の頻度で、どこで購入するのでしょうか?製品を必需品として使用している人と、嗜好品と捉えてたまにしか使用しない人とで、マーケティングを変えてみましょう。
マーケティングキャンペーン、製品開発、顧客体験およびサポート活動などを含む企業のさまざまな種類のプロジェクトにおいて、市場のセグメント化が役立つことがあります。この戦略が会社にとって便利なものになる例をいくつかご紹介します。
対象が顧客であれ、クライアントであれ、患者であれ、誰もが製品やサービスに関して異なる経験をしているはずです。CSATやNPSアンケートにセグメント化に関する質問を追加すれば、より簡単に問題を特定し、顧客サービスを改善することができます。
セグメント化の機会は、上記のような場面に限りません。イベントプランナーなら、参加者の中からスポンサーをセグメント化するでしょうし、教育関係者なら、男子と女子や教師と事務員の間に違いを見出すかもしれません。また人事部門なら、アンケート結果を職位や在職年数、部門でセグメント化することが考えられます。
大切なことは、どのようにセグメント化したいかを考えてからアンケートを作成することです。質問が適切でなければ、結果を分析する段階になって、思ったように市場をセグメント化できない可能性があります。多くの場合、顧客について最初に収集したい種類のデータは、デモグラフィックデータです。そこで、デモグラフィックデータについて詳しく見てみましょう。
綿密に練られたデモグラフィックアンケート質問を使えば、市場セグメント化分析に役立つ重要なデータが手に入ります。ターゲット市場の年齢、性別、収入、学歴(その他のさまざまな要素)がわかると、ターゲット層に対してはるかに感触を得やすくなります。
デモグラフィック アンケート テンプレートを試してみて、セグメント化アンケートに専門家が作成した正確な質問を追加しましょう。
ターゲット市場が米国であるなら、年齢や住所、所得、学歴といった主要なデータを収集するためのテンプレートが用意されています。テンプレートは、米国の消費者に関するデータの収集を目的として設計されているので、手始めに利用し、詳細な分析に役立てることができます。
典型的な顧客デモグラフィックテンプレートは、B2B企業にとって特に有益です。製品・サービスを他の企業に販売しているなら、それらの企業から最終顧客に関する情報を得て、ニーズを理解しましょう。そうすれば、最終顧客がどんな人たちなのか、何を求めているのかが把握できます。
典型的な顧客デモグラフィックテンプレート のプレビュー
ターゲット市場のデモグラフィックデータと、消費者が市場をどのように見ているかに関する洞察を組み合わせるには、ターゲット市場デモグラフィックアンケートが有効です。たとえば消費者に、競合ブランドに対する認識や利用している製品の種類について質問することができます。
ターゲット市場デモグラフィックテンプレートのプレビュー
市場のセグメント化を通じてターゲット層にリーチする準備ができましたか?できた場合は、次の5つのステップに進みましょう。
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