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アンケート回答率を高めるインセンティブを活用する

アンケートに報酬を付ける利点と欠点を知りましょう

アンケートで直面する最大の課題の1つが、回答率の低さです。

あらゆるベストプラクティスに従って、目標を適切に設定し、完璧な下書きを作り、対象者層を明確に絞ったとしても、最終的なプロジェクトの成功は回答者の手にゆだねられています。

どうしたらアンケートへの回答を促すことができるのでしょうか?結果を脅かすバイアスをかけることなく、アンケート回答者へのインセンティブを設定する一番の方法は何でしょう?

インセンティブの提供がアンケート結果に及ぼす影響について理解するには、そもそも人々がアンケートに応える理由をまず理解する必要があります。人がアンケートに答える代表的な理由を先行研究では3つ指摘しています。

  1. 人の役に立ちたい
  2. アンケートのトピックに興味がある
  3. 一般的にインセンティブの形で提供される、物理的な利益のため

この最後の理由により、アンケート作成者たちはインセンティブや景品報酬をアンケートに付けることを考えるのです。しかし、インセンティブの提供を考える前に、いくつか検討すべきことがあります。

回答者は、アンケートに回答する代わりに動機付けとなるようなお礼、すなわちインセンティブを貰います。たいてい現金や、景品と交換できる「ポイント」などですが、インセンティブは様々な形が考えられ、回答率を高めるためだけでなく、時間を割いてもらったことへの感謝を示す役割もあります。

インセンティブの提供は一見、双方に利益のみがあるように思えますが、ちょっと話がうま過ぎます。気を付けていなければ、見当違いの母集団(または回答者グループ)がインセンティブに引き寄せられ、意見を提供する恐れがあります。さらに、インセンティブのみが目的の回答者は、深く考えることなく適当にアンケートを終えようとするかもしれません。

適切なアプローチを選ぶために、提供できるインセンティブの種類と、提供するタイミング、そして最後にアンケートにインセンティブを付ける利点(と欠点)を詳しくご紹介します。

インセンティブには主に、金銭的なものとそれ以外の2つの形があります。金銭的インセンティブは、現金や小切手、為替、ギフトカード、クーポンなど金銭的価値があるものに換算できるものです。金銭以外のインセンティブは、ペンやノートなどの感謝を示す粗品が一般的に使われますが、カタログや、SurveyMonkey Audienceのパネリストに提供されているチャリティーへの寄付なども選択肢として挙げられます。

回答率を高める効果で言えば、現金が一番効果的なことが先行研究で明らかになっています。現金のインセンティブが何よりも回答率を押し上げてくれるのです。この点で言えば、粗品などの非金銭的インセンティブは金銭的インセンティブほどの効果は発揮しません。そしてご想像の通り、より高額な金額、より魅力的な粗品ほど、回答率を高めます。とは言え、ある地点まで達するとインセンティブの価値を上げても大して回答率の改善に貢献しなくなります。

アンケートのインセンティブに完璧な金額や価値は決まっていませんが、提供するインセンティブの種類と価値を決める際に考慮すると良いポイントが3つあります。

  1. アンケートプロジェクトの予算
  2. インセンティブの提供方法
  3. アンケートのターゲット母集団

金銭的インセンティブの現金を提供することに決め、ターゲットの母集団は医者であるとしましょう。医者はいつも患者の対応で非常に忙しいので、貴重な時間をアンケートに割くに値する金額にすべきと思い、価値の高いインセンティブを設定しようと考えます。アンケートに最後まで回答してくれた医者1人に$100の現金を渡したとしても法外とは言えないかもしれません。ただし、学生であればきっと同額を提供する必要はないでしょう。

非金銭的インセンティブの提供を決めた場合はどうでしょう。ターゲット母集団の全体に魅力的なインセンティブを選ぶ必要があります。学会終了後のフィードバックアンケートに答えてもらうよう、教育者と学生に対して働きかけたい場合を考えてみます。教科書をインセンティブとして無料で配るなどという方法は避けた方が良いでしょう。必要以上に多くの学生が回答したがる上に、教員や教育研究者は大して興味を持たないでしょうから。代わりに、ノートやペンといった学用品を提供するのはどうでしょう。学生にも教育者にも必需品です。同様に、来年の学会の参加費割引を提供すると、今回の学会で満足した人はアンケートに回答したくなるかもしれませんが、来年出席するつもりの無い人には自分の意見をシェアする動機付けにはなりません。

金銭的であれ非金銭的であれ、インセンティブとして何を提供するか、そしてどの位の価値にするかを十分に検討することが重要です。インセンティブの選択を誤ると、非常にバイアスのかかった回答者グループになってしまい、実用的なデータが得られなくなります。

提供するインセンティブの種類を決めたら、次に、アンケートを完了する前にターゲット母集団に渡してしまうのか(前渡し)、それともアンケートを完了した後に回答者のみに提供するのか(約束)を決めなければなりません。

アンケートのインセンティブに関する何十年にもおよぶ研究によると、前渡しのインセンティブの方が回答率を高めることが明らかになっています。しかし、オンラインアンケートでこの方法を実行することは通常難しく、回答の有無に関わらず全員に提供するため、コスト高になる傾向があります。約束型のインセンティブは、回答後にギフト交換券をメールで送信したり、粗品を宅配で送るなど、もっと手軽に実行できます。

約束型のインセンティブを選んだら、もう一つ決めるべきことがあります。宝くじ、ラッフルくじ、それとも福引きにするか、そして、一部の回答者のみにあげるのか、全員にあげるのか。たとえば、1人だけに当たる$200のギフトカードを獲得するチャンスをすべての回答者に提供することもできますし、すべての回答者に$2ずつのギフトカードを提供する方法(全員へのインセンティブ)もあります。

Webアンケートで言えば、全員への約束型インセンティブが回答率を高めることがすでに示されています。アンケートを完了したすべての回答者に、割いた時間へのお礼が提供されるからです。しかし、くじの影響についてはまだはっきりしていません。オンラインアンケートに関してはまだ、くじによるインセンティブがあるアンケートの方が、インセンティブ無しのアンケートよりも回答率が高くなるという決定的な調査結果は出ていません。

ただし、くじを使ったインセンティブを使用する場合に考慮する2つのポイントがあります。1点目は、合法的に実施する必要があり、そのルールは州や国によって異なることです。法を犯すことがないよう、必ず法律の専門家に相談してください。

個人情報の問題が2点目です。回答者は多くの場合、回答の秘密保持と匿名性を気にします。約束型のインセンティブでは通常メールアドレスや住所などの個人情報を集める必要があるため、回答者の情報を保護する適切な対策を講じて、個別の回答は個人が特定されない、個人情報とは切り離した形で利用することを回答者に知らせます。この手順を怠ると、個人を特定されたくない、デリケートな質問への回答をしてもらえなくなる可能性があります。

インセンティブは回答率を上げるのに役立つことを証明してきましたが、回答率が高いこととアンケートにバイアスがかかっていないことは同義ではないことを頭に留めておく必要があります。ターゲット母集団とは似ても似つかない回答者グループが集まる場合もありますし、バイアスを誘発するインセンティブを提供したがために、回答者と非回答者で非常に差が出る場合もあります。

また、インセンティブをそもそも必要としないアンケートがあることも覚えておいてください。特に顧客満足度アンケートでは、インセンティブを提供することでフィードバックの質に問題が生じる可能性があります。前渡しのインセンティブを受け取った場合、回答者はより肯定的なフィードバックのみを提供するでしょう。あるいは、インセンティブを得るためだけにフィードバックを提供しようとするかもしれません。このような状況では、アンケートのインセンティブ提供をやめて、その予算をフォローアップのアンケートに有効活用しましょう。

インセンティブを使うのに適した状況は、希少な母集団を対象とする場合や、従来からあまり回答しないグループの人々(ノンレスポンダー)を対象にアンケートを実施しようとしている場合です。医者のように希少な母集団は、対象者を見つけるのも難しいうえ、時間をかける優先順位の高い仕事が多くあるため、インセンティブ無しよりもインセンティブ有りの方が圧倒的に効果があります。ノンレスポンダーの場合、ターゲット母集団にアンケートを配信した後でさらに回答を集める必要があれば、同じグループにもう一度連絡を取って、まだ回答していない人に追加のインセンティブを提示すれば、サンプルにバイアスをかける心配がありません。

どこから始めればよいかわかりませんか?すべての対象者にアンケートを実施する前に、まずは小さな回答者グループに対していくつか異なるインセンティブを試してみるのはいかがでしょう。検討しているインセンティブが本当に効果的か、そしてインセンティブの提供によって可能な限りベストな、バイアスのない回答者の標本が得られるかを見極められでしょう。

この記事は、SurveyMonkeyのアンケート101プロジェクトの中で発表されたものです。SurveyMonkeyは、より多くの方を対象にスマートなアンケート作成をお手伝いしたいと願っています。プロジェクトの詳細と調査コミュニティへのSurveyMonkeyの参加についてご覧ください。

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