従業員フィードバックを定期的に収集することは、意欲的で忠実な社員を育成するための鍵であり、職場文化の改善や従業員満足度の向上、雇用主ブランドの強化につながります。
このガイドは、従業員数が10人または1万人であっても効果的なフィードバック戦略を立てられるようお手伝いします。最新の従業員に関するインサイトや、従業員フィードバックの例、始めるために必要なリソースについてご覧ください。
従業員フィードバックとは、仕事や職場、総合的な従業員体験に関する意見・インサイトを指します。企業や団体は、フィードバックを次のようなことに役立てています。
企業・団体の多くが、複雑な従業員体験について調べるため、構造化したフィードバックプログラムを実施しています。フィードバック管理を効果的に行うためには、目標の設定、進捗状況の追跡、早めの改善が必要です。
SurveyMonkeyが2024年4月に行った従業員アンケートでは、回答者の3分の1以上が、最近退職を考えたことがあると答えています。米国の労働者のおよそ50%が、Gallupの定義する「静かな退職者」に該当します。他にも、次のようなことが明らかになりました。
このようなインサイトも、改善への取り組みに役立つことはあるでしょう。しかし、自分の会社・団体の従業員が実際にどのような体験をしているかを知ることには、それ以上の価値があります。従業員フィードバックを収集すれば、定着率が大幅に高まるような、職場に合った変更が実施できます。
エンゲージメントの高い従業員は、パフォーマンスも比例します。従業員を支援すると、会社の目標が早く達成できます。Gallupは、2023年度の調査で、エンゲージメントの低さから生じるコストは全世界で8.8兆ドルに上ると報告しています。
従業員のエンゲージメントが高まると、顧客体験が向上します。顧客の問題の解決に積極的になり、力を貸してくれそうな同僚に声をかけることが多くなります。
従業員フィードバックの収集は、有能な人材を惹きつけて定着を促すための鍵です。フィードバックの管理プロセスが構造化されれば、従業員体験全体が向上します。
従業員のエンゲージメントと満足度は、すでに入社前から始まっています。求人応募者や面接候補者から定期的にフィードバックをもらえば、全員に公平な審査プロセスが提供できます。候補者体験を測定・追跡することで、雇用主ブランドとしての評判を調べて、優秀な人材を惹きつけるために改善の必要な分野を特定しましょう。
新規採用者からフィードバックを集めて、オンボーディングや従業員トレーニングを最適化しましょう。教材の有効性や、オンボーディングにおける関与度について調べます。プロセス全体でサポートを感じているかどうかを特定します。インタラクティブなオンラインクイズを使って会社の価値観や手順、ポリシーを再確認してもらいましょう。クイズのスコアから、オンボーディングプロセスが成功だったかどうかのインサイトが得られます。
従業員パフォーマンス管理システムを導入して、フィードバック文化と透明性を確立しましょう。上層部と従業員の両方にセルフレビューを実施してもらい、成長の機会を特定します。また、チームのパフォーマンスを追跡すれば、サポートや新たなプロセスを必要としているチームが特定できます。
従業員フィードバックを効果的に集めるためには、主要な関係者に、収集・分析・実施を協力してもらうことが大切です。まず、経営陣や他の重要な部署と話し合い、フィードバックプログラムの中で関係者とその役割を考慮します。
人事担当者の22%が、従業員フィードバックを収集する際の最大の課題は、経営陣のサポートが得られないことだと答えています。優先事項や職場文化の形成を担うのは経営陣であるため、そのサポートがなければ、フィードバックへの取り組みは行き詰まります。ここで、全社的なプログラムを強力に売り込む方法をご紹介しましょう。
充実したエンゲージメントの高い従業員は、顧客体験と生産性の向上に貢献します。経営陣のサポートを得るために、従業員フィードバックプログラムのROIを提示しましょう。
企業・団体であれば、あらゆる目標の中に、顧客や従業員の維持率(定着率)の目標もあることでしょう。それぞれの意味を明確にし、従業員フィードバックプログラムが目標の達成にどのように役立つかを説明します。具体的な方法は、次の章でご紹介します。
フィードバックプログラムの実際の効果を示したケーススタディを共有します。SurveyMonkeyでは、従業員フィードバックが、職場文化の形成やマネージャートレーニングの改善に役立ち、あらゆるレベルのリーダーを対象とした新たなコースの実施につながりました。経営陣からサポートを得るきっかけとなるような例を、自分の周りで探してみましょう。
まず、パイロットプログラムを通じて従業員フィードバックのアプローチをテストしてから、規模を拡大しましょう。
プログラム全体を開始する前に、必要に応じてプロセスに変更を加えます。
従業員にフィードバックを依頼することで、従業員を尊重する姿勢や、職場を改善する意欲を示すことができます。目標を設定してKPIを追跡し、プログラムの効果を確認しましょう。成功を測定する方法の例をいくつかご紹介します。
次のような従業員体験での過程に関するフィードバックを収集できます
従業員体験の全体像を把握するために、異なるチャネルとデータ形式で従業員のフィードバックを収集できます。
GlassdoorやIndeedのような求人サイトでレビューに目を通し、XやLinkedInのようなSNSプラットフォームに従業員・候補者が意見を投稿していないか確認しましょう。業界向けのサイトにも注意を向けます。守備に回るのではなく、フィードバックを利用して改善に取り組みましょう。
従業員ライフサイクルには、採用候補者や元従業員の体験を含め、従業員と組織の間で交わされるあらゆるやり取りが含まれます。
採用から退職まで、従業員ライフサイクルの各段階でフィードバックを集めましょう。収集したインサイトは、職場や文化を変化し優秀な人材を引きつけて維持するのに役立ちます。
候補者の考えを理解し、雇用主ブランドの強化と採用プロセスの改善に役立てましょう。不採用の人も含めた面接の参加者全員に候補者体験アンケートを送信し、面接体験に関するフィードバックを集めます。
新入社員をすばやくオンボーディングし、ポリシーや組織、社員の役割などに関する主要な情報を提供しましょう。従業員フィードバックをオンボーディングの改善に役立てる方法をご紹介します。
オンボーディングプロセスを合理化する。オンボーディングが早ければ早いほど、従業員が早く仕事に取り掛かれます。新入社員オンボーディングアンケートを使って、オンボーディングプロセスのどこを改善すべきかを特定しましょう。次のような質問を含めます。
教材を改善する。オンボーディングやトレーニングが対面かリモートかに関わらず、プレゼンテーションやアクティビティが参考になったか、十分な情報が提供されたかを特定しましょう。参加者に新入社員トレーニングクイズを送信して、オンボーディングで提供された情報を従業員がどの程度理解したか、どの程度覚えているかを確認します。次のような質問を含めます。
新入社員の成功を支える。オンボーディングは、入社後の数週間で終了ではありません。定期的に従業員フィードバックをもらいましょう。
30日オンボーディングアンケートを送信して、入社後の従業員オンボーディングの効果を調べましょう。次のような質問を含めます。
次に、60日オンボーディングアンケートを送信して、新入社員の状況を確認します。これにより、新入社員に、サポートされている安心感を与えられるだけでなく、オンボーディングの継続的な効果が確認できます。次のような質問を含めます。
最後に90日間オンボーディングアンケートを実施して、オンボーディング体験全体に関する最終的な従業員フィードバックをもらいます。このアンケートは、新入社員が与えられた役割になじんだか、十分に支援されていると感じているかを理解するのに役立ち、成長機会についての話し合いを始めるきっかけになります。次のような質問を含めます。
会社は、十分な成長機会を提供していますか。キャリアアップは、候補者にとって2番目に重要な要素です(44%)。従業員フィードバックを使って、十分な成長機会が提供されるようにする方法をご紹介しましょう。
従業員が自分のキャリア形成に満足していることを確認する。また、さらなるキャリアアップの可能性を感じているかどうかも大切です。キャリア開発アンケートを実施して、従業員に満足度を評価してもらうこともできます。
自己評価と成長に関する対話を優先する。キャリア開発や仕事の業績に関する定期的な対話を、アンケートを通じて定型化することができます。たとえば、この従業員レビューアンケートは、成長やインパクト、目標に焦点を当てた自己評価アンケートです。このアンケートを受け取った従業員は、フィードバックを通じて上司との重要な対話を進めます。このアンケートには、次のような質問が含まれます。
採用や能力開発にエネルギーを注いだ後は、従業員のエンゲージメントや満足度が低下しないように、達成感や充足感を感じているかどうかを確認しましょう。
従業員エンゲージメントを高める。従業員は、意欲的でしょうか。決定権を与えられているでしょうか。ワーク エンゲージメント アンケートを使って、従業員のやりがいを測定しましょう。このアンケートを定期的に実施すれば、従業員体験を改善し、エンゲージメントを長期的に追跡することができます。このアンケートでは、従業員が次のような質問文に回答します。
従業員の燃え尽き症候群を予防する。近年、従業員の間で燃え尽き症候群が身近な問題となっています。従業員がどのように感じているかを確認しましょう。その上で、ストレスを減らすための対策を検討することが大切です。ワークライフ バランス アンケートを実施して次のような質問をします。
インクルーシブな職場文化を育む。多様で有能な人材を惹きつけるための最良の方法は、ビロンギング(所属意識)やインクルージョンを優先する職場文化を築くことです。ただし、職場が多様であれば十分かと言えば、そうではありません。ある調査によれば、労働者の60%が、マイクロアグレッション(自覚のない差別行為)と考えられる行為を職場で目撃しています。
従業員が十分なサポートを受けていると感じているかどうかを、定期的に確認しなければなりません。ビロンギング(所属意識)とインクルージョンアンケートを実施することは、職場における不平等を特定し、解決するための第一歩です。次のような質問を含めます。
魅力的な福利厚生を提供する。福利厚生パッケージは、競争の激しい求人市場において有能な人材を維持するための重要な要素です。SurveyMonkeyが最近行った調査では、人事担当者の54%が、従業員への投資が必須である分野として、福利厚生を挙げています。報酬・福利厚生アンケートを使って、次のような質問をしましょう。
従業員の退社は、入社と同じぐらい重要な意味を持ちます。従業員が会社を去るときは、その理由を探ることが大切です。退職アンケートは、現在勤めている従業員や将来入社する人が長く勤務し、高い意欲を維持できるよう、より魅力的で充実した職場文化を築くのに役立ちます。退職面接アンケートでは、次のような質問をします。
従業員が、あなたの組織を優れた職場として推薦してくれる可能性はどの程度あるでしょうか。これは、従業員ロイヤリティを測定するための標準として業界で確立された質問です。従業員Net Promoter Score(eNPS)を計算することで、従業員のエンゲージメントや組織にかけるエネルギーをすばやく把握できます。eNPSアンケートで、従業員フィードバックを収集するためのヒントとベストプラクティスをご紹介しましょう。
SurveyMonkeyの調査では、人事担当者のほぼ半数(48%)が、DEIが優秀な応募者の採用に大きく影響していると答えています。この数値は、人事がリードしている企業ではさらに高くなります(55%)。職場文化のインクルージョンを測定するためには、DEIアンケートを実施します。集まった従業員フィードバックから、どこがうまく行っているか、成長の余地はあるかを特定できます。
仕事に対するエンゲージメントが高い従業員は、充実感が強く、意欲的です。組織の方向性に賛同して積極的に仕事をする従業員は、パフォーマンスや定着率が高いだけでなく、有能な人材を惹きつけることにも貢献します。これらのアンケートを使って、従業員エンゲージメントのさまざまな側面を測定しましょう。
福利厚生は、近年、ますますその重要性を増しています。Forbesのレポートによると、雇用主の40%が、従業員が転職するのは充実した福利厚生を求めているからだと考えています。また、労働者の10%が、福利厚生が充実しているなら給料が下がってもかまわないと答えています。あなたの会社では、従業員が福利厚生に満足しているでしょうか。これらのアンケートを使って調べてみましょう。
特に、定期的なレビューや評価を年に1~2回しか実施しない組織では、従業員を対象に長めのアンケートを行う必要が生じる場合があります。しかし、定期のフィードバックサイクルの外でも、パルスサーベイを使って従業員フィードバックをすばやく収集し、感情を追跡する会社が増えています。
従業員を対象にアンケートを行う場合、従業員は、丁寧なフィードバックを提供するために、仕事にかける時間を削らなければなりません。そこで、より多くの人から、正確な回答がもらえるようにするためのベストプラクティスをご紹介しましょう。
従業員フィードバックアンケートの多くは、デリケートな話題に触れています。従業員や求職者は、キャリアや採用選考への影響を恐れて、率直なフィードバックの提供をためらうかもしれません。
従業員が安心して回答できるように、回答が匿名であること、集計した形でしか使用されないことを伝えます。匿名の従業員アンケートを送信するには、アンケートの設定で「匿名回答」を有効にします。
従業員フィードバックの内容は、すぐに古くなってしまうため、定期的に収集して感情の変化を把握することが大切です。
さて、従業員フィードバックが手に入りました。次は、判明した事柄をまとめ、大きなテーマへと分類する必要があります。そうして現在の立ち位置を確認してから、どのように前進していくべきかを決定します。
アンケートデータを分析するときは、選択回答形式の回答の数とパーセンテージに焦点を置きます。仕事の満足度に見られるトレンドなどは、グラフを使用して視覚化します。
フィードバックを分析した後、インサイトを行動に移します。
行動計画の一環として、アンケートの分析結果や、従業員フィードバックに基づいて決定した措置の内容を従業員に報告することが大切です。それにより、従業員の意見を尊重している姿勢が示せると同時に、時間をかけて有意義なフィードバックを提供してくれたことに感謝することができます。
行動計画では、対策の基となったフィードバック、責任者、当面のステップなどの要点を明らかにする必要があります。変更の実施までに時間がかかる場合でも、内容を明確に伝えることが大切です。
敬意あるパフォーマンスレビューを行うための、明確なプロセスを確立させましょう。マネージャーには、効果的なフィードバックセッションのフレームワークを提示します。この後、例をご紹介します。
従業員フィードバックは、継続的なものであり、定期的にもらうことでエンゲージメントや成長、会社の成功の原動力とすることができます。
フィードバックループを閉じて、あらゆる関係者に情報を行き渡らせます。
従業員の自己評価を実施して、各自のインパクトや成長について考えてもらいます。
一貫したレビューサイクルを維持し、フィードバックに基づいて調整します。
大きな変更があった場合は、直後にパルスサーベイを実施して、問題に早目に対処します。
優先事項の変化に合わせて、プログラムの目標を見直し、調整します。
フィードバックプログラムを定期的に評価し、改善します。
準備はできましたか?従業員の声に耳を傾けましょう
始めませんか?
従業員のエンゲージメントとモチベーションの違いを理解し、どちらも従業員に促す具体的な方法を見つけましょう。
従業員の生産性は、従業員のビジネスへの貢献度を測定します。生産性を算出し、改善します。
従業員のエンゲージメントを高め、継続的に学ぶ文化を築き、成功に導くためのリーダーシップの育成プログラムを構築する方法を学びましょう。
従業員ライフサイクルに関する詳しいガイドを通じて、従業員の管理とエンゲージメントを強化しましょう。
Net Promoter ScoreおよびNPSは、Bain & Company, Inc.、Fred Reichheld、Satmetrix Systems, Inc.の登録商標です。
人事リーダー向けのこのツールキットは、比類なき従業員体験の構築をサポートします。
全関係者に正確な関連情報を提供し、組織の透明性を実現しましょう。
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