あまり良くない話を耳にしたために、あるブランドの商品を避けたことはありませんか。サービスが期待外れで、製品の購入をやめたことはありませんか。
そんなとき、買わなくなった理由を会社側に伝えていますか。
顧客体験(CX)の改善を担う側からすれば、消費者の方から意見が寄せられることは期待できません。自分の方から対話を始めるために、会社の顧客の声(VOC)プログラムを支え、実施し、維持しなければなりません。
顧客の声(VOC)の定義: VOCとは、製品やサービス、ブランドとの顧客のやり取りを体系的に収集・分析・監視することを意味します。
VOCプログラムは、顧客体験(CX)全般にとって重要な意味を持ちます。その本質は、顧客フィードバックに基づいて行動を起こす取り組みです。第一の目標は、顧客の期待と会社のパフォーマンスの隔たりをなくすことです。効果的なVOCプログラムを実施すれば、顧客の期待を超えられるように従業員をサポートできます。
多くの会社が、アンケートやフィードバックフォーム、フォーカスグループなどを使って顧客からフィードバックを収集しています。しかし、VOCプログラムは、ただフィードバックを収集するだけではありません。会社のためにVOCプログラムを作成するときは、顧客のエンゲージメント・ロイヤリティ・満足度をビジネス戦略の核に据えます。優れたVOCプログラムには、次のようなものが必要です。
優れたVOCプログラムの最も重要な条件は、実用的であることです。会社は、問題を特定して解決し、変更を従業員や顧客に伝えることで、顧客フィードバックのループを閉じます。
この記事では、VOCプログラムを作成する方法を計画から実施、維持に至るまで詳しく見ていきます。すぐに始められるように、ヒントや主要なVOC指標、リソース(顧客の声アンケートテンプレートなど)もご紹介します。
VOCプログラムの新設や、既存のプログラムの一新には、時間とリソースがかかります。本格的な計画を立てる前に、次のような情報を集めて上層部に提示し、賛同を得る必要があります。
上層部の賛同が得られたら、社内の多数のチームと共同作業を行いましょう。関係者の一人ひとりが顧客体験に対して独自の意見を持っているため、さまざまな改善方法を見出すことができます。
目標や成功の定義がチームによって異なる可能性があります。そこで、まず会社全体の目標(「顧客満足度の評価を10%改善する」など)を設定し、各チームに独自の目標の設定を促します。
これが顧客中心の取り組みであることを忘れないようにしましょう。製品チームは、オンボーディング体験を改善して登録数を増やしたいと考えるかも知れません。しかし、VOCプログラムの文脈では、製品チームとカスタマーサービスチームを連携させた方が効果的です。カスタマーサービスにオンボーディング体験の問題点を指摘してもらい、製品チームがそれに対処することで、カスタマー サービス チケットの数を減らすという目標が達成できます。
主要な関係者と話し合い、顧客や見込み客が購入前、購入時、購入後にブランドとどのようにやり取りするかを考えます。これは、カスタマー ジャーニー マップと呼ばれるもので、フィードバックを収集する機会を特定したり、個々のタッチポイントについて学んだり、顧客体験のギャップを埋めたりするのに役立ちます。一般的なタッチポイントは、購入時だけでなく、購入の前後にもあります。例をいくつか挙げてみましょう。
カスタマー ジャーニー マップを作成するときは、顧客にフィードバックを依頼する時、場所、頻度に注目します。それによってアンケートを調整し、より効果的に計画・追跡することができます。
カスタマー ジャーニー マップを作成して関係者との整合性を取り、ビジネス目標を達成する方法をご覧ください。
顧客の声(VOC)フィードバックには、構造化されたものと構造化されていないもの(量的と質的)があります。
構造化されたデータとは、量的または測定可能なデータを指します。たとえば、顧客を対象にアンケートを実施し、会社の製品を再度購入する可能性を評価してもらうとしましょう。回答は、選択肢の中から選ばれるため、結果は「76%の顧客が製品を再度購入すると回答した」のように数値で表現できます。
構造化されていないデータとは、質的で測定不可能なデータです。たとえば、購入体験アンケートでは、会社の製品を再度購入する可能性が「大いにある」理由について、回答者に答えてもらいます。回答者は、用意されたテキストボックスに回答を詳しく記入します。記入された回答文から、数値の背後にある「なぜ」が理解できます。
顧客体験の全体像を把握したいなら、両方のタイプのデータを収集するのが理想的です。効果的なVOCプログラムの一環として顧客の意見を定期的に集める方法をいくつかご紹介しましょう。
顧客体験の理解に役立つ業界標準のVOC指標はいくつかありますが、ここでは最も広く利用されているものを3つご紹介します。
消費者があなたの会社を友人や同僚に薦めてくれる可能性は、どれぐらいあるのでしょうか。この問いに対し、簡単に数値化できる追跡可能な答えを与えてくれるのが、Net Promoter Score®(NPS)アンケートです。NPSアンケートには、次のような特徴があります。
会社のやり取りをした顧客は、特定の作業を難しいと感じたでしょうか、簡単と感じたでしょうか。カスタマー エフォート スコア(CES)を利用すると、顧客がソフトウェア製品を使用しているときや、特定の問題を解決しようとしているときに改善が必要な点を理解することができます。CESアンケートは、次のような特徴を通じてVOCプログラムの充実化に貢献します。
全タッチポイントで顧客フィードバックの収集を開始したら、各データセットを調べ、発見事項を比較する必要があります。
顧客の声を聞くための戦略を立てたら、NPSの低下や低い顧客満足度スコアなど、差し迫った問題に注目し、対策を練ります。
長期的には、会社で堅実なVOCプログラムを維持できるようなフレームワークを作成する必要があります。いくつかアイデアをご紹介します。
満足している顧客は、ロイヤリティが高く、ブランドを他の人にも薦めてくれます。しかし、VOCプログラムには、その他にも簡単には気づかないようなメリットがあります。
VOCプログラムを作成することで、従業員が顧客体験に直接影響を及ぼすことが可能になります。顧客中心の目標を設定するようチームに働きかけ、目標達成時に報酬を与えることもできます。
フィードバックの収集は、反応的であることが多く、顧客がブランドとのやり取りの後でどう感じたかを理解することしかできないのが普通です。VOCプログラムでは、積極的なフィードバックの収集が可能です。フォーカスグループ、顧客インタビュー、ソーシャルリスニング、ユーザー調査などの手段を使って、新製品のアイデアを見つけたり、消費者の問題を解決したりできます。
ポジティブな顧客フィードバックややり取りは、説得力のあるブランドストーリーを語る際に有効で、マーケティング資料からWebサイト、SNSプラットフォームまでさまざまなチャネルで利用できます。
市場調査、ユーザーインサイト、カスタマー サービス フィードバック、SNSインタラクション、アンケート結果: すべてのデータが合わさって、顧客体験の全体像を描き出します。しかし、データがサイロ化していると、トレンドを見出すのが難しく、各チームが行動を起こせる重要な機会を見逃してしまいます。
関係者やチームに働きかけ、それぞれの発見事項を責任を持って報告するか、1ヶ所で共有するようにしてもらいましょう。SalesforceやHubSpot、MailChimp、Zendesk、Zoomなどのアンケート統合を通じて、フィードバックの収集と管理を簡素化することができます。
アンケートを送信しても返って来る回答が少なく、統計的に有意な結果が得られない場合は、VOCプログラムの一環としてアンケートの監査を行うことを検討しましょう。これは、1つひとつのアンケートをアンケート ベスト プラクティス チェックリストに照らし合わせて品質を点検する作業です。
顧客がアンケートを無視するのは、アンケートが長すぎるから、あるいは分かりにくいからかも知れません。専門家が作成したアンケートテンプレートや、顧客満足度アンケートの質問を利用して十分な数の回答を得るのも良いアイデアです。
それでもまだ回答が少ない理由がわからない場合は、ぜひCSATの回答率を向上させるためのヒントと、CSAT質問のベストプラクティスをご覧ください。
顧客を満足させるという目標を掲げただけでは、顧客の問題の解決を優先する気にならないチームもあるでしょう。そのような場合は、顧客満足度を収益に結び付ける必要があります。たとえば、顧客満足度を改善することのROIを示すために、顧客1人を維持できた場合の生涯価値と、製品を再び購入する気があると答えた人の数を掛け合わせます。
関心の薄いチームには、説得力のある調査を提示して、意義を理解してもらいましょう。SurveyMonkeyの調査で判明した重要な事項の中に、顧客の75%は製品内体験が良くないとその会社に失望する、というものがあります。
その時々の顧客感情を捉えるVOCプログラムを設計しましょう。以下のベストプラクティスは、顧客との対話や関係者の整合、効果的な変更に役立ちます。
SurveyMonkeyの専門家が作成したVOCアンケートテンプレートを使えば、数分でアンケートが実施できます。もう少しアドバイスが必要なら、SurveyMonkeyでVOCプログラムを強化する方法をご確認ください。
Net Promoter、Net Promoter Score、NPSは、Satmetrix Systems, Inc.、Bain & Company Inc.、Fred Reichheldの登録商標です。
顧客満足度アンケートテンプレートですばやくデータを集め、問題を特定し、顧客体験を改善しましょう。
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