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フィードバックで組織の透明性を高め、信頼関係を築く

フィードバックで組織の透明性を高め、信頼関係を築く

リーダーの多くが、全社ミーティングやメール、ハドルミーティング、Slackを通じて部下と常にコミュニケーションを取れている、と考えています。どれも有効な手段ですが、特に一方通行型のコミュニケーションが多い場合には、部下は満足していない可能性があります。

従業員は、水面下で起きていることを知りたいと考えています。すべてを包み隠さずに知らせて欲しいと望んでいるのです。たとえば、どのような理由で、どのような過程を経て決定が下されているのか。自分の役割が全体像のどこに組み込まれているのか。どうすれば会社の目標に貢献できるのか。何がうまく行っていて、何がうまく行っていないのか、その理由は何か。 

透明性が実現されると、従業員のモチベーションは大幅に高まります。例えて言うなら、フットボールの試合で選手に小型のマイクを装着してプレーしてもらうようなものです。マイクが、タックル時の接触音や呼吸音、相手プレーヤーの怒鳴り声など、あらゆる音を拾ってくれます。臨場感あふれる情報を得て、チームや組織の内部で起こっていることが洞察できると、自分がその状況の一部であるという実感が強まります。

透明性を実現するには、リーダーが関連情報を積極的に従業員に提供する必要があります。しかし、一方通行ではいけません。フィードバックは、上層部から従業員へ、従業員から上層部へと、両方向に流れることが大切です。それさえ実現できれば、フィードバックは組織の透明性を確立するための貴重なツールになります。

SurveyMonkeyの最近の調査から、フィードバックを奨励している企業では、そうでない企業に比べて、自分のニーズを上層部に理解してもらえていると感じる従業員の数が2倍に上ることが判明しています。

上層部にニーズを理解してもらえていると考える従業員の割合

また、フィードバック文化を支持する企業は、透明性のメリットを受けやすいです。従業員が自分の意見を尊重してもらえていると感じるかどうかから、エンゲージメントの高さ、人事部や経営陣に対する感じ方まで、フィードバック文化は、人事関連のほぼすべての側面を改善します。

私自身について言えば、配信するための文章を書いたときに、チームの他のメンバーに意見してもらうことが多いです。「これって共感してもらえると思う?」と聞くのです。そうすると、自分とは違う観点からのフィードバックが返ってくることが多いので、できるだけそれを活かすようにしています。

チームの意見に耳を傾けると、彼らが率直なフィードバックを集めるためにチームが普段どのような工夫をしているのかがわかります。フィードバックをもらうこと、そしてフィードバックに基づいて行動を起こすことで、リーダーとチームの間に確固とした信頼関係が生まれます。

これは簡単ではありません。フィードバックをもらうということは、肯定的な意見だけでなく、批判も受け取ることになります。厳しい批判をおそれる気持ちこそ、リーダーがフィードバックをもらうのを躊躇する最大の理由です。しかし、それを克服することは、全員、特にフィードバックを提供しても無意味だと感じることが多い従業員にとって、大きな助けになります。

SurveyMonkeyでは、フィードバックの提供を拒否した従業員に、その理由を聞いてみました。すると、ほぼ半数が、フィードバックを提供しても実際に何かが改善されるとは思えないと答えたのです。これは「不信任」投票であり、経営陣はそれを受け止めて行動を起こすべきです。

従業員がフィードバックを提供しない理由の表

現実として、従業員のフィードバックが常に変化につながるわけではないでしょう。しかし、透明性の確保に取り組んでいる組織は、フィードバックを活用して従業員に関連情報を提供することで、取り組みに参加してもらい、責任を共有することができます。 

これが、組織の透明性を確保するために必要なもう1つの重要な要素、「信頼」につながります。直感的には、信頼している人からフィードバックを得ようと考えるでしょう。同僚や上司、あるいは利害関係のない人などです。まず信頼関係を築いておけば透明性を実現しやすいと考えるのは自然です。

しかし実際は、逆です。透明性から信頼が生まれるのです。否定的な意見をおそれずにフィードバックを依頼する謙虚な態度が、門戸を開き、フィードバックの提供者を率直かつ協力的にさせます。透明性こそが、信頼関係を築く手段なのです。

そして、企業のトップが誠実でオープンな形で透明性を実現すれば、部下もそれを見習うでしょう。

何もかもがうまく行っているなら、透明性を確保することは難しくありません。ミーティングで発表する結果や指標がすべて上向きであれば理想的ですが、実際にはそうでないのが普通です。どんな企業でも、従業員はさまざまな課題に直面しています。非現実的な販売目標。意味を成さないと思える戦略変更。残った人の負担を増大させるようなリストラ。

問題が生じている状況で、上層部は、謙虚になる必要があります。「思ったような結果が出ませんでしたが、私たちはこのように考えてこのような判断を下しました」と言えばいいのであって、それほど難しいことではありません。そしてうまく行かなかった理由が判明したら、すぐにそれを説明することが大切です。

従業員は、多くの情報を入手する術を知っており、そのすべてが社内のコミュニケーションチャネルから来るわけではありません。SNS、求人サイト、会社の口コミサイトなど、さまざまなところで、意外なほど多くの情報が交換されています。つまり、従業員は、何が起こっているかを把握するために必要以上にインサイトやコンテキスト情報を期待しているのです。

実際には、そういったコンテキスト情報を上層部が常に持っていたり、共有できるわけではありません。透明性とは、全員にすべてを伝えることを意味しません。大切なのは、共有できる情報、あるいは確実に真実である情報を共有して信頼を得ることです。組織の全レベルにおいて、なおかつ、オンボーディングから1対1ミーティングや全社ミーティングに至る従業員ライフサイクルの全ステップで、信頼を築く必要があります。

従業員は、一貫した透明性を体験することで、何かが起こった場合でもすぐに正確な情報を知らせてもらえると確信します。

チーム文化を受け入れる必要があります。サンフランシスコのタイトエンドであるジョージ・キトルが小型マイクを装着して試合に出場したとき、彼がポジティブで陽気な、リラックスした態度でオフェンスを統率し、スタッフも含めたチーム全体の雰囲気を良くしていることが伝わってきました。これは、チームメイトのフレッド・ワーナーがその懸命さでディフェンスのパフォーマンスを引き上げていたのと対照的です。

重要な点は、従業員から信頼を得るためには、ミクロ文化が大切だということです。小さなチームのミクロ文化には、独特なやり方や目標、人間関係があり、それは組織全体の文化とは異なることもあります。しかし、それを問題視する必要はなく、従業員が忠誠心やエンゲージメントを感じてくれれば十分です。チームのミクロ文化を尊重し、支援することで、フィードバックをやり取りしやすい環境が確立されます。

だからこそ、リーダーは、組織全体のフィードバックシステムが各チームに合っているか、うまく機能しているかを確認する必要があります。これには、従業員と組織の間に永続的な関係を築き、従業員の勤続年数を長くするという効果があります。

透明性は、最終的には、優秀な従業員を維持し、ポテンシャルの高い人材を採用するのに役立ちます。候補者に、どのような仕事なのか、どのような会社なのかを詳しく知らせることで、組織に合った人材を採用し、維持することが可能になります。

組織エキスパートのConstantinos Coutifarisと共同で作成されたアンケートテンプレートを使い、会社が従業員に対してどれほどオープンかを測定してみましょう。