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支払い意思額アンケートを使って製品価格を決める方法

消費者というのは常に値段当てゲームをしているようなものかも知れません。

消費者は、ある製品に対していくら払う用意があるか、いくらなら高すぎるかを常に明確に知っています。

行動科学やビジネスの世界では、これを支払い意思額と呼びます。支払い意思額の概念やその作用を理解することは、バランスの取れた理想的な製品価格を設定するうえで不可欠です。値段が安すぎれば利益が少なくなり、値段が高すぎれば買ってもらえるはずの見込み客にも買ってもらえなくなります。

製品を売り出してから価格が高すぎることに気づくような事態は避けなければなりません。そのような事態を最も効果的に防ぐツールが支払い意思額アンケートです。製品に値札を付ける前に、価格設定パラメーターを明確に特定することができます。

支払い意思額(WTP)は、顧客がある製品・サービスに対して払う意思のある最大額を指します。見込み客は、支払い意思額より低い額を払うことはあっても、支払い意思額より高い額を払うことはまずありません。通常、支払い意思額は1つの価格で表されますが、価格範囲で表される場合もあります。

一般消費者の2人に1人、B2B消費者の5人に2人が、価格は購入に至るプロセスで最優先する項目の上位3つに入ると答えていることを考えれば、支払い意思額を特定することの重大さがわかるでしょう。

企業は、支払い意思額だけでなく、受け取り意思額という概念も理解する必要があります。

支払い意思額は消費者が払う額ですが、受け取り意思額は売り手である企業側が商品・サービスに対して受け取らなければならない額を指します。

この2つの概念が交差する点が取引価格であり、この価格は、買い手の支払い意思額と売り手の受け取り意思額の間にあります。それが、取引という車輪を回し続けるためのスイートスポットなのです。

前述のように、製品・サービスの支払い意思額を特定して適切な価格を決めるうえで、アンケートは重要な役割を果たします。支払い意思額アンケートを使うと、消費者に買ってもらえると同時に利益が最大化されるような価格を設定し、自信を持って製品を市場に出すことができます。また、トレンドなど、消費者の購買行動に影響する外的要因の変化に応じて価格を調整する際にも、支払い意思額アンケートが役立ちます。

お金は繊細な話題なので、アンケートで支払い意思額について聞くときは、どのように聞くかを慎重に検討しましょう。アンケートを通じて正確なデータやフィードバックを得るために、いくつかの項目を考慮に入れる必要があります。支払い意思額アンケートを作成する際に意識すべき要因として、次の2つが挙げられます。

  1. 通貨を決める: 米ドルと日本円は、価値が異なります。アンケートでは、どの通貨で額を特定したいのかを決める必要があります。
  2. 料金システム: 定期サービスまたはサブスクリプションを提供している場合は、アンケートで料金システム(1回限り、月額、年額など)を明記するようにしましょう。また、事前に市場調査を行えば、競合他社が類似のサービスにどのような料金システムを適用しているかを把握し、それを参考にしてアンケートを作成することができます。

自由形式の質問をすると、回答者が自分自身の言葉で答えてくれるため、支払い意思額に関する広範な洞察が得られます。たとえば「この製品・サービスの金額はいくらぐらいだと思いますか」と質問し、回答を記入するためのテキストボックスを用意します。製品の需要やターゲット市場、その他の関連要因についてどの程度わかっているかにもよりますが、このような自由形式の質問で得られる質的なデータからは、意外なことがわかり、新しい側面から価格設定を検討することができます。

自由形式の質問は、新しい製品・サービスに関する支払い意思額アンケートで特に効果を発揮します。たとえば、その製品・サービスの価格について消費者が固定観念を持っていない場合に自由形式の質問をすれば、決まった選択肢が用意されないので、ターゲット層がいくら払う意思があるかを正確に測定することができます。

自由形式の質問は、次のような場合に適しています。

  • 詳細が決まっているコンセプト: 新しく企画する製品・サービスについて、すでに詳細が決まっている場合でも、自由形式の質問を使って下調べをすれば、詳細や仕様が消費者に受け入れられるかどうかを確認できます。
  • 競合製品が存在しているコンセプト: 新しい製品・サービスと競合企業の製品の間にどのような差異があるか、また、競合製品と比較して価格設定が適切かどうかを調べる際、自由形式の質問が有効です。 
  • 限られた回答選択肢: 回答者に限られた数の選択肢を提示し、該当するものを選択してもらいます。そこに、その回答を選択した理由を記入するテキストボックスを追加するなどして自由文で背景を説明してもらうと大きな効果が得られる場合があります。

自由形式の回答は、内容を自由に書けるだけあって、選択回答形式の質問と比べて分析が難しいという面があります。しかし、感情分析やワードクラウドのようなパワフルなテキスト分析機能を利用すれば、支払い意思額に関連する顧客の感情をすばやく把握することができます。

選択回答式の質問では、回答者にあらかじめ用意した回答選択肢を提示します。支払い意思額アンケートの場合、具体的なプライスポイントや価格範囲を選択肢にすることができます。選択回答式の質問は、具体的な結果を収集してトレンドを検出するのが目的であるため、価格に関する質問を通じて大まかな洞察を得るうえで役立ちます。

「この製品はいくらぐらいだと思いますか」という質問を選択回答式にする場合、自由形式のときとは違っていくつかの回答選択肢を用意する必要があります。また、次のような点に注意することも大切です。

  • 回答選択肢の数: 価格を示す回答選択肢の数は、アンケートの内容や目的によって異なるものの、一般に推奨される数は4~6個です。  
  • 複数の選択肢・範囲: 特定の金額と価格範囲のどちらを選択肢にするかを検討します。金額にした方が具体的な回答が得られますが、価格範囲にした方が多少柔軟な価格設定が可能になります。

支払い意思額アンケートを作成する際、選択回答形式の質問を使った方が効率的かつ明確なデータを得られるケースはよくあります。自由形式で「いくらだと思いますか」と聞く質問は、誘導的な要素がないため、より望ましい形式と言うことができますが、製品に付けられるプライスポイントの数が限られている状況では選択回答形式が適しています。たとえば、サービスの価格としてすでに3つのプライスポイントが決まっていて、どのプライスポイントが最も多くの人に受け入れられるかを知りたい場合です。価格テストテンプレートを使用すれば、用意した選択肢の中から選んでもらう選択回答形式の質問ですばやくアンケートを作成できます。

選択回答形式の質問は、次のような支払い意思額アンケートで特に効果を発揮します。

  • 大まかなコンセプト: 新しい製品・サービスの開発がまだ初期段階にあり、見込み客にとってどれぐらいの値段が最も魅力的かを大まかに把握したい場合は、選択回答形式が適しています。 
  • 競合製品がまだ存在しないコンセプト: 類似の競合製品から差別化するのではなく、まったく新しい製品を開発しようとしている場合です。選択回答形式の質問を使うと、そのような製品に対してお金を払う意思があるか、いくら払う意思があるかを調べることができます。
  • 限られた数の選択肢: 選択回答形式の質問では、回答者に無限の選択肢が与えられるわけではないので、ある意味、常に選択肢が限られています。その中でも、たとえば前述の価格範囲の例など、提示する選択肢を3つ程度に限定した方がよいケースがあります。
  • 価格感度: 価格感度とは、製品の価格が顧客の購入意思にどの程度影響するかを示します。価格感度を量的に測定する能力は、適正価格を見つけるうえで重要な要素です。

「消費者の価格感度が高い」とは、価格と需要が強く関係していることを意味します。価格が上がると、売上が下がります。逆に、価格が低すぎる場合は、価格の変化が売上に影響しない可能性があります。

支払い意思額アンケートの選択回答形式の質問を分析するときは、クロスタブやベンチマークといった機能を活用して価格設定データを精製し、すばやく簡単に判断が下せるようにしましょう。

Van Westendorpの価格感度メーターは、潜在的な買い手に直接質問するのではなく、間接的に支払い意思額を測定する効果的な手段として知られています。

Van Westendorpの価格感度メーターでは、潜在的な顧客にプライスポイントを指定してもらう代わりに、価格範囲を査定します。

この方法で価格を設定するためには、アンケートの最後に次の4つの質問をする必要があります。

  1. 値段がいくら以下なら、製品の品質を疑いますか。
  2. 値段がいくらなら、お買い得だと思いますか。
  3. 値段がいくら以上なら、高いと思い始めますか。
  4. 値段がいくらなら、高すぎると思いますか。

Van Westendorpの価格感度メーターを使うと、価格範囲に対する消費者の感情を効果的に測定できます。1つの質問でずばり値段を聞く場合に比べ、バイアスが少ないだけでなく、製品・サービスに対して消費者が払う意思がある価格範囲を包括的に特定することができます。

製品・サービスが売れるようにするには(かつ、利益が上がるようにするには)、適正価格であるスイートスポットを見つけなければなりません。支払い意思額アンケートを使えば、売り手と買い手の両方が得をします。無料のSurveyMonkeyアカウントに登録して、始めましょう。

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