離職率は、特定の期間に退職する従業員の割合を示します。離職率が高い企業では、従業員の満足度が低い、労働条件が悪い、従業員の意欲が低いなどの特徴が見られます。
この記事では、離職率の計算方法について説明するだけでなく、ベンチマーク比較をして離職率の改善に生かし、全体的な従業員体験を向上させる方法もご紹介します。
先ほどもご説明したとおり、離職率は、一定の期間内に退職する従業員の割合を示す指標です。
離職率が低い企業は、従業員の満足度が高い傾向にあり、生産性やエンゲージメント、収益も総じて高くなります。離職率が下がることで職場が変わり、働きやすい職場文化が醸成されます。
離職率は、計算式を使って最終的な割合を計算できます。
こちらが離職率の計算式です。
離職率はこの計算式(または離職率計算ツール)を使って、退職した従業員数を平均従業員数で割った値に100を掛けて導きます。
詳しくは、以下の3ステップで計算します。
例として、年度初めに200人の従業員が在籍しており、年度末には300人に増えた会社の離職率を出してみましょう。年間の平均従業員数は、(200+300)÷2=250 を計算して、250人になります。この年に10人の従業員が退職していれば、年間離職率の計算は 10÷250x100=4 となり、4%ということがわかります。
離職率は計算して終わりではなく、さらに分析を行うことで、従業員体験に関する企業の取り組みが功を奏しているかどうかを確認できます。離職率が一般的な値より高ければ、EVP(従業員の価値提案)や全体的な従業員体験を改善する必要があります。
計算した離職率を常に業界全体や自社の過去のデータとベンチマーク比較して、立ち位置を把握しましょう。同業他社と比較することで、今の方針が正しいかどうかがわかります。その上で、自社の過去の離職率と年単位で比較すると、職場環境が改善しているのか、それとも悪化しているのかが明らかになります。
ベンチマーキングは、従業員体験を継続的に改善しながら離職率を下げようとする企業にとって重要な戦略です。
ここで、離職には自発的離職と非自発的離職の2種類あることを押さえておいてください。
従業員が離職に至る理由はさまざまです。理由は大きく2つの種類に分けられ、それぞれが意味することは異なります。
離職率にはどちらの種類も含まれますが、全体像を掴むために、それぞれの離職率を個別に計算することをお勧めします。
2024年の米国の月間平均離職率は、全業界で2.1%でした。このデータは労働統計局の調査結果から得たもので、過去数年と比べて著しく低い数値です。
ただし、これは全体の平均ですので、小売などの一部の業界は他よりも高いことを忘れてはいけません。業界別の年間平均離職率は以下のとおりです。
離職率の平均値や相対的な高さを調べる場合は、必ず該当する業界のベンチマークを探してください。
高い離職率とは、業界の平均離職率よりも高い数値を意味します。たとえば、先ほどの業界別平均値を基にして、ある医療機関の離職率が高いと言う場合は、年間7.5%を超えていることになります。
離職率が高いか低いかを確認するときには、常に最新のデータをご利用ください。
低い離職率とは、業界の平均離職率よりも低い数値を意味します。たとえば、サービス業(ホスピタリティ)では年間7.2%に満たない場合に離職率が低いと言えます。これが4%ともなれば、業界的に極めて低い数値です。
以上の作業を経て離職率が高いことが判明した場合は、下げるための戦略を練り、対策を講じましょう。
従業員がたった1つの理由で会社を辞めることはほとんどありません。
大抵、次のようなさまざまな問題が積み重なった末に辞めたくなるものです。
このような離職率に影響を与えている要因は、退職アンケートや従業員のモニタリングを実施することで特定しやすくなります。
離職率を下げるために役立つ従業員の定着戦略を6つにまとめてご紹介します。
離職率をベンチマーク比較し、毎月の推移を継続的に測ることで、従業員体験の戦略が成果を上げているかどうかを判断できます。
定期的な測定をしていなければ、長期的な変化を知るための基準となるデータがありません。離職率はぜひ、主要な従業員体験KPIの一つに位置付けてください。
離職率に関するデータが集まれば集まるほど、離職率を下げるために効果的な戦略を立てることができます。
従業員が定着するかどうかには複数の要因が関係しています。これらはすべて、会社が従業員のライフサイクルを通じて提供する体験全般に深く関わっています。
従業員定着の6つの柱と離職率との関係を簡単にご説明します。
従業員エンゲージメントの行動計画を作成するには、まず、定着の柱を理解し、それぞれに取り組むことから始めましょう。
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表彰をすると、従業員の日頃の努力と貢献に感謝していることを伝えることができます。SurveyMonkeyの調査によると、表彰された従業員の63%が、6ヶ月以内に転職を模索する可能性が低いことを示しています。従業員表彰プログラムを立ち上げることは、従業員パフォーマンスの全体像を把握するための1つの戦略となります。
表彰プログラムには、フィードバック文化の一環として従業員の仕事を讃える役割もあります。長期的な視点で、従業員を表彰して感謝の意を示すことで、燃え尽き症候群を減らし、生産性を高め、離職率を下げることができます。
従業員フィードバックは、チームの意欲を高め、従業員体験を向上させる最も効果的な方法の一つです。
従業員ライフサイクルの各段階で従業員エンゲージメントアンケートを実施することもできます。フィードバックを収集し、従業員がその時点で感じていることをより深く理解しましょう。改善の必要な従業員体験の領域を示してくれるでしょう。
従業員フィードバックは、人事評価、1対1の面談、フィードバックアンケートなどで収集できます。
従業員ライフサイクルの段階ごとに、次のような効果的な従業員体験アンケートを利用できます。
採用段階の従業員フィードバックを収集するのに最適なアンケートが、候補者体験アンケートです。このアンケートテンプレートを使うと、採用がどのように行われているかを候補者の視点から確認できます。
候補者体験アンケートではリッカート尺度を使用して、採用プロセスに対する満足度を測定します。
採用後のオンボーディング期間中にフィードバックを収集するための従業員体験アンケートは4つあります。
各アンケートで、オンボーディングプロセスの効果を測定し、従業員がサポートを必要としているかどうかを知ることができます。最善のスタートを切り、離職率の低下につなげましょう。
従業員ライフサイクルの能力開発段階は、従業員が各自の役割に慣れてきた段階です。もっと責任を負い、組織内での影響力を高める機会を求める従業員が増えてきます。
能力開発段階での満足度を測定し、離職率を下げるのに役立つ従業員フィードバックアンケートを3つご紹介します。
SurveyMonkeyの調査では、社内でのキャリアアップの機会が非常に充実していると評価している従業員は、わずか27%でした。上記のアンケートを活用することで、教育を重視する組織へと優先的に取り組むことができます。
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従業員ライフサイクルの中での維持段階は、ベテラン社員からフィードバックを集めるチャンスです。
以下のアンケートを使って従業員の満足度を明らかにし、従業員体験をさらに洗練する機会を探しましょう。
従業員フィードバックを導入して定着率を高め、離職を減らし、職場の満足度を高めましょう。
効果的な退職アンケートの力は侮れません。従業員が退職する際には、ぜひ退職面談の糸口に活用してみてください。
退職面談では、退職する理由を明らかにします。離職の背景にある重大な理由をピンポイントで把握しなければ、対処するための戦略を練ることはできません。
回を重ねるごとに、退職面談を貴重な従業員フィードバックを得る場としてうまく活用できるようになるでしょう。見送ることは残念ですが、その経験をうまく生かせば、最終的に労働条件の改善につながります。
これと併せて、離職に至る前の従業員にステイインタビューも実施すると、ニーズをより詳細に追跡できます。
高い離職率の主な要因の1つは、従業員が今の仕事に行き詰まりを感じていることです。学びや成長の機会がないと、社内で昇進する展望が見えないと感じるかもしれません。
従業員トレーニングの教材やコース、自習モジュールなどに投資して、従業員が成長する能力開発の機会を提供しましょう。以下のような方法があります。
トレーニングやキャリア開発の機会を提供すると、従業員に投資しようとする会社の姿勢を示すことになります。これによって従業員の離職率が下がるだけでなく、チームのスキルを高めることもできるので一石二鳥です。
どこよりも素晴らしい職場で、企業文化にも責任者にも非の打ち所が無い企業であっても、報酬が公平に与えられていなければ、離職率へのダメージを防げません。競争力のある報酬と包括的な福利厚生を整えることが、離職率を下げる最も効果的な方法です。
目指すべき競争力のある条件には、以下のような内容が含まれます。
離職率が極めて低い企業では、上記のような追加条件だけでなく、ほかにも多くの特典を提供していることが珍しくありません。離職率の削減と同時に従業員体験の改善に取り組み、一流の人材を獲得して維持しましょう。
企業の離職率を把握するには、離職率を定期的に計算して監視する必要があります。高い離職率は、従業員体験の問題を知らせる徴候です。
離職率対策を打つことにより、従業員体験を改善し、価値提案を強化できます。SurveyMonkeyを使って、従業員エンゲージメントを追跡・改善する方法をご覧ください。
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