確率的サンプリングとは、アンケート結果を改善するサンプリング方法(標本抽出方法)です。この方法を使って、ニーズに沿った信頼できる結果を手に入れる方法をご紹介します。
確率的サンプリングでは、選ばれる可能性が母集団全員に均一に与えられ、正確でバイアスのかからない調査結果が得られます。本記事では、確率的サンプリングの仕組みと使用すべき機会をご説明します。また、確率的サンプリングと非確率的サンプリングについても学ぶことができます。
確率的サンプリングとは、大規模な母集団から小集団(標本)を無作為に選ぶサンプリング方法です。選択後、その回答はどの程度母集団の回答と一致することになるかを調査員が予測します。
たとえば、自社ブランドが新規エリアへ拡大することについて消費者がどのように受け止めているかを把握したいとします。当該地域のすべての人にアンケートを行うことは合理的には不可能です。標本サイズが管理しきれなくなるでしょう。確率的サンプリングは、小規模な集団にアンケートを行って母集団全体を理解することを可能にします。
確率的サンプリングは、母集団の誰もが平等かつオープンに選ばれる可能性のあるサンプリング方法です。選択は無作為に行い、標本(サンプル)が母集団の多様性を正確に反映するようにします。このアプローチは選択バイアスを最小化し、母集団について統計的推測を行えるようになります。
確率的サンプリングの成功には3つの必須条件があります。
適切な標本が手に入れば、大規模なアンケートを実施するのと同じように価値のある結果を得ることができます。そして、標本の嗜好について有効な結論を導きだし、母集団全体にマッチする行動を起こせます。
確率的サンプリングを使えば、会社は顧客層を代表する標本を特定できます。層化抽出法やクラスターサンプリング(集落抽出法)といった、さまざまな種類のサンプリング方法は、サブグループを反映する標本の作成を確実にするでしょう。
全体を代弁し得る標本から得た回答は、大きな母集団を正確に代表するでしょう。結果として、コーヒーショップチェーンの製品開発チームは、顧客が求めるロイヤリティプログラムを作成できます。マーケティングチームも、このプログラムを正確にマーケット内でポジショニングすることができます。
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単純無作為抽出法の要点は次の通りです。
多くの母集団は、相互に重複しない、いくつかのグループに特性に基づいて分割でき、グループを総合すると母集団全体を代表するものとなります。大抵の場合、単純無作為抽出法より正確な結果を得られます。
層化無作為抽出法の要点は次の通りです。
層化サンプリング同様、クラスターサンプリングでも母集団をサブグループまたはクラスターに分割します。しかし、2つの確率的サンプリング方法には違いがあります。
クラスターサンプリングの場合:
クラスターサンプリングの使用は、大規模あるいは地理的に散らばった母集団にアンケートを行う費用を節約します。ただし、クラスターサンプリングではサンプリングエラーが起こるリスクが高まります。各クラスターは母集団全体を代表するという想定を保証するのが難しいためです。
系統抽出法は等間隔サンプリングとも呼ばれ、単純無作為抽出法に似ています。
系統抽出法の仕組みは以下の通りです。
系統抽出法は乱数生成器などを使わなくてもセレクションの過程が明解なので、他の手法より簡潔です。逆に言えば、乱数生成器を使用した場合ほど無作為な選択にはならない可能性があります。
たとえば、会社の従業員にアンケートを行う計画を立てていて、従業員のリストがアルファベット順になっていたとしましょう。系統抽出法を使って4人目ごとの従業員を標本に選ぶとします。この場合、リストが実はチームや勤続年数でもまとめられていたとしたら、勤続年数の長い社員を選びすぎたり、選ばなすぎたりして、標本にバイアスがかかってしまう可能性があります。
サンプリングの設計は、調査を実行可能なものにするために不可欠です。調査目標とサンプリング方法を揃えることで、標本が対象母集団を正しく一般化するものになります。
サンプリング方法を検討する際には、次の点を考慮しましょう。
リソースや時間が足りない場合、非確率的サンプリングに頼らざるを得ないかもしれません。この方法を見ていきましょう。
ご紹介した単純無作為抽出法、層化抽出法、クラスターサンプリング、系統的抽出法は、いずれも確率的サンプリングの方法ですが、これとは逆の特徴を持つサンプリング方法もあります。その名も、非確率的サンプリングです。
非確率的サンプリングは探索的で質的調査に使用されます。対象母集団は多くの場合、特定の専門領域や経験、インサイトを持つ人たちです。
このサンプリング方法では標本が無作為に作成されないため、確率的サンプリングに比べてバイアスがかかるリスクが高くなります。標本に含まれる可能性が母集団のメンバーに対して平等に与えられないからです。実際、中には選択される可能性がゼロのメンバーも出てきます。ただし、使用目的によっては標本サイズと結果が母集団を代表する必要はありません。
確率的サンプリングと非確率的サンプリングの違いとは何でしょうか。
確立的サンプリングの場合、回答者がアンケートに興味がなかったり、報酬がない場合、回答を集めるのが困難になることがあります。また、ツールがなければ回答者を見つけて無作為に選択するのに時間がかかる場合もあります。
こういった問題の多くは非確率的サンプリングで解決できます。この方法でも、確率とサンプリング理論に基づいて適切なアンケート標本を選択できるのです。
このサンプリング方法のオプションは以下の通りです。
確率的サンプリングには次の利点があります。
特に単純無作為抽出法と系統抽出法はユーザーフレンドリーで、母集団の標本を作る際にいくらでも詳細を設定できます。
層化抽出法は調査員のバイアスを減らし、クラスターサンプリングでは調査の変動性を限定的なものにします。これら2つの方法は締め切りの厳しい調査にも有利です。
どのアプローチにも、全体的に見ると逆効果になってしまう側面があります。
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いざ確率的サンプリングを実施しようと思ったら、どのような手順を踏めばよいのでしょう。実際はそれほど複雑なことではありませんが、調査の明確な目標は必要です。事前に計画を立て、どのような結果を得たいかを考えることは、標本の作成方法とその理由の決定に役立ちます。
アンケートしたい人全員のことをよく考え、意図的に除外すべき人のことも意識しましょう。
理想的には、対象母集団のすべてのメンバーをサンプルフレームに含めるべきです。
クラスターや層は必要ですか?すべてのサンプルメンバーの選択される確率を等しくしますか?調査の分野や母集団、利用できるリソースなどを考慮して、理にかなった手法を選びましょう。
対象母集団によっては、適切なサンプルフレームを見つけるのが困難かもしれません。たとえ上手くいったとしても、最善のサンプリング手法を選ぶには、コスト、質、時間などの面で妥協を余儀なくされる可能性があります。
効果的なサンプリングは、調査員が時間をとってメソッドを改善し、ベストプラクティスを念頭に置くことにかかっています。
確率的サンプリングでは特に、すべての人に選択の機会が平等に与えられなければなりません。意図的に標本から除外する人がいないよう、特定のグループの参加を阻止する選択肢がないか、気を付けましょう。
たとえば、開放的な方向に舵を切った新しい入国管理法に対する世論を知りたいとします。アンケートに英語版を用意しない場合、意図せず英語話者を除外することになる可能性があります。そのような人たちの観点は重要で、参加してもらえない場合、世論を反映した結果にはならないでしょう。
鍵となるセグメントを含めるほか、標本サイズを拡大する必要もあるかもしれません。標本が大きくなれば、結果の精度と代表性も上昇します。
標本を拡大するには、無回答者数を減らす手順を取りましょう。それは、フォローアップやインセンティブかもしれません。また、マーケティングアンケートテンプレートの利用もアンケート回答者を増やす手助けになるかもしれません。
さまざまな種類のアンケート質問を使うことでも、サンプリングプロセスを改善して、深い洞察を参加者から得られます。
仮調査で事前テストを行うことで不具合を特定すれば、参加者、結果の精度、信頼性、一般化に対する問題を防げるでしょう。
テクノロジーを活用したツールを使用すれば、標本の選択が真に無作為に行われることを確実にし、見えないバイアスが標本に影響を及ぼすことを防げます。無作為の標本にリーチするためにオンラインアンケートパネルを利用するのもおすすめです。
確率的サンプリングでは、対象になる母集団についての結論を導き出せます。ただし、調査に適した人を見つけるためには熟考と、時に膨大なリソースが必要になります。専門家のサポートが必要なら、SurveyMonkey Audienceが適切な人に素早くリーチするお手伝いをします。
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