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アンケートを使って探索型調査、記述型調査、因果型調査を実施する方法をご紹介します。

ノートパソコンで作業をしている女性


アンケート調査を実施すると、対象とする母集団についての重要なインサイトが得られます。ただし、問いや疑問さえあれば理想的なアンケートが作成できるわけではありません。目標や調査プロセスの段階に合わせてアンケート戦略を立てる必要があります。

現在の調査プロジェクトについて考えてみましょう。目的は仮説を立てることでしょうか、それとも仮説を検証することでしょうか。アンケートは、探索型調査、記述型調査、因果型調査など、多目的に活用できます。この記事では、調査に使用するアンケートの種類とその用途について説明します。

なぜアンケートが調査において重要なのでしょうか。企業の専門家や研究者、科学者をはじめ、さまざまな人がアンケートでデータを収集し、仕事に役立てています。量的データと質的データの両方が収集できるため、測定可能な結果や洞察に満ちた結果が得られます。

探索型調査とは、統計的に正確なデータの収集ではなく、アイデアやインサイトの発見を目的とした調査です。手法としては、ケーススタディ、フィールドワーク、フォーカスグループ、インタビューなどが挙げられます。

探索型調査では、プロセスの初期でアンケートを実施し、その結果を参考に問題点やテーマを特定したり、調査の質問を絞ったりします。たとえば、会社であれば、ターゲット市場を対象にアンケートを実施し、新製品のアイデアを得ることができます。  

探索型調査のアンケートでは、自由回答形式の質問をして回答者にフィードバックを記入してもらうのが普通です。これにより、質的なインサイト、つまり主観的で測定できないインサイトが得られます。

探索型調査では、トピックの詳細が判明するにつれ、未知の問題を明らかにしたり、新たな解決策を見つけたりできます。アンケートによって、パフォーマンス指標のような数字の背後にどのような文脈や理由があるかが判明します。このタイプの調査は、数値化できず、標本サイズが小さいのが普通です。そのため、対象とする母集団について決定的な結論を出すことはできません。

従業員のエンゲージメントが下がっていることに気づき、人手不足と労働時間の長さが原因ではないかと考えているとします。しかし、本当にそうか確信が持てないため、フィードバックを集めて解決すべき問題を特定する必要があります。従業員の意見を聞くために、従業員フィードバックアンケートを送信します。

自由回答形式の質問の例

「仕事について最も満足している点を教えてください」という質問をしたところ、従業員が自分の役割を超えた仕事をカバーすることに抵抗を感じていないことがわかりました。成長の機会や学習体験と捉えているようです。

仕事について難しい、または面倒と感じているかどうかを聞くアンケート質問の例

同様に、仕事で難しい、または面倒だと感じる点は何かを聞いたところ、通勤を面倒だと感じている従業員が多いことがわかりました。また、一部の従業員は、給与が仕事の内容に見合わないと感じています。

こうしたデータポイントは、測定はできないものの、福利厚生プログラムの充実化に役立てることができます。たとえば、この時点で、より的を絞った福利厚生満足度アンケートを実施します。そうして得たフィードバックに基づいて、福利厚生を調整し、長期的に満足度を追跡します。

探索型調査の手法や効果的な実施方法についてさらに詳しく知りたい方もいるでしょう。探索型調査を使う場面とその理由を確認し、調査から新しいインサイトを得て効果的な調査質問を作成しましょう。

記述型調査とは、選択回答式の質問を使った、構造化された調査です。記述型調査のアンケートは、横断調査の一種で、対象とする母集団のある時点での特性について情報を収集します。

このような調査では、仮説または問いを念頭に置いて構造化したアンケートを作成し、アンケートを通じて仮説や推測を検証します。記述型調査のアンケートでは、測定可能な量的データを入手し、そこから統計的に有意な結論を導き出します。

アンケートの目標を設定することで、特定のテーマに沿った質問を揃えることができます。質問には、数値を割り当てられるような回答の選択肢を用意します。これにより、客観的かつ測定可能な量的データが得られます。

アンケートを大きな標本サイズで実施すれば、許容誤差が小さくなります。許容誤差が小さいとは、標本の結果を対象とする母集団に一般化しても問題がない、という意味です。しかし、フィードバックが自分の言葉で書かれていないため、そのように回答した理由を把握することは困難です。

ある製品の理想的なターゲット市場について調査を実施するとしましょう。消費者が製品のプロトタイプにどう反応するかを調べます。統計的に有意な標本サイズを計算し、オンラインのアンケートパネルを通じて十分な数の回答者にアンケートを送信します。

アンケートでは、まず製品とその主な特徴、利点について説明し、購入するであろう理由を聞きます。(加えて、製品についての感想や、購入しないであろう理由を尋ねる質問もします。)

その結果、回答者の28%が、「現在満たされていない自分のニーズを満たしてくれる」と回答しました。あまり高い数字には見えないかも知れません。しかし、年齢や性別、人種・民族、所得水準、居住地域などのデモグラフィック属性についても尋ねました。

ドロップダウンアンケート質問の例

アンケートに回答した人のうち、およそ56%は35~54歳でした。そこで、「現在満たされていない自分のニーズを満たしてくれる」をフィルタリングしてその年齢範囲だけに絞ってみると、77%が、製品を必要としていることがわかりました。ターゲット市場に関して明らかになったこの新たなインサイトは、今後のマーケティングや製品開発に大きく影響します。

因果型調査も、記述型調査と同様に量的で、あらかじめ計画され、構造化されています。しかし、因果型調査は、観察するにとどまらず、変数間の因果関係を特定します。

調査では、実験や測定を通じて変数を制御します。たとえば、ある会社が初回購入者の顧客維持率(不変変数)を追跡するとしましょう。初回購入者を対象とした顧客ロイヤリティプログラムの提供を開始し、維持率にどのような影響があるかを調べます。

因果型調査は、新しいアイデアや製品、福利厚生などをテストするための優れた手段です。しかし、変数の制御が難しい場合には、誤解を招くような結果になる可能性があります。また、実験の実施に相当な時間と費用がかかる場合もあります。

カスタマーサービスが顧客ロイヤリティに直接影響しているかどうかを調べたいとしましょう。まだ実験の段階なので、カスタマーサービス戦略を完全に見直すわけではありません。 

カスタマーサービス担当者に、次回の購入時に使える20%割引のコードを5人おきの顧客に提供するよう伝えます。担当者には、割引を提供する際、会社がその顧客との取引をどれだけ大切にしているかを強調するようなスクリプトを読み上げてもらいます。

カスタマーサービスと接触があった顧客全員に、カスタマーサービス満足度アンケートを送信します。数ヶ月後、割引コードをもらった顧客ともらっていない顧客の間で顧客ロイヤリティの指標に差があるかどうかを調べます。

NPSアンケート質問の例

「当社を友人や同僚に薦める可能性はどの程度ありますか」という質問をすることで、Net Promoter Score®(NPS®)と呼ばれる業界標準の顧客ロイヤリティ指標を得ることができます。この指標が得られると、顧客ロイヤリティの業界ベンチマークを利用して、自社で達成した改善を競合他社と比較することもできます。

アンケート調査の種類について理解したところで、アンケートを実施するさまざまな方法も知っておく必要があります。アンケートのタイプや、アンケートで扱うテーマには、いろいろなものがあります。ここでは、回答者にリーチするためのアンケート方法を4つご紹介します。

オンラインアンケートでは、インターネットを介してターゲット層からの回答を収集します。回答者は、一日中いつでもスマホやPCでアンケートに回答できます。

オンラインアンケートのメリットとベストプラクティス:

  • アンケートを作成する際に、回答を匿名にすることができます。匿名にすると、回答者が安心して率直なフィードバックを提供してくれます。
  • 調査に必要な標本サイズが大きい場合は、SurveyMonkey Audienceのようなグローバル調査パネルを利用して対象者を増やすことができます。
  • アンケートや質問の中には、一部の回答者にあてはまらないものがあります。アンケートロジックを使用すると、オンラインアンケートをできるだけ短く、関連性の高いものにすることができます。アンケートロジックを使用すると、対象ではない回答者を除外したり、該当しないセクションをスキップしたりできます。
  • オンラインアンケートは、他の方法に比べて分析が簡単です。届いた回答が自動的に集計され、割合や数字として表されるためです。SurveyMonkeyには、データの解釈、隠れたインサイトの発見、関心を引くレポートの作成に役立つ分析機能も揃っています。
  • すぐに使えるアンケートテンプレートで時間を節約できます。調査の目標に沿ったアンケートを見つけ、ニーズに合わせてカスタマイズします。その後、招待メールからWebサイトへの組み込みまで、数あるアンケートの送信方法から適切なものを選びます。

対面でのフォーカスグループや調査セッションを行う際に、参加者に紙のアンケートに記入してもらいます。

紙のアンケートは、現在でも使われているものの、人気は衰えています。物理的な書類・郵便物の形で提供されるため、環境への負荷が大きく、送付に時間と費用がかかります。また、郵便での返送や手渡しでの提出を嫌って回答しない人もいます。

紙のアンケートで収集したデータは、分析が簡単ではありません。発見事項を文書化し、数字を分析するためには、回答文も含めたデータをすべて手作業で入力しなければなりません。

支持政党を調べるときなどに、電話でアンケートを実施します。また、インタビュー調査などの調査セッションには、ビデオ通話が適しています。主眼は、アイデアを出したり、新たな仮説を立てたりするために、詳しいインサイトを得ることにあります。

現在では、電話アンケートでフィードバックを集める組織は少なくなりました。オンラインアンケートが広く普及したためです。

電話アンケートで得たデータには、文字起こしのミスが原因で歪みが生じる場合があります。また、回答者が質問者と直接対話しているため、正直な意見を言いにくいという問題もあります。

対面アンケートでは、ビデオ通話やインタビューと同様に、調査者が対面で参加者に質問します。

訓練を受けた調査者が、回答者のボディランゲージを読み取ったり、関連性の高いフォローアップの質問をしたり、必要に応じてさらなる情報を探ったりします。

インタビューやフォーカスグループにも言えることですが、対面アンケートから得たインサイトは、対象とする母集団に一般化するのが困難です。

さらに、対面アンケートは、調査者が直接アンケートを実施するため、アンケートバイアスが生じるリスクがあります。調査者がうっかり先入観にとらわれた発言をしたり、誘導質問や多重質問をしたりなど、何らかのミスを犯せば、発見事項に歪みが生じてしまいます。

アンケート調査の例について言えることは、アンケートの設計が悪ければ優れた発見はできない、ということです。アンケートの焦点が合っていなかったり、不明瞭で誤解を招くような質問があったり、回答者を不快な気分にさせたりした場合は、低い回答率や不正確なデータに悩まされることになるでしょう。どのようなアンケート調査を行う場合でも信頼性の高い結果が得られるように、安定したアンケートを設計する方法をご紹介します。

  1. 必ずアンケートの目標を設定します。そうすれば、テーマを絞り切れない、1回のアンケートで複数の仮説を検証する、といった事態を防ぐことができます。
  1. さまざまなサンプリングの種類を検討して、調査に合ったものを選びます。結論を導き出せるような、代表性の高い標本を特定して抽出するには、どうすればよいでしょうか。標本のサイズや特性は、対象とする母集団の特性に依存します。
  1. アンケートのために効果的な導入文を書きます。調査によっては、実施団体についての情報を提供したり、データの用途を説明したりする必要があります。
  1. アンケートはできるだけ短くして、自由回答形式の質問の数を抑えます。自由回答形式は、時間をかけて考えないと回答できないため、回答者が気後れしがちです。
  1. 同様に、アンケートは論理的に構成し、簡単で一般的な質問から始めて、徐々に複雑な質問やパーソナルな質問へと移るようにします。
  1. 適切であれば、割引やポイント、ギフトカードなどのアンケートインセンティブを提供して参加を促します。
  1. アンケートを実施する前に、チームメイトや同僚からプロジェクトに関するフィードバックをもらいます。アンケートで共同作業をすれば、質問の内容に賛同してもらえるかが確認できます。また、スムーズな回答体験を保証するために、送信前にアンケートを必ずプレビューしましょう。

アンケートの目的を達成するためには、それがビジネス用か研究用かに関わらず、探索型調査、記述型調査、因果型調査を適切に混ぜることが大切です。

 量的アンケートと質的アンケートを組み合わせた、よく練った調査計画を作成することで、戦略的判断に役立つ実用的なインサイトを得られます。

今すぐ始めましょう。回答者が集まらなくて困っている場合は、SurveyMonkey Audienceにアクセスするか、調査のニーズに適したプランを選択してください。

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