現在、植物性タンパク質市場は、ゴールドラッシュのような様相を呈しています。
その市場規模は、2030年までに850億ドルに達するとも見込まれ、熱意あふれるスタートアップや大手ファーストフードチェーン、さらには世界最大級の食肉会社までもが注目し、肉を含まないタンパク質食品を米国全土のレストランメニューや商品棚に加えています。
そんなスタートアップの1つであるEat JUST社(JUST)は、卵のように調理できて、味も見かけも卵にそっくりな植物性の代替食品を販売しています。
JUSTに限らず、この業界の企業は、未知の領域で舵を切っていかなければなりません。
植物性タンパク質は主にどのような用途に使われるのか。どんな人たちが、どんな理由でJUST Eggを買うのか。どのような品揃え・陳列が最も効果的なのか。JUST Eggの価格設定はどうすべきか、価格柔軟性は高いか、低いか。
このような問いに限らず、あらゆる問いに答えるのが、JUSTでインサイト・分析主任を務めるDaniel Scharffの仕事です。
市場セグメンテーションからパッケージのデザインに至るまで、あらゆる側面に関して詳細なインサイトを得るために、Scharff氏はたくさんのアンケートを実施し、すばやくデータを得なければなりません。しかも、あまりコストをかけずに。そこで威力を発揮するのが、インサイトエンジンであるSurveyMonkey Audienceです。
予算の枠内で製品に価格を付ける
JUSTの製品に価格を付ける際、Scharff氏は、まずインサイトの専門家のほとんどが通るであろう道に進みました。JUST製品に適した価格設定を探るために、サードパーティーの調査会社に調査を依頼したのです。しかし、Scharff氏は、費用や所要時間の長さに限界を感じました。
市場調査やインサイトの分野で10年近い経験を持つScharff氏は、調査会社に負けない価格設定調査を自ら設計できます。調査を自分で、短時間で実施するために必要だったのは、質の高い消費者パネルへのアクセスです。
そこで、SurveyMonkey Audienceを通じてアジャイルな市場調査フレームワークを導入し、重要なインサイトを自分で集めることにしました。
「サードパーティーに依頼して4万ドル以上かかった調査が、SurveyMonkey Audienceでは1000ドルで実施できました」と彼は言います。「お金と時間を節約できるので、重要な他のトピックの調査にすぐに移れます。」
Scharff氏が費用を支払ってJUSTの調査を委託したのは、これが最初で最後になりました。以来、多数の消費者セグメントに多数のアンケートを送信して質の高い結果をすばやく入手できるSurveyMonkey Audienceを、唯一の調査エンジンとして使用するようになりました。
「私はこの1年半で40件のアンケートを実施しました。外部に委託していたらいくらかかったか、考えたくもありません。」
Daniel Scharff(JUST インサイト・分析主任)
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「ヴィーガン食品」市場を超えて
Scharff氏の重要な仕事は、どのような消費者がターゲット層なのか、どうすればより多くの消費者にリーチできるかを社内の関係者に伝えることです。つまり、JUSTが新製品の発売を検討している時期に、需要の高さを調べて伝える必要があります。
1つの方法は、SurveyMonkey Audienceで購入意思調査を行うことです。それには、消費者に製品の画像を見せて、買う意思があるかどうかを聞きます。その後、消費者の食習慣などについて質問し、植物性食品をメインにした食生活への切り替えを予定しているかどうかを聞きます。
この調査で判明したのは、JUSTの顧客基盤がヴィーガンで構成されているわけではなく、肉食だが健康上の理由から徐々に植物性の食生活に移行したいという人が多いことです。
「植物性食品のトレンドは、確実に健康指向が土台にあります」とScharff氏は言います。「これは直感的にわかることではありますが、手元にデータがないと明言しにくいことでもあります。」
さらに、Scharff氏は、中核となる顧客セグメントが現在最も卵の消費量が少ない人たちであることを発見しました。つまり、JUST Eggは、卵の消費者にアピールするだけでなく、卵とその代替品の全体的な消費量を拡大させているのです。
これは、JUSTがより広範な消費者市場をターゲットにできることを意味し、その効果は、製品の市場化や顧客プロファイルの作成、市場セグメンテーションなどに及びます。Scharff氏は、それらの作業にもSurveyMonkey Audienceを利用しています。
データを使ったストーリーテリングでビジネスを支える
Scharff氏が集めたデータは、潜在的な流通パートナーにJUST製品の仕入れを説得するときにも役立ちます。たとえば、Scharff氏は、消費者がJUSTの製品をどのように購入しているかを調べました。
SurveyMonkeyを使って、JUSTのメーリングリストに含まれている顧客にアンケートを送信し、製品の使用体験はどうだったか、味や食感が気に入ったか、これまでに何回購入したか、家でどのように使用しているかなどを質問しました。その結果、JUST製品をスーパーの商品棚やレストランのメニューではなくインターネット(SNSやニュースサイト)で見つける人が多いという、有効なデータが得られました。
このようなアンケートで入手したデータは、回答者パネルから得たデータほど科学的ではないものの、なぜJUST製品を品揃えに含めるべきなのかを説明する際に例として役立ちます。現在では、JUST製品はKrogerとWalmartで全国的に販売されています。
もう1つの優れた例は、食品サービス業界のパートナーにJUST製品の需要の高さを示すために、Scharff氏が用意するデータです。
Scharff氏は、2つのバージョンのアンケートを作成します。一方のアンケートで提示されるメニューにはJUST製品が含まれ、もう一方のアンケートのメニューには含まれていません。そして、どちらのバージョンを良いと思うか、何を購入したいか、予算はどのくらいか、などを質問します。
JUSTは、このようなデータすべてを使って、食品サービスに従事するパートナーに植物性卵の需要の高さを伝えています。
「『ご覧ください、X人の消費者を対象にアンケートを実施したら、27%が普通の卵ではなくてJUSTの卵を選ぶと答えているんです。それも、最も頻繁に外食をする人たちです。レストランで植物性卵を使えば、こういう人たちがもっと頻繁に通ってくれるようになります。私のデータを参照すれば平均注文額もわかるので、顧客の注文額は確実にアップするはずです』と言えるわけです。」
重要なのは、Scharff氏がアンケートの中で「どこによく食べに行きますか」という質問をして、データのパーソナリゼーションに役立てていることです。
「そうすれば、特定のレストランの顧客から得たデータだけでこのスライドを作成することができます。『あなたの店の利用客500人を対象にアンケートをしたところ、JUST Eggを希望している人がたくさんいます』となれば、レストラン側にとっては、自分の店だけに関連したデータなので、大きな意味があります。」
最近、ベーカリー・レストランチェーンのLe Pain Quotidienが、主要な卵料理の1つで卵に代えてJUST Eggを使用すると発表しました。
「私の知る限り、これは大手チェーンが動物性タンパク質に代えて植物性タンパク質を本当に採用することに決めた珍しいケースの1つなので、一同沸き立っています。」
Daniel Scharff(JUST インサイト・分析主任)
急成長している業界によくあることですが、植物性タンパク質の市場では毎日状況が変化しています。あらゆる規模の企業が次々に参入してくる中で、JUSTのような会社には大きなアドバンテージがあります。
アジャイルな市場調査フレームワークを使い、質の高い回答者パネルに直接アクセスすることで、Scharff氏は、JUSTが直面するどんな問題についてもアンケートを実施できます。そのため、JUSTの意思決定者は、勘に頼るのではなくデータに基づき、優れた判断をすばやく下すことができます。
Scharff氏にとっては、その自由さが自信の源です。
「最近、バスでSurveyMonkeyの広告を見かけたのですが、そのフレーズが『会社が必要としているヒーローになろう』というものでした」とScharff氏は言います。「Audienceで実施したアンケートからデータを得たときに、まさに実感しました。他の方法では得られない類のデータですし、私は活用方法を知っているのでヒーロー気分になります。」
会社が必要としているヒーローになろう
自分のタイムラインに合わせて独自のデータを入手し、会社で一目置かれる存在になりましょう。