痛みスケールは、医療の現場で患者に痛みの強さを示してもらうために広く使用されている尺度です。痛みスケールにはいくつかの種類がありますが、この記事では主に、スマイリーや絵文字を使ったカテゴリースケールを取り上げます。絵文字は、医療分野で小児の痛みの程度を評価する際に非常に有効なだけでなく、実は他にもさまざまなアンケートで活用されています。それでは早速、この評価スケールの種類と、医療とその他の分野で発揮する効果を見ていきましょう。
1983年、Donna WongとConnie Bakerによって、小児が感じている痛みについて医療従事者に伝えられるようにすることを目的として、Wong-Baker FACES®痛み評価スケールが考案されました。これは評価に絵を取り入れた初めての痛みスケールで、シンプルに描かれた6種類の顔でさまざまな痛みの程度を表しています。程なくして、このスケールは感覚を的確に説明する言語能力を持たない子どもたちの痛みの程度を理解するために、極めて有効なことが明らかになりました。
現在ではこの尺度に数多くのバリエーションが生まれており、医療現場でのアセスメントのみならず、医療以外の分野で満足度やサービスの程度を判断するために幅広く利用されています。
私たちは人の表情を見たとき、国や年齢を問わず、同じように解釈する傾向があります。この特徴を活用して、多くの情報をたった1つの絵文字(スマイリー)で伝える事ができるのです。何かに対する感情について評価してもらう場面では、大抵の場合、数字の尺度で評価してもらうか、複数の選択肢から選んでもらうよりも、自分の感情と同じ表情を選んでもらう方がはるかに簡単です。たとえば、何かの評価を7段階中の「5」や「6」だと判断するよりも、自分の感情を表している顔のマークを選ぶ方が楽に感じます。
絵文字を使ったアンケートでよく利用されるもう1つの要素が色です。白黒のマークでも十分に意見は表現できますが、カラーにすることで選択肢がより直感的に把握しやすくなります。ただし、使う色は注意して選ぶ必要があります。多くの色が、文化や地域によって異なる意味を持つからです。
一般的によく知られている色の組み合せとして、信号機の色である赤、黄、緑(青)が挙げられます。赤が最も否定的な回答、黄色が中間で、緑(青)が最も肯定的な回答を表すと解釈できます。
色を使うだけでなく、それぞれの色の濃さを感覚や感情の強さと連動させてもよいでしょう。
Wong-Baker FACES®スケールには類似するバリエーションが数多くあります。目とまゆ毛と口だけが描かれたとてもシンプルな絵文字を使用しているスケールもあれば、もっと細かい表情や涙を用いたスケールもあります。そしてもちろん、顔と色を組み合わせることもできます。
標準的な痛みスケールは医療機関で使用されますが、痛み以外にも、満足度やサービス、その他の状況を評価するために応用できます。
絵文字アンケート、痛みスケール、スマイリー評価システムはすべて、感情を表すために視覚的画像を使用しています。
このタイプのスケールには、次のような利点があります。
視覚的尺度を医療現場で使用する場合、SurveyMonkeyには、インターネットで収集される保護された医療情報を守るためのHIPAA準拠機能が備わっていますので、ご安心ください。アンケートを使って患者満足度や医療安全文化、歯科定期健診、女性および男性特有の健康問題などを調べるための情報は、ヘルスケア アンケート センターでご覧ください。SurveyMonkeyのヘルスケア アンケート ソリューションで患者の体験を改善しましょう。
痛みスケールには2つのカテゴリーといくつかの種類があります。それぞれを詳しく見ていき、よく理解して活用しましょう。
このタイプの痛みスケールは、個人が痛みの程度を簡単に評価できるようにするものです。文章、画像、または記述子を使用して痛みや痛みの緩和の度合いを測定します。
特に一般的に使用されている方法は、0~10の数値評価尺度です。「0」を痛みなし、「10」を今までで一番強い痛みとして、患者に評価してもらいます。このタイプの間隔尺度は、顧客満足度などの評価に使用したことがある方も多いと思います。
VASでは、数字の代わりに10 cmの(目盛のない)横線を使用します。線の左端は痛みがないこと、右端は想像しうる最大の痛みを示します。紙媒体を使う場合、患者は自分の痛みの程度を示す場所をマークするように求められます。デジタル媒体を使う場合はスライダー質問にすることができ、線上にあるスライダーを該当する場所に移動させます。
この尺度ではNRSと同様、軽度の痛みや激痛など、痛みの強さを表す言葉や視覚的な記述子による描写を伴った直線を使用します。星による評価を使用して痛みを評価することもできます。子どもの場合は、さまざまな表情をしたスマイリーによって痛みの程度を示します。
このタイプのツールは、痛みの評価にはあまり使用されていません。しかし、一部の専門家は有効性を認めており、過小評価されていると言います。
このツールは、患者が初めて痛みを訴えたときに、その痛みに関する情報を収集するために使用します。痛みの特徴をより詳しく把握することができ、通常、痛みを感じている体の部位を示すための図が使用されます。痛みの始まった時期、期間、生活への影響などに関する質問も行われます。
BPIは、初期疼痛評価ツールに似ていますが、24時間以内に感じた痛みを評価し、対処するために使用されます。
MPQは、痛みの評価に広く使用されており、患者が自ら説明する表現(例:ずきんずきんする、ちらちらする、ビーンと走るような)に基づいて痛みを評価するために使用されます。
評価に痛みスケールや絵文字評価スケールを使用する状況をいくつかご紹介します。
この便利なツールは次のような場面で実際に使われます。
痛みや絵文字をはじめとした評価スケールに関するこれまでの説明で、医療機関での使用、特に患者の痛みの評価と緩和について言及してきました。痛みスケールは医療従事者が患者の痛みの程度や質、影響を理解するためのツールです。他にも、医師が診断し、治療計画を立て、特定の治療の効果を測定する際にも役立ちます。
医療機関で小児の痛みを評価する場合には、絵文字の痛みスケールを含む前述のいずれの痛みスケールも使用できます。初期疼痛評価、BPI、およびMPQは、具体的な痛みの測定に使用されます。
SurveyMonkeyのヘルスケアソリューションを活用して、患者の体験を改善し、医療機関の評価を高め、従業員のウェルビーイングを促進しましょう。
顧客満足度を評価するために痛みスケールを使用すると言うと不思議に感じるかもしれませんが、スマイリーの痛みスケールは患者以外にも非常に効果的です。このユニークな尺度を取り入れたアンケートをぜひ顧客に送信してみてください。痛みの強さを示す顔の代わりに、貴社での体験に対する満足度レベルを示す顔にアレンジします。
絵文字カテゴリースケールだけでなく、その他の一次元的痛みスケールもすべて活用できます。数値評価尺度では、数値で満足度を測定することができます。もちろん、スライダーを使ったビジュアル アナログ スケールも、顧客の気持ちを表せます。
こうしたアンケートは素早く直感的に回答できるため、顧客が気軽に回答してくれる可能性が高まります。そして、数量化できる結果が得られるので、フィードバックをロイヤリティに転換するための行動にも繋げやすいというメリットもあります。
顧客満足度アンケートと同様に、従業員満足度アンケートでも、従業員が会社についてどう思っているかを測定できます。一次元的尺度を使って、従業員の意欲、満足度、エンゲージメント、福利厚生などに関する量的データを収集しましょう。
カスタマー サービス アンケートは、カスタマーチームと顧客とのやり取りを評価する際に重要な役割を果たします。Microsoftのレポートによると、日本人の81%が、カスタマーサービスによってその企業と取引を行うかどうかを判断しています。また、日本の消費者の45%は、カスタマーサービスが良くないことを理由に他の企業に乗り換えると言います。
優れたカスタマーサービスが提供されていることを確認するために、この効果的な絵文字アンケートを顧客に送りましょう。絵文字を使うことで、アンケートに楽しく簡単に回答してもらえるので、実用的なインサイトを引き出しやすくなります。結果から、改善すべき点やトレーニングの対象者、メンターによる指導や助言が必要なスタッフなどを特定しましょう。
痛みスケールを用いたアンケートが完成し、送信する準備が整ったら、送信ボタンを押す前に以下のヒントを参考にして、回答者から明確で実用的なデータが集まるように最終確認をしましょう。
患者に限らず、対象者が従業員や顧客などの場合にも、痛みスケールのアンケートをぜひ役立つツールとして選択肢に加えてみてください。SurveyMonkeyで早速、最初のアンケートに取りかかりましょう。
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