事業を成功させるためには、顧客フィードバックが不可欠です。顧客フィードバックは、製品・サービス・やり取りを改善する際の指針となり、より良い顧客体験(CX)へと導いてくれます。
CX専門家の89%が、顧客体験とチャーン(離脱・解約)は関連していると考えていることから、フィードバックプログラムへの投資は、会社の存続に欠かせないものと言えます。B2BとB2Cを同じものと捉えることはできませんが、コア戦略は共通しています。このガイドでは、あらゆるビジネスモデルを対象に、成功する顧客体験を提供するための基本をご紹介します。
顧客フィードバックは、製品・サービスの強みや改善分野に関する顧客の意見を明らかにしてくれるため、今日の市場において重要な意味を持ちます。顧客のニーズを理解すれば、体験の改善やイノベーションの促進、ロイヤリティの構築につながる決定を、十分な情報に基づいて下すことができます。
フィードバックプログラムは、顧客の意見を体系的に収集し、会社が顧客を大切にしていることを実証し、ブランドの評判を高めます。
顧客フィードバックには、製品・サービス・やり取りに関するレビュー、反応、苦情、提案、意見などが含まれます。これらのフィードバックを集めて分析すれば、顧客のニーズを理解し、顧客満足度を高めることが可能になります。
フィードバックを収集する手段には、次のようなものがあります。
フィードバックは、顧客の感情や要望を明らかにしてくれるため、顧客体験の効果的な改善に役立ちます。次のようなことが可能になります。
フィードバックプログラムは、顧客体験や満足度、利益、成長率を高めます。
多くの組織がフィードバックを利用して製品・サービスを強化しています。SurveyMonkeyと提携している企業の一部をご紹介しましょう。
ゴールデンステイト・ウォリアーズは、30のアンケートを実施して2万件の回答を収集し、そこで得たフィードバックに基づいてチェイスセンターでのファン体験を改善しました。データをユーザー体験の強化に役立てたことで、Net Promoter Score®(NPS)が19%向上しました。
家族計画を支援するCarrotは、会員のニーズを把握するためにSurveyMonkeyのHIPPA準拠機能を利用しました。SurveyMonkeyとZapierの統合により、データ配信を効率化することができました。Carrotは、HIPAAに完全に準拠しながら、決めかねていた患者の50%に、Carrotが提示する理想のケアパスに従うよう説得することに成功しただけでなく、全会員の体験も改善しました。
顧客フィードバックプログラムを成功させるためには、上層部やチームによるサポートが不可欠です。会社が現場で収集したデータは、顧客の91%がポジティブな体験をしている、といった統計よりも説得力があります。
フィードバックの収集や分析、行動への変換を行う主要な関係者を特定します。関係者には、次のような人が含まれます。
サポートを確保するため、顧客フィードバックの価値を示します。
効果的な顧客フィードバックプログラムを作成するには、明確な目的・目標・KPIが必要です。目的・目標・KPIが明確であれば、会社の目的に沿って各チームに実用的なインサイトを提供するプログラムが実施できます。
顧客フィードバックシステムを正当化するには、目標を会社全体の目的に合わせる必要があります。まずは明確で達成可能な目標を設定し、価値のあるインサイトが得られる分野に集中しましょう。
現在の課題を評価し、それを具体的な目標に変換すれば、会社全体の目的に沿ったプログラム目標を設定できます。
目的: 顧客満足度の向上
目標: 第4四半期までにNet Promoter Scoreを15%高める
KPI: NPSスコア
NPSアンケートを通じて、6ヶ月間にNPSを15%向上させることを目標とします。フィードバックを追跡し、それに対処することで、改善機会を特定します。
目的: 製品の使いやすさを改善する
目標: タスクの完了にかかる時間を20%短縮する
KPI: 平均タスク完了時間
タスク完了時間を20%短縮することを目標とします。重要なタッチポイントの後にフィードバックを収集することで、やり取りを合理化し、使いやすさを改善します。
目的: 顧客維持率を改善する
目標: 第3四半期の顧客離脱率を10%下げる
KPI: 四半期離脱率
顧客維持率を高めるために、第3四半期までに離脱率を10%下げます。この目標を達成するためには、フィードバックを分析し、変更を実施し、顧客との関わりを深める必要があります。
この章では、顧客フィードバックを収集・分析する方法、そしてインサイトに基づいた変更を実施する方法を検討します。
顧客フィードバックは、営業、顧客体験など、部署によって異なります。主に次のような種類があります。
複数のチャネルを利用して包括的なフィードバックを得ましょう。
アンケートでは、ブランディングからサポートとのやり取りまで、さまざまなトピックをカバーし、顧客体験を柔軟に測定することができます。
インタビューでは、奥の深い質的インサイトが得られます。
フォーカスグループでは、グループで会話をする中で顧客の意見や嗜好を調べます。
市場調査では、業界全般に関するインサイトを得て競合他社をモニタリングすることができます。
SNSをモニタリングすれば、ブランドに関するリアルタイムのフィードバックを感情分析ツールで分析することができます。
顧客に迷惑だと思われない頻度やタイミングを見極めましょう。フィードバックの頻度についてアンケートを行い、インサイトを得ることもできます。
カスタマージャーニーの主要なタッチポイントでフィードバックを収集します。重要な場面を特定すれば、効果的なフィードバック戦略が立てられます。カスタマー ジャーニー マップを利用して有効なタイミングでフィードバックを捉え、顧客体験のモニタリングを継続的に改善しましょう。
アンケートは、顧客フィードバックを集めて顧客体験を改善するための効果的な手段です。ここでは、特に貴重なインサイトを提供してくれるアンケート形式をご紹介します。
Net Promoter Scoreは、「この会社を他の人に薦める可能性はどの程度ありますか」という質問を通じて顧客ロイヤリティを測定します。顧客をその回答に基づいて推奨者・中立者・批判者に分類することで、ブランド感情の長期的な追跡がしやすくなります。
CSATアンケートは、特定のやり取りに対する満足度を5段階で評価してもらうもので、主要なタッチポイントにおける顧客満足度の評価に役立ちます。
カスタマー エフォート スコア(CES)は、顧客から見たやり取りのしやすさを測定します。エフォート(労力)が低ければ低いほど、推奨してもらえる可能性が高まります。CES質問をカスタマイズして問題点を特定しましょう。
カスタマー サービス アンケートは、サポートチームのパフォーマンスを測定するもので、サービスやトレーニングの改善に役立ちます。
購買体験フィードバックは、チェックアウトプロセスにおける手続きの簡単さや支払い方法などを評価します。
離脱アンケートでは、離脱した顧客からインサイトを集め、改善分野の特定や、顧客の決定の理解に役立てます。
これらのアンケートを利用すれば、顧客の満足度やロイヤリティを高めることができます。
顧客フィードバックを改善に役立て、効果的な顧客フィードバックループを確立しましょう。
データからグラフを作成すると、意味が明確になります。製品の好みを強調するには棒グラフや円グラフ、複数選択の質問には折れ線グラフが適しています。
電話、チャットなど、異なるタッチポイントでの顧客満足度を評価します。大きな差がある場合は、さらに調査を行い、新たなインサイトを得る必要があります。
パターンを見極め、因果関係や相関関係を理解します。たとえば、会議について否定的なフィードバックがあった場合に、それがイベント自体に対するものなのか、場所に対するものなのかを調べることが大切です。正確なインサイトを得ることで、満足度の改善が可能になります。
アンケート結果の分析ももちろん重要ですが、アンケートの価値を大きく高めるために必要なのは、結果を適切なチームと共有することです。ここでは、顧客フィードバックをプログラムの関係者と効果的に共有する方法をご紹介します。
関係者がデータをインサイトに変換できるようにしましょう。高度なシステムが必要なわけではありません。大切なのは、データを必要とする人に提供することです。主な戦略には、次のようなものがあります。
完全な透明性: 包括的なデータ分析を必要とする同僚には、アンケートをすべて共有します。
フィルター: フィルターを使って特定のデータを表示し、「表示のみ」の権限を与えて結果を共有します。
グラフ: プレゼン用のグラフをPDF形式またはPowerPoints形式でエクスポートします。
統計優先: 詳細な分析を可能にするため、回答をSPSSまたはCSV形式でエクスポートします。
ダッシュボード: 直感的な結果ダッシュボードを使い、データを簡単に見やすく表示できます。
CRM: SalesforceなどのCRMと統合して通知を自動送信します。
フィードバックループを閉じる
顧客フィードバックを継続的に得るためには、フィードバックに応え、インサイトを行動に変換することが大切です。顧客のコメントを認識し、変更を実施し、フィードバックの継続的な提供を推奨することで、効果的なフィードバックループを確立します。
顧客フィードバックループを閉じることで、次のようなメリットが生じます。
プロセスの改善には、マーケティング・製品・販売の各チームを始めとする内部関係者の関与が欠かせません。フィードバック計画を明確に伝えてチームが効果的に行動できるようにすれば、顧客ロイヤリティだけでなく従業員体験も向上します。TeamsやSlackなどのプラットフォームを利用してチームに定期的に最新情報を提供しましょう。
アンケートの最終ページに、お礼の言葉や、これまでのフィードバック行動に対する回答を表示します。文の内容は、目的やフィードバックの種類によって異なります。
ポジティブなフィードバックをもらったときの回答例:
ネガティブなフィードバックをもらったときの回答例:
{Name}様、[Company]の価格設定についてご意見いただき、ありがとうございました。当社では、価格が重要であることを理解し、現在、7月に導入する新たな価格階層の検討を詰めているところです。それまでの間、1ヶ月間のトライアルを割引価格でご利用いただけます。ご連絡をお待ちしております。
この最後の章では、顧客フィードバックプログラムを強化し、進捗を測定し、戦略を調整し、堅牢なシステムを作成する方法をご紹介します。
顧客中心の文化を確立することが大切です。顧客体験の改善に焦点を置く企業は、収益を増やし、満足度や長期的なロイヤリティを高めることができます。従業員が直面している問題に対処することで、顧客中心に物事を考える職場が育まれ、優れた顧客体験を提供できるようになります。
顧客体験を理解すれば、的を射た従業員トレーニングが提供できます。合理的な顧客体験を提供できるよう、スキルを強化しましょう。定期的なトレーニングとリソースの提供により、特に現場の担当者が、顧客とのやり取りを改善できます。
指標やフィードバックを継続的に測定し、改善分野を特定します。顧客体験指標の追跡を通じて、プログラムの成功が確認できます。改善と経済的な成功の関連を明らかにして、上層部のサポートを得ましょう。
従業員の貢献を承認すると、優れた顧客体験を提供しようとする意欲が高まります。失敗から学ぶことでアプローチを継続的に改善し、チームを強化して顧客満足度の向上を促進しましょう。
SurveyMonkeyのガイドでは、顧客・上層部・従業員を満足させるプログラムを作成するためのベストプラクティスをご紹介しています。体験を改善すれば、利益が増え、顧客の満足度が高まります。SurveyMonkeyは、フィードバックを収集・分析する包括的なプラットフォームです。今すぐ始めましょう。
Net Promoter ScoreおよびNPSは、Bain & Company, Inc.、Fred Reichheld、Satmetrix Systems, Inc.の登録商標です。
SurveyMonkeyが好奇心に火をつける様子をご覧ください
顧客満足度アンケートテンプレートですばやくデータを集め、問題を特定し、顧客体験を改善しましょう。
Ryanairは、毎月5万件のCSATアンケートをSurveyMonkeyとMicrosoft Power BI統合で追跡し、顧客体験を改善しています。
woomがSurveyMonkeyで大規模な多言語アンケートを実施して、従業員の体験を改善し、顧客からの洞察を獲得した方法をご覧ください。
職場のトレンド、ワークライフバランス、自宅勤務、リモートワークと出社勤務の違いに関する新たな調査