リサは、ウィジェット社の人事部に勤めています。最近、社員が上司に満足していないらしいという噂を耳にするのですが、彼女にはその理由がよくわかりません。そこで、原因を突き止めようと、一対一のミーティングで社員たちと話をしました。ところがミーティングには何の成果もありませんでした。社員たちは、人前で上司のことを悪く言いたくないようなのです。
気が収まらないリサは、今度はアンケートを実施することにしました。アンケートは匿名なので、社員の正直な意見が聞けると思ったのです。机に向かってアンケートの作成に取り掛かりますが、すぐに行き詰り、どうしていいかわからなくなってしまいました。
量的なフィードバックと質的なフィードバックが必要ですか?
自由形式と選択形式の質問が混ざったアンケートを作成して、多様なデータを収集しましょう。
それなら基本的なところから始めよう、とリサは考えます。
これは、「自由形式」または「質的」と呼ばれる種類の質問です。「自由形式」とは、回答者が好きなように答えられることを意味します。
選択肢は提示されません。「質的」と呼ばれるのは、回答の内容が数値ではなく解釈によって判定・測定されるためです。
アンケートを何とか成功させたいと願うリザは、自分ならこの質問にどう答えるだろう、と考えました。
このデータの優れた点は、社員がなぜ上司をよく思っていないのかをリサがまったく知らず、社員が自由に回答できるところです。たとえば、リサに、上司がワークライフバランスを推進しているかどうかについて聞くつもりがない場合でも、回答の中にはそれについて言及するものが含まれている可能性があります。
しかし、自由形式の質的質問には、問題もあります。
1. それっていったいどういう意味? 質的な質問は、あいまいになることがあります。上司についてどう思うかと言うと、それはマネジメントスタイルのこと?それともファッションのセンスとか?時間を守るかどうか?資質や経歴のこと?そういう場合は、より具体的な質問に書き直すとよいでしょう。たとえば、「上司のマネジメントスタイルについて教えてください」のように。
それでも、選択肢が提示されていないので、疑問が残る可能性はあります。同じように上司のマネジメントスタイルについて聞くのでも、次のような質問ならずっと答えやすくなります。
これは、「選択形式」または「量的」と呼ばれる種類の質問です。回答者が、限られた数の選択肢の中から自分の回答を選ばなければならないので、「選択形式」と呼ばれます。また、回答の選択肢を数値に変換できる点が「量的」です。なぜそれが重要なのでしょうか。
2. こんなにいっぱいデータが集まったけど、どうすればいい? どのような質問をすべきかを考えるのも大変ですが、集まった回答をどう役立てればよいかは、もっと難しい問題です。質的な質問をした場合、回答をすべて注意深く読み、共通する点がないか、探らなければなりません。そのうえ、この作業にはバイアスが付き物です。人は、自由形式の回答を読んで、自分が望む形に解釈しがちだからです。そこで効果を発揮するのが量的な質問です。
量的な質問なら、集まった回答の平均を計算するだけなので、何時間も回答を読む必要がなく、スプレッドシートで瞬時に結果が出ます。グループ比較などの複雑な分析もあっという間にできます。各グループの平均を計算して比較するだけでおしまいです!
3. 他にもメリットはあるの? もう一つ、質的な質問について知っておくべきことは、回答に時間がかかるということです。アンケートの回答者にとっては、提示された5つの選択肢の中から1つを選ぶ方が、自分で回答文を書くよりずっと早く終わります。また、前にも述べたように、短いアンケートの方が回答者の集中力や興味が途切れないという利点があります。量的な質問を使った場合、同じ時間でより多くの質問ができる上に、質の良いデータが手に入るのです!できるだけ正確なデータを得れば、正確な判断を下すことができます。
それで、結論は? 質的な質問は、調査対象である人たちの考えを探る際に最初のステップとして大いに役立ちますが、これを最後のステップにしてはなりません。量的な質問を使うと、明確な質問をして簡単に分析し、良質なデータを得ることができます。
まず、時間をかけて具体的な量的質問を考えてみましょう。ここで時間をかけたことを後悔することは絶対にありません。リサも、優れた回答が手に入るような、適切な量的質問が作成できたならいいのですが。