従業員エンゲージメントの秘訣探しの旅は、従業員が会社を良い職場として推奨する可能性がどの程度あるのかを尋ねる、ひとつの単純な質問から始まります。
従業員エンゲージメントの低下は、生産性に悪影響を与え、従業員不足を加速させます。離職率の削減に長けている人事担当者は全体の3分の1しかいないという中、効率的に職場の感情を測定し、フィードバックを収集することで、満足度と定着率を改善するための洞察を得ることができる「従業員Net Promoter® Score(eNPS)」は、間違いなく企業の大きな力になります。
eNPS®は、従業員の満足度とエンゲージメントを測定する業界標準の指標で、「この会社で働くことを友人や同業者に勧める可能性は、0~10の尺度でどの程度ありますか」という、とてもストレートな、たった一つの質問をベースとします。
従業員は、この可能性を0から10までの尺度で評価します。そして、eNPS®評価スケールに基づいて、従業員を批判者、中立者、推奨者の3つに分類します。
この尺度は、職場に対する非常に熱心な感情から批判的な感情まで、従業員の感情の幅を捉えます。評価の軸をたった1つの指標に単純化することで、従業員体験の全体的な健全性を素早く測定することができます。
eNPS®は、より詳細な分析やアクションへと深める前のスタート地点となり、従業員エンゲージメントやロイヤリティーの傾向をより深く理解するための基盤を作ります。従って、この後に従業員アンケートやインタビューなどの調査につなげるのが一般的です。
eNPS®は、Bain & CompanyとFred Reichheldによって構築されたNet Promoter® Scoreシステムから派生しました。Bain & Companyが構築したNPS®フレームワークは顧客ロイヤリティーを評価するものですが、これを人事担当者が従業員の体験を評価するために応用したのです。
eNPS®は、従業員の感情について重要な洞察を提供します。従業員は会社の顔であり、顧客関係を強化して、市場全体での存在感を高めます。eNPS®が重要である理由は主に3つあります。
従業員の離職という課題の解決は、依然として人事の最重要課題です。eNPS®を実施することで離職の根本原因を突き止め、定着率を上げる戦略に必要な情報を入手できます。たとえば、eNPSスコアによって従業員の報酬や福利厚生に対する不満が浮き彫りになれば、会社は現行の待遇の強化に踏み出すことができるでしょう。
eNPS®は、従業員が会社を素晴らしい職場として他者に推薦する可能性を反映しています。この感情は、社内のブランドの健全性や従業員からの支持をダイレクトに示すものです。
従業員は日ごろから自然と、仕事での体験について友人や家族に、あるいはSNS上で話しています。満足度とエンゲージメントが高ければ、必然的に、会社の推奨者になるのです。逆に、エンゲージメントの低い従業員は、否定的または無関心な感情を自然と広げるため、ブランドに悪影響を及ぼす恐れがあります。
関連トピック: eNPSを使って従業員体験のギャップを埋める
従業員の減少率だけに頼る必要はありません。eNPS®は従業員エンゲージメントを測る、明確かつ数値化できる尺度です。つまり、戦略的な人事計画や改善イニシアチブの基盤として活躍します。さらにこのデータを利用して、潜在的な問題が拡大する前に対処できます。
最近のSurveyMonkeyのレポートでは、人事の課題を乗り越えてチャンスを活用する上でのeNPS®の重要性が強調されています。
従業員NPS®では、NPS®と同じ計算式を使います。まずは、批判者、中立者、推奨者の人数からそれぞれの割合(%)を出します。
推奨者(%)から批判者(%)を引きます。中立者は無視してください。スコアに直接は影響しません。
たとえば、回答者の30%が推奨者、20%が批判者である場合、eNPS®は10になります(30% - 20% = 10)。
eNPS®スコアは理論上は-100から100までありますが、実際には30を超えることはめったにありません。
eNPS®ベンチマークは、業界によって大きく異なる点に注意してください。ある業界で良いとされるスコアも、別の業界では平均点かもしれません。
たとえば、昔から従業員満足度が低い業界では、スコアが20でも十分肯定的に捉えられるかもしれません。逆に競争の激しい業界では、従業員の体験やエンゲージメントが重視され、50以上のスコアが目標とされている場合があります。
eNPSは従業員満足度を数値化できる、言わばスナップショットですが、このスコアで終わるのでなく、他の種類の従業員フィードバックと組み合わせて、従業員のロイヤリティーとエンゲージメントの全体像を細かく把握することが重要です。
基本となるeNPS®の質問の他にeNPS®の質問を追加したり、スコアの理由を探る従業員フィードバックアンケートを実施したりしてフォローアップしましょう。アンケートを匿名にすると、遠慮のない正直なフィードバックが集まります。
関連トピック: 匿名の従業員アンケートを作成する
eNPS®のフィードバックを分析し、採用や新入社員のオンボーディングから、インクルーシブな職場の構築と維持まで、改善すべき、効果の大きい分野を見つけましょう。
フィードバックに現れた傾向と、従業員の満足度とエンゲージメントに与えると思われる効果に基づいて、従業員の日々の体験に直接影響を与える分野から優先順位を付けて取り組みます。
柔軟な勤務形態や従業員のウェルネスプログラム、最新の学習・開発ツールなど、現在の人事のトレンドと機会を定期的に調査し、取り入れましょう。
eNPS®アンケートを定期的(四半期ごと、半年ごとなど)に実施し、傾向を把握し、変更点の影響を測定します。事前にアンケートのスケジュールを立て、会社のカレンダーに組み込むと、従業員が継続してアンケートに参加しやすく、分析にも即時に取り掛かれます。
フィードバックの収集から分析まで、従業員体験を追跡・管理して、eNPS®の手続きをシンプルにしましょう。
作成済みのアンケートテンプレートや専門家が作成した質問など、直感的なツールとリソースがそろった従業員エンゲージメントを効率化するプラットフォームを導入すれば、面倒な業務を増やすことなく手軽にアンケートを作成して配布できます。
人事戦略に組み込むことで優秀な従業員を維持しながら新たな人材を惹きつけることができるeNPS®は、競争の激しい今日の労働市場において極めて重要な鍵を握るツールとなります。eNPS®を定期的に追跡して従業員エンゲージメントを常に把握し、会社の方向性が従業員のニーズや期待に沿っているかを確認しましょう。
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Net Promoter、Net Promoter Score、NPSは、Satmetrix Systems, Inc.、Bain & Company Inc.、Fred Reichheldの登録商標です。