一流のサービスを提供すべきか否かに議論の余地などありません。サービス品質は高くあるべきです。問題は、実際に一流のサービスを提供できているのかを知る方法です。
そこで、サービス品質の5つの側面をご紹介します。サービス品質における5つの重要な柱、有形性、信頼性、応答性、確実性、共感性は、優れたサービスの基礎となります。本稿ではこの5つを詳しく見ていき、顧客体験(CX)戦略を改善する方法を検討しましょう。
このサービス品質の5つの側面は、SERVQUALという測定モデルで提唱されました。SERVQUALモデルとは、顧客の期待と実際の体験とのギャップを企業が理解するための評価基準です。
では早速、サービス品質の5つの側面と、それぞれの領域を改善するための実用的な戦略を見ていきましょう。
有形性とは企業の目に見える側面で、施設やスタッフ、設備などが含まれます。有形性は顧客の期待と品質に対する認識を形成する上で大きな役割を担います。洗練されたプロフェッショナルな外観には、顧客の快適さと満足度を大切にしている企業の姿勢が表れます。
有形性には以下のような重要な属性があります。
たとえば、高級ブランドの店舗はハイセンスな雰囲気を大切にする傾向があります。落ち着いたディスプレイで、オンラインストアもこの実店舗の体験を反映して統一されます。
有形性を改善する方法:
信頼性とは、約束を確実に果たすことです。顧客の信頼を築くうえで欠かせない側面であり、特に正確性とタイミングが鍵となる業界では失敗は命取りです。
信頼性には以下のような重要な属性と指標があります。
たとえば、フードデリバリー業界では宅配が迅速であるほど信頼性が高まり、これが消費者にとって最優先事項であることが調査でも明らかになっています。
信頼性を高める方法:
応答性とは、顧客に迅速で丁寧なサービスを提供することです。顧客の80%が1営業日以内の回答を期待している今日では特に重要度が増しています。
応答性の重要な指標と属性は次のとおりです。
たとえば、レストランでは混雑する時間でも従業員が迅速に注文に対応します。サービスの提供が遅れると客は苛立ち、店の印象が悪くなるでしょう。
応答性を改善する方法:
確実性は、顧客の信頼を勝ち取り、確立することです。顧客は、企業がその製品・サービスのプロであることを期待します。
確実性には一般的に以下のような属性があります。
たとえば、カスタマーサクセス担当者は、顧客のニーズに的確に対応することで確実性を印象づけることができます。
確実性を改善する方法:
共感性は、顧客へ気遣いや思いやりを示し、個人に注意を払うことを意味します。顧客を単に取引相手としてではなく、人として扱うのです。共感性はロイヤリティの高い顧客との長期的な関係を構築する上で重要な役割を担います。
共感性の特徴は以下のような指標で評価します。
たとえば、医療従事者が患者一人ひとりの懸念を理解するために時間をとることで共感性が示されます。これにより患者は尊重され理解されていると感じるのです。
共感性を改善する方法:
使いやすさ抜群のカスタマー サービス テンプレートを使って始めましょう。
サービス品質とは、企業のサービスチームが顧客の期待にどの程度応えているかを示します。製品の品質とは異なり、サービス提供という形のない部分に焦点を当てた概念で、スタッフの効率性、礼儀正しさ、応答性などが含まれます。
たとえば、カフェの店員が常連客の名前を呼んで挨拶をし、いつもの注文を覚えていることなどです。顧客を大切にしていることが伝わる、気さくで個別的なサービスです。こんな体験をした顧客は友人に話したくなり、口コミが広がるかもしれません。
顧客体験を理解するには、顧客ライフサイクルの各段階で継続的にフィードバックを収集することが重要です。リアルタイムのフィードバックを定期的に収集し、積み上げていくと、どのタッチポイントがサービス品質に良い影響あるいは悪影響を与えているかが見えてきます。
アプリ内アンケートや対応後のフィードバック、フォローアップメールなどを活用して、サポート案件などの重要な出来事の後にすかさずインサイトを収集しましょう。ジャーニー全体を通して顧客のインサイトを収集することで、情報に基づいた改善を行い、サービスの一貫性を確保することができます。
サービス品質アンケートでは、サービス品質の各側面を測ることができます。
サービス品質の質問に使える側面ごとの例をご紹介します。
実用的なフィードバックを集めるときはタイミングが物を言います。たとえば、このようなときにアンケートを送信しましょう。
量的なサービス提供指標に注目すると、サービスがどの程度適切に提供されているかを測定できます。数値のデータによって、サービスが一定の基準や期待を安定して満たしていることを確認する指標です。
追跡すべき重要な量的サービス提供指標には、次のようなものがあります。
これらの量的サービス提供指標を詳しく監視することで、以下を行えます。
質的調査と量的調査の違いとその選択基準にについてはこちらをご覧ください。
Net Promoter Score®(NPS)は、顧客の満足度とロイヤリティを追跡する便利な指標で、顧客が自社を他の人に薦める可能性がどの程度あるかを明らかにします。
NPSでは、顧客を推奨者(サービスを他者に推奨する人)と批判者(推奨しない人)に分類します。この評価の背景にある理由(コールセンターの待ち時間が長いなど)まで分析することで、特定のサービスの問題を正確に把握し、対策を打つことができます。
効果的なNet Promoter Scoreプログラムの立ち上げ方については、NPSの完全ガイドをお読みください。
グレイハウンド社が、SurveyMonkeyエンタープライズとSalesforceを使ってアンケートから迅速にインサイトを引き出し、NPSを強化した事例をご覧ください。
カスタマー エフォート スコア(CES)も顧客が手間取る部分を発見できる重要な指標です。顧客にとって企業とのやり取りがどの程度簡単かを測定します。
標準的なCESの質問がこちらです。
CESを実施するタイミングは、電話サポートやWebサイトでの購入など、顧客とのやり取りの後が最適です。CESフィードバックを分析することで、長い待ち時間や複雑な手続きなど、顧客が共通して直面している問題が明らかになります。さらに、顧客の労力を軽減するための変更点が複数ある場合には、優先順位を付けることもできます。
CESの詳細については、カスタマー エフォート スコアに関する包括的なガイドを参照してください。
初回解決率(FCR: First Contact Resolution)とは、顧客の最初のやり取りにおいて問題がどの程度解決されたかを測定する指標です。FCR率が高いということは、サービスチームが一回で問題を解決でき、フォローアップが必要ないことを示します。
FCR率を改善する方法:
関連トピック: 主要なカスタマーサービス指標の解説
業界をリードする指標分析では、サービス品質の変化を示すデータの追跡に重点を置いています。これらの指標は潜在的な問題をいち早く警告してくれるため、企業は先回りした対応が可能になります。
主要指標には次のような例があります。
サービス品質を測定する枠組みを確立したら、これらの指標を効果的に追跡するために、代表的な顧客サンプルから得た信頼性の高いデータが必要になります。サービス品質の測定が統計的に正確で偏りがないようにするため、Excelを使って無作為にサンプルを作成する方法を習得しましょう。
サービス品質を改善するには、常に顧客の期待に応え、期待を上回るための先回りしたアプローチと努力が必要です。サービスの水準を上げ、すべての顧客にポジティブな体験を提供するための10のヒントをご紹介します。
カスタマーサービスを効果的に提供しているかどうかを特定するのは、なかなか難しい作業です。しかし、不可能ではありません。カスタマーサービスの重要な5つの側面に焦点を当てれば、効果的な改善を行って顧客満足度を高めることができます。
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Net Promoter、Net Promoter Score、NPSは、Satmetrix Systems, Inc.、Bain & Company Inc.、Fred Reichheldの登録商標です。