ところが、アンケートには質問が57もあり、答えるのに1時間もかかるため、完了率は18%を下回りました。ステーションマネージャーにフィードバックを与えてくれるはずの結果レポートも、とても長くて解釈が難しく、ただ大量のデータを提示するだけのものになってしまいました。「アンケートでは、出発地・目的地から、最近12ヶ月間にホテルに泊まったかどうかまで、あらゆることを聞きました」と、グレイハウンド社の商業分析マネージャー、Matt Schoolfieldは言います。「会社にとって価値のある情報ばかりではありませんでした。」
その後、乗車後のアンケートは、解釈して措置を講じるのが難しすぎるという理由で脇に追いやられてしまいました。Net Promoter Score®(NPS)は低下し、ステーションへの苦情は十分に把握されず、ステーションマネージャーは方針も計画も与えられずに孤軍奮闘するしかありませんでした。
アンケートの単純化
Mattは、カスタマーサービスを改善する上でフィードバックが重要であることを承知していました。そこで、アンケートの実施プロセスを単純化してくれるだけでなく、ステーションマネージャーに実用的でわかりやすいフィードバックを提供してくれるような新しいプラットフォームを率先して探しました。
グレイハウンドは、すでに使用しているSalesforceと組み合わせてアンケートが実施できるよう、SurveyMonkeyエンタープライズを選択しました。Mattは次のように言います。「Salesforceを活用している当社にとって、SurveyMonkeyの決め手は2つありました。GDPRを理解していること。そして、Salesforceに対応していることです。これは重要な条件なのです。」
同社は、Thematicも導入しました。これは、SurveyMonkeyと統合することで自由形式の回答の識別・数量化・視覚化を可能にするAIプラットフォームです。新たなプラットフォームを導入したMattは、アンケートプロセスの改良に着手しました。
冗長なアンケートの代わりに質問が5つしかないアンケートを作成し、NPS質問と自由回答形式の質問も1つずつ含めました。回答率は94%に達し、データはThematicのダッシュボードを使ってステーションマネージャーと共有されました。顧客からの指摘が多かった問題がハイライトされ、顧客のコメントを読むのにかかる時間は、1週間あたり3時間から3分に短縮されました。「ほんの数ヶ月で当社のNPSスコアは15ポイント近く上昇しました」とMattは言います。「データがまったく違う形でマネージャーの手に渡るようになったのです。それを、まったく違う形で活用できるようにもなりました。」
Mattは、乗車後のアンケートを送信する方法も改良しました。「乗車後のアンケートは、24時間後にメールで送るようにしています。Salesforceでトリガーされるので、パーソナライズが可能で、乗車の完了日時が自動的に特定されます。」メールに記載されているリンクをクリックして回答する人は、全回答者のおよそ85%を占めます。Mattが次に計画していることは、出発地と目的地の質問をなくし、Salesforceに保存されている確認番号にその情報を紐づけることです。
データを掘り下げてステーションのパフォーマンスを改善
SurveyMonkeyをThematicと統合したグレイハウンドでは、自由回答のテキストを手動で分析する必要がなくなりました。Thematicでは、自由形式の回答から自動的にテーマが検出され、NPSなどのスコアへの影響が計算されます。
SurveyMonkeyとThematicを組み合わせることで、フィードバックがずっと理解しやすくなります。「それまで配布していた報告書は、巨大な通信簿のような感じで、データが詰め込まれていて読みにくいものでした。」1年後には、ステーションマネージャーの85~90%が日常的にログインして地元にある特定のステーションのレポートを確認するようになりました。グレイハウンドのアナリストやステーションマネージャー、経営陣は、膨大な数のコメントに目を通す代わりにThematicのダッシュボードにログインし、何が顧客のロイヤリティや満足度を高めるのかをすばやく確認しています。
自由形式の回答に、短いアンケートで得たNPSその他の指標を関連付けられるようになると、他の方法では見逃しがちな実用的なインサイトが表面化します。ある事例では、Thematicがトイレに関する苦情をNPSの低下と結びつけました。そこで点検してみたところ、トイレは清潔です。なのに、引き続き否定的なフィードバックが寄せられました。結局、Thematicは、自由形式のフィードバックの中に原因を見つけました。清掃員が1人しかいないため、最も混雑する時間帯に女性用トイレが45分間も掃除のために閉鎖されていたというのです。本当の原因がわかったところでステーションが対策を講じ、NPSは大幅に上昇しました。
乗り換えを減らし、収益を増やす
グレイハウンドは、今では会社レベルで価値を高めるためにアンケートデータを使っています。アンケート指標と収益項目を結びつけることで、機会や改善領域を発見する手段が特定できました。
「最近、SurveyMonkeyを使って大規模な客離れアンケートを実施しました」とMattは言います。「グレイハウンドに1回乗った後、戻って来ない顧客の割合を知りたかったのです。また、何が理由で戻って来ないのか、も。」
Mattは取引データを分析し、顧客がなぜグレイハウンドを選ばなくなったのかをアンケートで調べました。
「アンケートからは、定時運航率やチケットの価格、ステーションの状態などなど、いろいろな問題が明らかになりました」とMattは言います。「顧客が戻って来ない理由が理解できました。」
Mattは、調査を次のレベルへと進めました。「定時運航率のアンケートスコアが上がると特定の額だけ収益が増えることが判明しました。それがゲームチェンジャーとなりました。」結果を知ったCEOが、フィードバックの価値を広めるようになったのです。
「アンケート指標がいかに価値あるものか、顧客が持つイメージがいかに大切かがわかりました」とMattは言います。「それに、収益性の向上に直結する領域を特定することができました。」
Net Promoter、Net Promoter System、Net Promoter Score、NPS、およびNPSに関連する絵文字はベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。