最後に料理した時のことを思い出してみましょう。おそらく、冷蔵庫の中から適当に食材を取り出して、何かおいしいものができあがることを期待したわけではないでしょう。大部分の人は、まずどんな料理にするかを考え、それに合わせて食材を選びます。
アンケートの場合も、似たようなものです。どのようなアンケートにしたいかを考えずに作成することはあり得ません。複雑なアンケートや長すぎるアンケートが悪い結果につながることを考えれば、なおさらです。
幸いなことに、アンケート設計計画さえあれば、それが優れたアンケートの土台になります。アンケート設計計画に従うことで、全体的な目標から一つひとつの質問に至るまで、あらゆる要素を焦点の合ったものにすることができます。そこで、信頼の置ける実用的なインサイトが得られるようなアンケート計画を自分で簡単に作成する方法をご紹介しましょう。
アンケートの目標・目的を定義する
アンケートの目標とは、調査を実施する上での大まかな方向性や目的を示す声明文です。目標は複数でもかまいませんが、できるだけ2つ以下に抑えましょう。次のような例が考えられます。
- カスタマーサポートに対する総合的な満足度を測定する
- 製品(またはサービス)に対する顧客満足度を把握する
- 顧客ロイヤリティを測定する
- 製品への満足度を高める
アンケートの目標は、調査を通じて検証する、具体的で測定可能かつ達成可能な声明文です。1つの目標に複数のアンケートの目的が含まれる場合があります。たとえば、目標が「カスタマー サポート チームに対する総合的な満足度を測定する」であれば、次のようなアンケートの目的が考えられます。
- カスタマーサービスとのやり取りに対する満足度を測定する
- 満足度のキードライバー(解決時間に対する満足度など)を特定する
- サービスの品質に対する満足度を測定する
アンケート設計計画では、目標と目的を区別することが大切です。目的は、実用的なデータにつながる具体的で優れたアンケート質問を書くために重要です。ブレないアンケートを作成するには、目的が目標に沿っていなければなりません。また、多くの回答者に完答してもらえるように、短いアンケートにすることを心がけましょう。
目的をアンケート質問に落とし込む
目的を明確にしたら、次は、それを果たすためのアンケート質問を作成します。SurveyMonkeyのすぐに使えるカスタマーサービス フィードバック アンケート テンプレートから、質問例をいくつかご紹介しましょう。
- 目的: カスタマーサービスとのやり取りに対する全体的な満足度を測定する
- 質問: 提供されたサービスにどの程度満足しましたか。
- 目的: 満足度に大きく影響する要素(解決時間など)を特定する
- 質問: 質問や懸念を解消するまでに、どの程度時間がかかりましたか。
- 目的: サービスの品質に対する満足度を測定する
- 質問: カスタマーサービス体験の質を総合的に評価してください。
このような質問のそれぞれに、明確で一貫した回答の選択肢を用意します。回答の選択肢がそのまま収集後のアンケートデータを形成するからです。場合によっては、文章での回答が欲しいこともあるでしょう。次は、その方法について見てみましょう。
適切なデータが得られるような質問タイプを選ぶ
何を尋ねるかが決まったら、それをどのように尋ねるかを決める必要があります。顧客に自分の言葉で回答してもらうために、自由回答形式の質問をたくさん作成したくなるかもしれませんが、自由回答形式の質問は少数に抑え、戦略的に使用するのが得策です。
代わりに、選択回答形式の質問を多用しましょう。用意した選択肢の中から回答を選択してもらう形式です。回答者にとって答えやすい上に、集まったデータの分析も簡単です。
アンケート質問のタイプは多数あり、それぞれに長所と短所があります。ここで、複数選択肢の質問の例をご紹介します。
質問や懸念を解消するまでの時間はどの程度かかりましたか。
- 予想よりずっと早く解消した
- 予想より早く解消した
- 予想通りだった
- 予想よりかかった
- 予想よりずっとかかった
この例では、回答者が回答を1つだけ選択します。複数の選択肢を選んでもらうときは、チェックボックス形式の質問にします。この形式は、複数の選択肢が当てはまる可能性がある場合にのみ使用します。
上の選択肢を見てみましょう。「予想よりずっと早く解消した」から「予想よりずっとかかった」までの5つの選択肢が、中間の「予想通りだった」を挟んでバランスよく並んでいます。スケールに基づいた選択肢を使用する場合は、中間から両端までの選択肢の数が両方向で等しいことが大切です。それにより、バイアスを防ぎ、有効なデータを得ることができます。
もちろん、評価スケールの中には言葉を使わないものもあります。顧客ロイヤリティの指標として広く普及しているのが、Net Promoter ScoreⓇ(NPS)です。回答者に、会社を他の人に薦める可能性を0~10で評価してもらいます。
数値を使った評価スケールでは、それぞれの数値の意味を説明する必要があります。NPSスコアの場合、0は「まったくない」、10は「大いにある」を意味するので、それぞれの数値の上に意味を言葉で示します。そうしないと、どの数字が何を意味するのかわかりにくく、回答者が自分の意図とは違う回答を入力したり、アンケートの回答を途中で止めたりする恐れがあります。
自由回答形式またはテキストボックスの質問を覚えていますか。これらの形式を使うと、なぜそのような評価をしたのかを尋ねることができます。たとえば、会社を0~10で評価してもらった後で、そのように評価した理由を説明してもらいます。書くのが面倒でアンケートの回答を中断してしまう人もいるので、この質問は任意回答にするのがよいでしょう。
アンケートを設計する際に覚えておくべき5つのヒント
- 冒頭には答えやすい質問を配置します。答えるのに手間がかかる自由回答形式の質問やデリケートな質問は、アンケートの後半にします。滑り出しが良ければ、早々に脱落する可能性が低くなります。また、回答者が脱落した場合でも、前半に配置した選択回答式の質問の回答は確保できます。
- 年齢や居住地などを尋ねるデモグラフィック質問を含めます。回答に基づいてデータをセグメント化すると、ターゲット市場やターゲット層の全体像をより正確に把握することができます。SalesforceやMarketoのようなプラットフォームにSurveyMonkeyを統合すると、回答に既存の顧客情報をマッピングできるため、デモグラフィック質問に頼る必要がなくなります。
- 誘導質問や多重質問は避けます。次のような質問をすると、回答にバイアスがかかってしまいます:「たくさんのお客様から、当社の製品が役に立ったという感想をいただいています。お客様は、当社の製品がどの程度役に立ったと思いますか」。評価スケールの選択肢の数が、「役に立った」側に多く偏っている場合も、バイアスのない回答は期待できません。
- 1つの質問では1つのトピックに集中します。たとえば「カスタマーサービスとのやり取りについて、全体的な質と迅速さを評価してください」のような質問は、二重目的の質問と呼ばれ、アンケートによくあるミスです。時間がかかったことに不満を感じていても全体的には満足している回答者は、回答に困るはずです。信頼性に欠ける結果が出てしまうでしょう。
- 回答者へのインセンティブの提供を検討します。どの業界でも、顧客満足度を測定する際に重要なのは、アンケートをできるだけ短くすることです。しかし、調査を実施する場合は、長いアンケートが必要なこともあります。多くの人に回答してもらうには、商品券や割引コードなどのインセンティブを提供するのが有効です。そうしないと、早く回答を終わらせようとする回答者が出てきて、結果に歪みが生じる恐れがあります。
アンケート設計をスピーディーに計画する方法
- アンケートのアイデアは浮かんだものの、なかなか先に進まない場合は、SurveyMonkeyに用意された400種類以上のアンケートテンプレートに目を通せば、ほとんどの状況に合ったテンプレートが見つかります。テンプレートの他にも、質問バンクに数百種類のアンケート質問がまとめられています。そこで選んだ質問は、ドラッグ&ドロップで簡単にアンケートに追加できます。SurveyMonkeyのテンプレートや質問は、アンケート方法論の専門家が作成したもので、バイアスを軽減するように設計されています。
- SurveyMonkeyのAIを活用したアンケート作成機能は、アンケート質問や回答選択肢の改善に役立ちます。自分で質問を作成する場合は、回答ジーニアスを使うと、より適切な言い回しや表現だけでなく、質問に適した回答の選択肢も提案されます。また、AI自動作成機能を使えば、プロンプトを入力するだけで、自分のニーズに合ったアンケートが自動的に作成されます。作成されたアンケートは、そのまま使うことも、カスタマイズすることもできます。
- アンケート設計計画でヘルプが必要な場合は、SurveyMonkeyのプロフェッショナル サービス チームがお手伝いいたします。アンケート設計に関する相談や結果の分析など、さまざまなサービスをご利用いただけます。
繰り返しになりますが、良いアンケート設計計画はアンケートを成功させるための土台です。実用的で信頼性の高いデータを得るため、時間をかけて目標や目的を定義しましょう。
アンケート設計とデータ分析を計画して優れたインサイトを引き出す方法
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