顧客体験(CX)の改善を望まない企業はないでしょう。しかし、購入者とのタッチポイント(顧客接点)を見逃していれば、本来できるはずの改善が手つかずとなり、悔しい思いをします。
顧客体験の善し悪しは、カスタマージャーニーで体験するいくつものやり取りを経た必然的な結果です。初めてWebサイトにアクセスしたときの印象から、商品の購入手続きにかかる手間、購入後の問題に対処するサポートに至るまで、すべてのやり取りが影響を与えます。
本稿では、自社のカスタマージャーニーにあるタッチポイントを特定して改善することで、成功へと導く優れた顧客体験を生み出す方法をご紹介します。
タッチポイント(顧客接点)とは、ブランドが顧客と接触する機会のことで、最初から最後まですべての接点を含みます。たとえば、顧客は次のようなタッチポイントで企業を見つけます。
このようなタッチポイントの特定は、カスタマー ジャーニー マップを作成し、商品を購入する前・最中・後のすべての段階で顧客を満足させるために行う一連の作業の最初のステップです。自社のタッチポイントについて深い知識を得ることで、顧客だけでなく接客するチームのためにも、より的確なビジネス上の意思決定を下しましょう。
タッチポイントは一度把握しておくと、カスタマージャーニー全般で顧客満足度を向上させるための道しるべとなります。
タッチポイントを知るメリットには、次のような点が挙げられます。
このように、カスタマージャーニーのタッチポイントを理解することで、企業と顧客のあらゆるやり取りを確信をもって調整することができます。
顧客がブランドに接触する可能性がある、すべての場所とタイミングをリストに挙げて、タッチポイントを特定しましょう。ここでご紹介するタッチポイントはあくまでも目安で、実際には業種や企業によって異なります。
購入前 | 購入時 | 購入後 |
SNS | 店舗・オフィス | 請求の詳細 |
評価・レビュー | Webサイト | 取引メール |
お客様の声 | カタログ | マーケティングメール |
口コミ | プロモーション | サービス/サポートチーム |
コミュニティへの参加 | スタッフ・営業チーム | オンライン ヘルプ センター |
広告 | 電話システム | フォローアップ |
マーケティング・PR | POS | お礼のカード |
購入前のタッチポイントは、顧客が企業を見つけるために最初に使用する手段です。企業やその店舗を直接、またはオンラインで訪問する前に見聞きする場面です。
最も一般的な購入前タッチポイントとして、次のような場面が挙げられます。
すべてのSNSプラットフォームを制覇する必要はありませんが、ターゲット層が使用しているチャネルのプロフィールは必ず作成しましょう。そして、面白くて役に立つコンテンツを定期的に更新してください。顧客のコメントには必ず応え(このようなやり取りこそがSNSを利用する理由なのですから)、潜在的な顧客との関係をしっかりと築きましょう。
紹介プログラムでは、紹介者(既存の顧客)と新規顧客の両方にインセンティブを提供します。新旧両方のグループに満足してもらい、その後、購入したり紹介したりする確率を高める戦略です。
オンライン広告のリンクからは、必ず広告と直接関連のあるコンテンツにたどり着くようにします。セールに関する広告なら、セール商品の詳細が掲載されているページに顧客を誘導する、というように。Webサイトを見てもらいたいという気持ちはわかりますが、登録フォームやホームページに誘導すべきタイミングではありません。ランディングページにある、関連したコンテンツで顧客の満足度を高めましょう。
購入体験で顧客のニーズと期待をすべて満たしていますか?これを知る唯一の方法が、購入時のタッチポイントを調べて、スムーズに購入準備ができたか、それとも途中でつまづいてしまったかを確認することです。
販売時点(POS)では、商品がどのようなニーズを満たすかなど、必要なすべての情報を、営業担当者やWebページが提供しなければなりません。顧客が購入を完了する前の最後の接点です。
支払プロセスは合理化され、直観的ですか?安全だと感じられますか?PayPal対応など、支払いに関する情報が漏れなく記載されていますか?決済がスムーズに終われば、顧客は安心して取引を終了できます。
顧客は時として、購入ボタンを押す前にちょっとした後押しを必要とします。営業担当者がやり取りする際、大事な情報をすべて伝えているでしょうか?
購入後のタッチポイントは、顧客が商品やサービスを購入した後に発生する接点をすべて指します。リピーターも、1回限りの購入者も両方含まれるため、実質的にこの期間に限度はありません。
購入後の一般的なタッチポイントには、主に次のようなものが挙げられます。
何らかの問題に遭遇した顧客は大抵、まずはカスタマー サポート チームに問い合わせようとします。カスタマー サポート チームが問題を効果的に解決し、迅速にアドバイスを提供すると、顧客満足度は向上します。
第一印象は大切です。商品が玄関に届いたとき、心に残る体験をしてもらう必要があります。印象が良い梱包や、インタラクティブな開封体験を準備することで、コスト不要の口コミマーケティングを生み出し、顧客満足度を上げるのに一役買うことができます。
購入が完了すれば目標達成!とばかりに安心してしまいがちですが、ここで気を抜いてはいけません。それどころか、顧客との関係はまだ始まったばかりです。購入体験のフィードバックは、顧客体験についての詳しい情報を集め、商品を気に入ってもらえたかどうかを確認するうえで、非常に貴重です。
併せて、カスタマーサービスのフィードバックアンケートを利用して、顧客からカスタマー サポート チームに商品の問い合わせがあった場合に、やり取りの詳細と商品の改善点を調査することもお勧めします。
自社のタッチポイントはどこでしょうか。接点は企業ごとに異なるため、顧客とのやり取りを分析して自社のタッチポイントを突き止める必要があります。
そこで次に、タッチポイントを特定して、素晴らしいやり取りを実現するための基礎を固める方法をご紹介します。
市場調査を行い、自社で購入する可能性が高い消費者のタイプを把握します。その顧客層に適した最初のタッチポイントを見極めましょう。
たとえば、ターゲット層が妊娠中のママなら、もうすぐ赤ちゃんの親になることに焦点を当てて新規顧客へのプロモーションコードやクーポンをSNSマーケティングで配布したり、割引メールを送信したりするとよいでしょう。
顧客がブランドと接触する手段は多岐にわたっているので、すべての接点を見つけろと言われても、途方に暮れてしまうかも知れません。しかし、自分の役割から離れて顧客の立場に立ってみると、作業がしやすくなります。
では今、顧客の立場に立ってみましょう。メモ用ツールを忘れずに準備し、顧客になっている間、気づいたことをメモしましょう。
次のような場面でどこに(どのように)行くか、考えてみてください。
さらに、顧客にブランドでの体験について詳しく説明するよう依頼したり、このカスタマージャーニーの質問をアンケート形式にして尋ねたりする方法も効果的です。
現在どのようなタッチポイントが設置されていますか?顧客の共感を得ている方法はどれでしょう?オンラインストアを運営し、オンライン広告やSNS、メールマーケティングを活用している場合、Webサイトでの売上に最も貢献しているのはSNSではないでしょうか。
社内で収集した統計は、タッチポイントとしてSNSでのプレゼンスを高める指針となるかもしれません。コンテンツ戦略アンケートを実施して、顧客が好むブランドとの関わり方の傾向について調べましょう。
カスタマー ジャーニー マップは、特定の顧客セグメントが、特定の製品やサービスを購入するプロセスを調べるのに役立ちます。これらのセグメントの典型的な顧客が、ある問題を認識し、その答えを調べ、自社について知り、自社に関与し、購入して、最終的に購入後の対話をする道のりをマップ化するのです。
顧客体験マップは、顧客が体験に満足できない理由を見つけるのに役立ちます。カスタマージャーニーを視覚化し、改善が必要な分野を特定するために使用します。
両方のマップを活用して、カスタマージャーニーの各段階でのタッチポイントを把握し、そ