会社に関わる体験が良いものになれば、従業員の幸福度は高まり、顧客は満足します。しかし、従業員や顧客が実際に感じていることを知らずして、その体験を改善することはできません。
改善に向けた明確な道筋をつけるには、顧客や従業員からフィードバックを集めることが必要です。その際に、単発のフィードバックを得て満足するのではなく、継続的なフィードバックループを確立すると、データや洞察、目標を繰り返し得ることができ、顧客や従業員の体験を合理化する上で大いに役立ちます。
フィードバックに応えて行動を起こすことで、顧客の心をつかむ顧客体験を届け、会社が素晴らしい職場である理由を従業員に繰り返し示すことになります。
フィードバックループとは、フィードバックを受け取り、認めて、対応し、活用するという一連のプロセスを指します。これは、インプット(フィードバック)をアウトプット(行動)に転換する仕組みです。ループとして取り組むと、フィードバックに基づいて行った変更が将来的に新たなフィードバックを引き出しやすくなるという好循環が生まれます。
フィードバックは、ビジネスにおける問題を発見し、改善するための強力なツールとなります。たとえば、バス会社のGreyhoundは、あるバス停のトイレに対する不満を示すフィードバックを受け取りました。しかし、定期チェックではどの個室も清潔です。
そこでさらに調査を進めると、その女性用トイレが、1日で最も忙しい時間帯に45分間も清掃のために閉鎖されていたことが判明しました。フィードバックを読んで対応することで、Greyhoundは行動を起こし、顧客満足度を劇的に向上させることができたのです。
フィードバックには、称賛する肯定的な意見もあれば、批判する否定的なものもあります。どのような感情に基づく意見であれ、フィードバックループは必ず閉じることを目指してください。顧客の声に耳を傾け、その意見を認め、フィードバックに基づいてこれから起こす行動について知らせると、顧客フィードバックを重要視していることが伝わります。
同様に、実際に何らかの変更を行った後にも、約束を果たしたことを知らせるため、実行した手順について明確に伝えることを忘れないでください。
フィードバックループはビジネスのあらゆる分野で見られます。従業員にとって良い環境を整えるため、顧客にとって良いサービスを構築するためなど、フィードバックループはとても便利なツールです。
フィードバックループにはさまざまな形があります。違いは、フィードバックの提供者と、そのフィードバックに基づいて加える変更の種類です。
ビジネス環境で一般的なフィードバックループの種類をいくつかご紹介します。
顧客フィードバックループとは、顧客体験(CX)チームがサービスや製品、体験を改善するために用いる戦略です。このタイプのフィードバックループでは、顧客フィードバックを定期的に収集し、得られた提案に基づいてビジネスを強化することが含まれます。
効果的な顧客フィードバックループを構築するには、フィードバックを定期的に収集することが欠かせません。顧客と頻繁に接触することで、会社に関わるカスタマージャーニーをよりクリアに理解できます。顧客フィードバックループを利用してフィードバックに基づいた行動を起こし、次のような目標を達成しましょう。
顧客フィードバックループでのフィードバックの収集方法
顧客フィードバックループを始めるには、まず、顧客からデータを収集する必要があります。顧客フィードバックを集める主な方法は3つ、フォーカスグループ、市場調査、そしてアンケートです。
フォーカスグループでは、ターゲット市場を代表する人々が一堂に会し、製品やカスタマージャーニーについて話し合います。司会者がより個人的な会話を回答者とできるため、リアルタイムでフィードバックを得たり、会話を通じて顧客の感情を観察したりできます。
市場調査では、公開されているデータと業界の分析情報に基づいて消費者の行動を追跡します。また、アンケートを使って、自社で顧客調査を独自に実施することもできます。
顧客フィードバックループで使用できるアンケートには、以下のようなものがあります。
以上の顧客体験アンケートは、顧客の声(VoC)プログラムを成功させるための柱となります。
このように、顧客アンケートやフォーカスグループ、市場調査などからデータを収集することで、顧客フィードバックループを成功させるために必要な情報が得られます。
従業員フィードバックループは、従業員体験を改善して合理化するために会社が用いる戦略です。満足度が高い従業員は、一般的に生産性が高く、離職率が低い傾向があるため、会社で長く働いてくれます。従業員フィードバックで、従業員が求めている社内の改善点を発見しましょう。
従業員フィードバックループを取り入れると、多くのメリットがあります。
顧客フィードバックループの場合と同様、従業員フィードバックを得るのに便利な方法がアンケートです。特に、従業員Net Promoter Score(eNPS®)アンケートは、会社での仕事に関して従業員が抱いている感情を測定します。従業員が感じている全体的な満足度やロイヤリティーについて洞察を得ることができます。
eNPSは、従業員の体験を改善して満足度を高める余地のある分野を特定するツールです。
フィードバックループは循環的なプロセスで、顧客と会社の間で絶え間なくやり取りするフィードバックと承認に依拠しています。フィードバックを受け取るだけでは十分ではありません。顧客のコメントに基づいてとる行動を説明する、フィードバックのフォローアップも同様に重要です。
フィードバックに応えることで、フィードバックを提供してくれた人にその意見が重要であり、会社で積極的に活用していることを示せます。このように提供者の意見を認める行為には、顧客からのフィードバックをさらに引き出す効果もあります。同様に、フィードバックに基づいて製品やサービスに加える変更も、将来的にさらに変化をもたらし、顧客の意見を促すことになります。
フィードバックは次のフィードバックを引き出し、さらにそのフィードバックが次のフィードバックにつながる... ただし、このような好循環が生まれるのは、ループを閉じたときだけです!
フィードバックループを閉じると、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょう。
フィードバックループを閉じると、会社と顧客の間に信頼関係を築くことができます。誰かからフィードバックをもらったとき、その始まったループを開いたままで放置していると、当てにならないと感じさせてしまう恐れがあります。フィードバックに基づいて行動を起こしたかどうかどころか、フィードバックの内容が読まれたのかさえ怪しく感じてしまうでしょう。
会社の今後の方針や、データから得た洞察などを伝えてフィードバックループを閉じると、回答者の意見が本当に重視されていることが伝わります。常にフィードバックに応じて、問題のある分野を改善するための行動計画につなげることが、会社に対する信頼の構築につながります。
フィードバックループを閉じると、その後の反応がとても良くなります。コメントに返信し、フィードバックの内容に真摯に向き合っていることを証明する行動を起こすと、改善に努めている会社の態度が従業員や顧客に伝わります。
フィードバックループへの対応は、競合他社との差別化にもつながります。多くの企業が従業員や顧客のフィードバックを集めていますが、変化を生み出すためにこのデータを実際に活用している企業はごくわずかです。
フィードバックループを毎回閉じることで、信用でき、頼りになり、顧客中心のブランドである印象を与えることができます。また、会社からのサポートやインスピレーションを従業員が感じることの重要性について、上層部に証拠を示すこともできます。
顧客体験の担当者の52%以上が、顧客フィードバックプログラムへの投資を増やしたいと考えています。顧客フィードバックループが顧客満足度を向上させるための強力なツールになり得ることを考えれば、至極当然のことでしょう。
フィードバックは、カスタマージャーニーのさまざまな時点で集めることができます。全体的なアプローチを取り、長期的な視野で各領域を改善することで、顧客体験を合理化し、満足度を高めることができます。
CX担当者がフィードバックを求めるカスタマージャーニーのタッチポイント | |
カスタマーサポート・サービス対応の後 | 42% |
購入の後 | 39% |
Webサイトを初めて訪問・操作したとき | 37% |
製品・サービスの使用をやめた後(解約・退職アンケート) | 35% |
商品をカートに入れたままの場合(カート放棄アンケート) | 32% |
FAQを参照したとき | 30% |
オンボーディングの完了後 | 30% |
更新・再購入の前 | 29% |
フィードバックループを閉じることで恩恵を受けるのは顧客だけではありません。
社内的には、会社が従業員の体験を改善しようとしていることを示し、従業員の満足度を大幅に高めることができます。自分の会社が従業員の利益を大事にしている、と感じている従業員は、仕事に対する意欲も高まります。従業員エンゲージメントは、生産性や効率性の向上などさまざまなメリットにつながりますので、まさにWin-Winです。
加えて、従業員満足度が高まると顧客満足度も高まるため、フィードバックループを閉じれば誰にとっても良いことしかありません。
受け取るフィードバックの種類によって、ループを閉じる方法は変わります。サービスに非常に満足している顧客への回答と、解決すべき問題を詳細に記した回答には、異なる対応をしなければなりません。
フィードバックの文脈ごとに、フィードバックループを閉じる方法を見てみましょう。
肯定的なフィードバックをくれた顧客や従業員は、会社から連絡があると喜んでくれることでしょう。フィードバックに応えることが、会社に対する顧客の満足度を高めることにつながります。このような会話は双方が前向きな気持ちで始めることができるため、取り組みやすいケースです。
肯定的なフィードバックのループを閉じるときは、回答者にさらなる行動を促すチャンスになります。たとえば、会社を友人に勧める方法について明確な手順を提供することができます。あるいは、ケーススタディとして使わせてもらうために、会社に関する経験についてのレビューを書いてもらえるかもしれません。
フィードバックに応答するときは、できる限りパーソナライズするのがポイントです。顧客や従業員の名前で呼びかけ、実際のコメントにあった内容に言及すると、顧客や従業員の声に耳を傾けていることを具体的に示すことができます。
肯定的なフィードバックへの対応例をご覧ください。
{名前}様 平素より当社をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。X社のYと申します。この度は当社の顧客体験についてご意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。カスタマーサポートが親しみやすく、丁寧な対応であったと伺い、大変嬉しく思っております。すでにご存知かもしれませんが、ただ今、お友達に弊社サービスを勧めていただくと、さらに3ヶ月間無料で当サービスをご利用いただけます。また、弊社サービスで何か改善できる点にお気づきでしたら、お気軽にご連絡ください。
中立的なフィードバックは、会社の良い面を取り上げているわけではありませんが、提供している体験に大きな欠点がないということを示しています。この位置にいる顧客は、顧客体験をもっと肯定的なものにして、ロイヤリティーを獲得するチャンスです。
フィードバックに改善可能な内容が含まれている場合は、顧客に返信し、そのフィードバックに基づいて改善に取り組んでいることを伝えるのがベストです。顧客の問題を認め、その問題を解決するために実施している手順の概要を説明する返信をすると、顧客満足度の向上につながります。
可能であれば、顧客からより詳しい情報を収集するようにしてください。特に、顧客が改善すべき点を明確に提案していない場合は、以下のメッセージを使って中立的なフィードバックのフォローアップができます。
{名前}様 平素より弊社をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。X社のYと申します。弊社での体験に関してお寄せいただいたご意見を拝読いたしました。貴重なお時間を割いてご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。弊社はお客様に少しでも良い体験をしていただきたいと願っております。すべての方により良いサービスをご提供するために、弊社で改善できる点はございませんでしょうか?もしアイデアなどありましたら、ぜひお聞かせください。何卒よろしくお願いいたします。
否定的なフィードバックは、最も対応が難しいデリケートな回答です。しかし、このフィードバックは回答者を驚かせ、ブランドのファンに変身させる最大のチャンスでもあります。
否定的なフィードバックのループを閉じるときには、その人の経験を認め、詳細を尋ね、誠実に対応する必要があります。すぐに解決策を講じて顧客の不満を解消することができない場合には、少なくとも、今後数ヶ月程度で会社がどのような改善策を講じようとしているかを伝えてください。
可能であれば、解決策に焦点を当て、詳細を尋ねてます。否定的なフィードバックへの回答は、たとえば次のようにしてはどうでしょう。
{名前}様 平素より弊社をご利用いただき、誠にありがとうございます。X社のYと申します。弊社の価格設定について、最近いただいたご意見を拝読し、ご連絡差し上げました。弊社の価格設定は、弊社サービスの質を反映しているものと考えておりますが、すべての方にご利用いただけるものではないことも承知しております。そこで、今夏より、さらに手頃な価格帯を導入する予定であることを一足先にお知らせいたします。それまでの間、弊社製品を1ヶ月間無料でお試しいただけるクーポンをご用意いたしました。お客様の体験を改善するためにできることがございましたら、ぜひお知らせください。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
フィードバックループは、従業員や顧客の体験を改善するための効果が大きい手段です。フィードバックを収集し、改善に向けた実行可能な対応を割り出して、講じた対策を回答者に説明することで、回答者の支持を集め、満足度を高め、顧客体験と従業員体験プログラムを強化できます。
SurveyMonkeyで顧客や従業員のフィードバックについてもっと学びましょう。
Net Promoter、Net Promoter Score、NPSは、Satmetrix Systems, Inc.、Bain & Company Inc.、Fred Reichheldの登録商標です。
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