Net Promoter Score(NPS®)アンケートは、見かけはこれ以上なくシンプルです。何しろ質問が1つしかないのですから。しかし、その1つの質問の裏には、長い歴史と膨大な調査、効果的に使うために必要なノウハウが隠れています。
このガイドでは、Net Promoter Scoreアンケート質問について知っておきたいことをすべて、50以上の例や始めるためのヒントも含めてご紹介します。
Net Promoter Score(NPS)は、顧客ロイヤリティーの測定に広く使用されている指標です。総合的な顧客感情を評価し、会社の今後の成長を予測するために役立ちます。
顧客関係管理に欠かせないツールであるNPSは、次のようなメリットをもたらします。
NPSアンケートの構造は、「当社(または当社の製品・サービス)を友人や同僚に薦める可能性はどの程度ありますか」という基本のNPS質問と、0~10段階の回答で構成されます。質的なフィードバックを集める目的で、アンケートに自由回答形式のフォローアップ質問を含める場合もあります。
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Net Promoter Scoreアンケートは、ロイヤリティーや満足度を測定する効果的な手段ですが、すべてのNPSアンケートが同じ目的を持つわけではありません。NPSアンケートには、主に、顧客や従業員の感情を異なる文脈で測定する3つのタイプがあります。
トランザクショナルNPSアンケートは、以下のような特定のやり取り、またはイベントの直後にトリガーされます。
tNPSアンケートを主要なタッチポイントで実施すると、会社の強みと弱みを特定することができます。tNPSアンケートはリアルタイムでフィードバックを集めるため、顧客とのやり取りにすばやく改善を加えるのに役立ちます。
トランザクショナルNPSの例
顧客から、購入手続きがわかりにくいというフィードバックがあったなら、入力フィールドを減らすか、進捗状況インジケータを加えるなどの方法で、手続きをすばやく単純化することができます。カスタマージャーニーの段階や、やり取りに合わせてNPSアンケート質問を調整すれば、焦点の合ったインサイトを集め、顧客の満足度やロイヤリティー、総合的な体験の改善に役立てることができます。
リレーショナルNPSアンケートは、全体的な顧客ロイヤリティーとブランドのイメージを長期的に評価します。1回のトランザクションに焦点を当てるのではなく、総合的な体験に基づいて会社を他の人に薦める可能性がどれぐらいあるかを聞きます。通常は、四半期に1回、または1年に1回など、定期的に実施して顧客ロイヤリティーのトレンドを追跡します。
リレーショナルNPSの例
サブスクリプション型のソフトウェアを提供している会社なら、半年ごとにrNPSアンケートを実施して、プラットフォームやカスタマーサポート、全体的な価値に対する顧客の満足度を測定するでしょう。スコアが下がり始めたら、製品の使い心地、価格、サポートの応答時間などが顧客のロイヤリティーに影響していないかを調査します。
関連トピック: リレーショナルNPSと、トランザクショナルNPSの違いや、それぞれの用途についてご説明します。
eNPSは、従業員が会社を働きやすい職場として他の人に薦めてくれる可能性を測定します。eNPSのスコアが高い場合は、従業員の満足度とエンゲージメントが高いことを意味し、スコアが低い場合は、企業文化や経営陣、職場環境に問題があることを意味します。
従業員NPSの例
会社が毎年実施しているeNPSアンケートの中で、従業員がワークライフバランスに低いスコアを付けた場合は、仕事量を減らす、柔軟な勤務形態を可能にする、社内のコミュニケーションを改善するなどの措置を取ることができます。
関連トピック: 従業員に聞く優れたeNPSアンケート質問 20選と、woom bikesがグローバルeNPSで46点というスコアを達成した方法をご覧ください。
Net Promoter Score質問の文は、有効で信頼性の高い回答を得る上で重要な役割を果たします。質問文を工夫することで、バイアスを除き、一貫性を維持し、本当の顧客感情を捉えることが可能になります。ここで、効果的なNPS質問を書くためのベストプラクティスをご紹介しましょう。
NPS質問は、複雑さやあいまいさのない、わかりやすいものであることが大切です。明確な質問であれば、全回答者に一律に解釈してもらえるため、より信頼性の高い結果につながります。
ベストプラクティス:
ダメな例:
プロからのヒント: Net Promoter Scoreアンケートテンプレートなど、SurveyMonkeyのカスタマイズ可能なアンケートテンプレートを活用すると、異なる顧客セグメントから質の高いインサイトを得ることができます。
誘導質問は、回答者をそれとなく特定の回答へと導く質問であるため、正確な結果が出ません。中立的な言い回しを心がけ、特定の方向で答えなければいけないように感じさせることを避けます。
ダメな例:
NPS質問で顧客ロイヤリティーを具体的に測定するために欠かせないのは、「薦める」という言葉です。製品を薦めるかどうかを質問することで、顧客が積極的に製品・サービスを支持しているかどうかがわかります。これが、満足度やブランドロイヤリティーの指標となります。「薦める」ではなく「共有する」、「提案する」を使うと、関与度が低くなり、強い顧客感情を捉えることができません。
感情的、あるいは熱心な言葉遣いは、バイアスのかかった回答につながります。「すばらしい」、「好き」、「驚異的」といった言葉を見ると、回答者は、自分の体験が特にポジティブなものでなかった場合でも高く評価しなければいけないように感じてしまいます。
たとえば次の通りです。
一貫性は、NPSアンケートの要です。データの回収・分析・比較を一貫させるために、標準である0~10段階のスケールを使用しましょう。特殊なスケールを使用すると、回答の整合性が損なわれ、異なるアンケートで得たデータの解釈が難しくなります。常に0~10段階のスケールを使用することで、比較やデータ分析が簡単になります。
NPSアンケートは、どのぐらいの長さにすべきでしょうか。SurveyMonkeyのリサーチサイエンス・シニアマネージャーであるWendy Smithは、次のように言います。
NPSアンケートの中心となるのは、次のような質問です。
この質問が、NPSを計算し、顧客ロイヤリティーを測定するための基盤となります。最も重要な質問なので、アンケートに必ず含めるようにしましょう。
NPS質問が顧客ロイヤリティーの指標となる一方、フォローアップ質問は、回答者の評価の裏にある理由や背景を明らかにしてくれます。フォローアップ質問を1つか2つに抑えれば、回答者に負担をかけずに貴重なインサイトを得ることができます。フォローアップ質問の例には、次のようなものがあります。
NPSの結果に関する文脈情報を得たい場合は、デモグラフィック質問をいくつか追加するとよいでしょう。そうすれば、顧客プロファイルに従って回答を分類し、インサイトを見つけることができます。
一般的なデモグラフィック質問には、次のようなものがあります。
NPSアンケート回答の分析は、顧客感情の理解や、ロイヤリティーの改善に役立ちます。スコアやフィードバックを解釈することで、強みを特定し、弱みに対処し、顧客体験全体を強化することが可能になります。
Net Promoter Scoreは、次のような式で求めます。
効果的な分析を行うために、回答を次のグループに分類します。
では、推奨者・中立者・批判者の回答を分析する方法を見てみましょう。
推奨者を分析して、ロイヤリティーの原動力となるものが何か(サービス、製品の品質、ブランド価値など)を特定します。フィードバックで繰り返されているトピックがあるかを調べ、エンゲージメントのトレンドを追跡して、最大の支持が得られるようにします。推奨者の紹介行動やリピート購入を理解することは、満足度のさらなる向上に役立ちます。
中立者からは、期待に沿えたものの、それ以上でもなかった点についてインサイトを得ることができます。フィードバックを推奨者のものと比較すれば、改善の機会をピンポイントで特定できます。感情の変化を長期的に追跡し、小さな改善(コミュニケーションが良くなった、機能を追加した、など)がロイヤリティーの向上につながっているかどうかを調べます。
批判者は、顧客体験の中で弱い部分を強調してくれます。価格や使いやすさ、サービスに関して繰り返し言及されている問題がないかを確認し、ある場合は、その点を真っ先に改善します。フィードバックを分類してパターンを特定し、よりターゲットを絞ったアウトリーチや、サービスリカバリーといった介入の取り組みが、イメージの向上につながっているかどうかを追跡します。
関連トピック: NPSの推奨者・中立者・批判者をフォローアップして、顧客満足度を高めるためのヒントをご覧ください。
回答を分類したら、自由回答のフィードバックを分析して繰り返し言及されるトピックを見つけます。フィードバックを、製品の品質、カスタマーサービス、価格、使いやすさといったカテゴリーに分類することを検討しましょう。感情分析ツールや手動でのレビューを通じて、ロイヤリティーを促進する要因が反映されたトレンドと、改善の必要な部分を特定します。
では次に、NPSアンケートデータに基づいて行動を起こす方法を見てみましょう。
NPSアンケートでデータを収集するのは、最初の一歩に過ぎません。効果を上げるためには、フィードバックを適切に処理する必要があります。ここでは、顧客・従業員の体験を改善するためにNPSの回答を分析する方法、それに基づいて行動を起こす方法をご紹介します。
NPSの回答をデモグラフィックデータ(年齢、性別、年収など)や顧客ライフサイクルの段階といった要因で分類し、グループ別のトレンドを理解します。そうすることで、改善が最も必要とされている部分をピンポイントで特定できます。
プロのヒント: NPS戦略を実施する際は、アンケート回答が顧客層全体を代表したものになるよう、顧客基盤の多様性と規模を考慮に入れることが大切です。アンケートでデモグラフィックデータを収集する方法をご確認ください。
自由回答のフィードバックは、貴重なテキストを提供してくれます。顧客からのコメントで繰り返し言及されているトピックを分析すれば、どのような問題やポジティブな体験が満足度に影響しているのかを理解することができます。
批判者(スコアが0~6)は、不満を示します。不満を持つ顧客に働きかければ、その懸念を理解し、問題を解決し、離脱を防ぐことができます。NPSの批判者を推奨者に変える方法をご覧ください。
推奨者(スコアが9~10)は、ブランドの支持者です。推奨者に対して、レビューの投稿、「お客様の声」の共有、紹介プログラムへの参加を促せば、ポジティブな口コミを拡散させることができます。
中立者(スコアが7~8)は、中立ではあるものの、働きかければ推奨者になってもらえる可能性があります。価格の変更、機能の改善、サービスの強化など、どのような対策を講じれば評価が高まるかを理解し、ロイヤリティーを高めましょう。
NPSのフィードバックを活用して、面倒なオンボーディングプロセスを合理化する、カスタマーサポートの応答率を高めるなど、具体的な変更を進めます。小規模でもターゲットを絞った改善は、満足度の大幅な向上につながります。
NPSスコアと質的なフィードバックを定期的に追跡すれば、顧客感情の変化を特定し、行った変更の成果を測定することができます。
製品開発からカスタマーサービスの研修まで、経営上の広範な意思決定にNPSのインサイトを利用すれば、顧客の期待に沿った改善を行い、長期的に成功を促進することができます。
顧客満足度の追跡・改善は、ロイヤリティーを高めて成長を促進したい企業にとって欠かせないプロセスです。
顧客満足度の改善に取り掛かりましょう。SurveyMonkeyのNet Promoter Scoreアンケートテンプレートで始めるか、SurveyMonkeyを使ってNPSプログラムを成功させる方法をご確認ください。
Net Promoter、Net Promoter Score、NPSは、Satmetrix Systems, Inc.、Bain & Company Inc.、Fred Reichheldの登録商標です。
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