基本的なリモート従業員体験とは何か、なぜ重要なのか、そして従業員フィードバックを使用してリモート従業員の満足度を改善するためのベストプラクティスをご紹介します。
人事担当者にとって従業員体験は、ここ数年でこれまで以上に重要性を帯びています。多くの人事チームが、優れた従業員体験を維持して生産性と仕事の満足度を高めることを目指していることでしょう。
今や米国では2,200万人の成人が在宅で仕事をしており、リモート従業員体験(REX: Remote Employee Experience)は今日の従業員体験において極めて重要な要素になっています。しかし同時に、その特殊な性質により、特化したアプローチが必要です。
この記事では、リモート従業員体験とは何か、リモート従業員体験の測定方法、フィードバックによってリモート従業員の満足度を向上させるベストプラクティスをご紹介します。
リモート従業員体験とは、リモートワーカーが企業での体験について感じている総合的な見方です。従業員が指導部に価値を認められ、積極的に関わり、支援されていると感じているかどうかを浮き彫りにします。リモート従業員体験の改善は、企業の生産性と長期的な成長を促進するために非常に効果的です。
リモートワークをしている従業員は、出社している従業員や、リモートワークと出社を組み合わせているハイブリッド従業員とはまったく異なる体験をします。戦略的に計画を立てることで、リモート従業員が確実にチームとのつながりを感じ、自分の努力が認められていると感じられるようにすることが大切です。リモート従業員体験は、2020年に社会がリモートワークに大きく移行してから従業員体験に加わった、まだ日の浅い概念です。
リモート従業員体験には、従業員のオンボーディングから退職まで、あらゆる体験が含まれます。仕事でのあらゆる瞬間が、会社に対する従業員の感情と仕事の満足度に影響を与えているのです。
因みに、リモート従業員体験は、デジタル従業員体験(DEX: Digital Employee Experience)とはまったく異なる概念です。デジタル従業員体験は、リモートワーカーが日常業務の中で使用するデジタルツールにまつわる体験を指します。従業員が職場のテクノロジーを扱う体験の質と、それに対する従業員の感情を測定します。
デジタル従業員体験とリモート従業員体験は、どちらも従業員の全体的な体験を向上させ、チームの効率と意欲を高めるために役立ちます。ただし、デジタル従業員体験では、特に職場のテクノロジースタックに焦点を当てるという違いがあります。
リモート従業員体験の主要な要素は何でしょうか。特に大きな影響を与える領域として以下が挙げられます。
以上の主要な要素が組み合わさって、堅牢なリモート従業員体験の基盤が構築されます。これらの要素がうまくかみ合っていなければ、リモート従業員は会社で陰ながら苦しむことになりかねません。
人事部は、従業員体験の管理によって企業文化と生産性を促進することで、リモートワーカーにとってプラスの従業員体験を生み出すことに貢献します。従業員体験管理は人事担当者の責任であり、リモート従業員体験もこの範囲に含まれます。
人事チームは、優れた企業文化の体験、同僚や指導部とのやり取り、円滑な仕事用テクノロジーの使用ができるように努めます。そこで、リモート従業員がフィードバックをする機会を導入すると、リモート従業員体験のイノベーションを推進することができます。定期的にフィードバックを推奨して収集することで、人事担当者が従業員体験を改善し、リモートチーム間の信頼を築くことができます。
リモート従業員体験は、快適で生産的なリモートワークの基盤です。リモート従業員への投資は、事業の成長と成功につながります。ポジティブなリモート従業員体験からは、次のような効果が期待できます。
リモート従業員が自分の役割に満足していると、最高のパフォーマンスを発揮しようという意欲が高まります。その結果、個人の生産性が高まり、ひいては会社の生産性も向上します。満足度が高い従業員は、エンゲージメントの低い従業員よりも生産的です。
生産性の向上は、事業の生産量の増加、顧客体験の向上、そして利益の増加につながります。
可能な限り最高のリモートワーク体験を提供すれば、一流の人材を惹きつけて維持し、離職率と人員減少のコストを削減するのに役立ちます。調査によると、従業員の入れ替えにかかるコストは人件費の半分から2倍に及ぶ可能性が指摘されています。離職率の削減は、人材募集と採用にかかるコストを節約する効果的な方法です。
従業員エンゲージメントは、会社やその成功に対して従業員がどれだけ打ち込んでいるかを測定します。つまり、会社に対する従業員の関与や熱意を表します。熱心な従業員は、従業員体験が期待どおりだと感じており、自分の役割に満足しています。
リモートまたはハイブリッドな職場環境にある熱心な従業員は、利益を増やし、チャーンを減らし、生産性を向上させます。リモート従業員のエンゲージメントは、従業員エンゲージメントアンケートまたはエンゲージメント管理ツールで測定できます。
優れたリモート従業員体験を提供すれば、新規従業員の採用プロセスも強化できます。もしもリモートワークを望む人材が希望する就職先トップになれれば、スキルを備えた専門的人材がより多く集まります。
リモートワークの人気が高まるにつれて、優れたリモート従業員体験は採用活動に欠かせなくなりました。2024年4月に実施されたSurveyMonkeyの従業員アンケートによると、何らかの形で現在リモートワークをしている16%の従業員を大幅に超える28%の従業員がリモートワークを希望しています。
リモート従業員体験をモニタリングすることで、会社のワークフローと全体的な成功に影響を与えることができます。リモート従業員の生産性と満足度を確認するため、以下の方法でリモート従業員体験を測定しましょう。
リモート従業員体験に関する最も貴重な情報源が従業員フィードバックです。これがあれば、水面下に潜む問題を推測する必要はありません。従業員と直接対話することで、日々の業務をどのように感じているか、フィードバックを収集することができます。
リモート従業員体験の測定の出発点としておすすめなのが、従業員フィードバックアンケートの定期的な送信です。従業員体験フィードバックを利用して、リモートワーカーの職場体験を形作り、現在のリモート従業員体験に対する従業員の感情の変化を追跡できます。
従業員の意欲を最大化するには、従業員エンゲージメントの各種モニタリングツールが役立ちます。フィードバックの収集やアンケート結果の分析、表彰活動をサポートするツールの他、リモート従業員を繋ぐエンゲージメントアプリなどもあります。柔軟に対応できる従業員エンゲージメントソフトウェアを使用して、パフォーマンス管理と従業員チェックインを合理化しましょう。
人事担当者がリモート従業員体験を測定するのに役立つ重要業績評価指標(KPI)には、次のような項目があります。
従業員体験の測定は、リモート従業員体験を改善するための第一歩です。リモート従業員からの適切なデータとフィードバックを収集せずには、何から着手すればよいか分からないでしょう。
Slackが共同設立したリモート従業員体験指数(REI)は、企業がリモートワークの全体的な体験を評価するための評価ツールです。リモートワークに関連する特有の課題と機会を評価して対処するための構造化されたフレームワークで、最終的にはリモートワークをしている従業員の成功と健康の増進に貢献します。
リモート従業員体験インデックスを採用することで、企業はリモート従業員データを追跡・利用し、情報に基づいた意思決定を行って、リモート従業員体験戦略を改善することができます。これには、リモート従業員から職場環境ややり取り、リソース、仕事の満足度などに関するフィードバックを得るためのアンケートや評価が含まれます。
リモート従業員体験を改善するには、個人に合わせた戦略的アプローチが必要です。人事担当者がリモート従業員体験を強化するためのテクニックにはいくつかあります。主な方法とその仕組みをご紹介します。
従業員体験のギャップとは、従業員が職場で期待している体験と現実の体験との間の違いです。この差を埋め、リモート従業員体験と従業員の期待をできる限り一致させることができれば、総体的な仕事体験は大幅に改善されます。体験のギャップを把握するには、従業員フィードバックアンケート、提案ボックス、あるいは対話などを活用しましょう。
Kincentric社の調査によると、従業員の実に49%が、会社で約束された体験が提供されていないと感じています。多くの従業員は、パンデミックの時期に雇用者から感じられた気遣いや思いやりがなくなっていると感じています。パンデミックは特殊な状況でしたが、今後も会社が体験のギャップを埋めることのできる方法はあります。
会社は、リモート従業員の精神的および実際的なニーズに対応することで、協力的で育成的な職場環境を育むという体制を維持することができます。
リモートワークのオンボーディング体験を更新すると、従業員満足度が大幅に向上します。リモート従業員が必要なオンボーディングとトレーニングを受けられるように、アンケートを送信してフィードバックを集めましょう。
従業員フィードバックを活用して、リモートオンボーディング体験を調整し、最適化します。従業員を対象にアンケートを実施し、最善のオンボーディングとトレーニングを提供するために改善が必要なポイントを特定しましょう。
優れたオンボーディング体験で、自社のリモート従業員体験がどのようなものかを明確に伝え、リモート従業員がチームと共同作業できるように適切に準備を整えられるように最適化してください。
リモートワークを行う環境は、在宅勤務をする従業員にとってシームレスでなければなりません。リモート従業員が仕事をするために必要なすべてのテクノロジーにアクセスできるようにします。このテクノロジースタックには、コミュニケーションツール、専用のデジタルプラットフォーム、ワークフロー管理ツールなどが含まれます。
チームのコミュニケーションとコラボレーションはリモート従業員体験の主要な部分です。リモート従業員が自宅で仕事をしているときにも同僚との繋がりを感じられるよう、手軽に使えるコミュニケーション方法が必要です。SlackやMicrosoft Teams、GoogleのG Suiteなどのツールを使って、リモート従業員間の距離を埋めましょう。
リモート従業員が仕事で最大限の能力を発揮できるよう、トレーニングとサポートを提供します。従業員によって、以前リモートワークで働いた経験がある人もいれば、初めてで慣れるまで支援を必要としている人もいます。
リモート従業員向けのトレーニングとサポートプログラムでは、デジタルに強い人材を生み出すためのベストプラクティスを教授します。ワークフロー管理の指導から仕事用デバイスの技術サポートの提供まで、トレーニングに投資するとチームの生産性と成果が向上します。
従業員の表彰を取り入れると、リモート従業員体験を大きく向上できます。リモート従業員に感謝の気持ちや帰属意識を醸成し、孤立感や疎外感を解消するのに役立ちます。リモート従業員の努力や成果を認めることは、意欲を高め、仕事の満足度、会社に対するロイヤリティを高めることにもつながります。
さらに、従業員の表彰によりリモート従業員が繋がりを感じ、関与されていると感じるため、意欲が高まり、最終的にリモートワーク環境が強化されるのです。
リモート従業員体験を継続的に最適化することで、長期にわたって従業員の満足度と意欲を維持することができます。採用直後はリモート従業員体験に満足するかもしれません。しかし、その後の体験でも満足度を維持するには、どうしたら良いでしょう?答えは、継続的な改善です。
SurveyMonkeyのアンケートテンプレートを使えば、リモート従業員からフィードバックを収集し、体験を改善することができます。従業員フィードバックを活用して、リモート従業員体験を継続的に更新することが、従業員の全体的な体験を向上させる一番の方法です。
企業が最高の従業員体験を構築して維持するためには、一貫性があるフィードバックをタイミング良く得ることが重要です。定期的にフィードバックを収集し、エンゲージメントを監視することで、改善すべき分野を見つけ、システムやプロセスを進化させてチームを支援することができます。
上記で説明した取り組みはすべて、前向きな職場環境と従業員のリモート体験における満足度の向上に貢献します。
SurveyMonkeyが、リモート従業員体験と従業員エンゲージメントの向上にどのように役立つかをご覧ください。
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