奨学金等に関する現況調査 |
日本私立大学協会附置 私学高等教育研究所
「私立大学の財務・財政に関する研究プロジェクト」
【趣 旨】
「高等教育の修学支援新制度」は開始から6年目を迎えています。大規模な奨学金制度が始まったことは低所得層からの進学促進の観点から意義があるものの、厳しい学業要件や個人補助にもかかわらず機関要件を課しているなど、制度上の課題が見られます。また、新制度に係る事務処理上の負担が重くのしかかっており、通常の大学の業務に支障や負担が生じています。
2024年度には中間層への拡大のために新規拡充区分(世帯年収380~600万円程度)が設けられ、該当する多子世帯の学生には全額の4分の1が、私立理工農系の学生には文系との授業料差額が支給されることになりました。今年度からは多子世帯の学生に対して所得に関わりなく入学金・授業料を減免するなど、制度の拡充がなされています。
しかし、かねてから指摘されていた世帯年収の僅かの差による崖効果や国私間格差は解消していません。当初から問題を含んでいた学業要件や機関要件は更に厳格化されており、特に、定員充足率や財務に関する対象外要件の強化は、私立大学への圧力になると同時に対象学生の限定をもたらしています。このように新制度は、現時点においてなお検討すべき課題を抱えています。
そこで、本研究所では、2022年に引き続いて「奨学金等に関する現況調査」を実施することにいたしました、修学支援新制度を中心に私立大学の実情を把握し、高等教育研究者による分析を行うことで、私立大学の発展に資する政策提言に繋げたいと考えています。
この調査では大学名をご記入いただきますが、個別名称は出さず、私立大学全体を客観的な視点から分析いたします。可能な範囲でご回答いただききたくお願い申し上げます。
外部環境が大きく変化する中で、私立大学が社会からの要請に応え、持続的発展を図るための岐路に来ています。本研究が、各私立大学の中長期戦略に有効なものとなるよう、調査・分析を進めたいと考えております。
学務ご多忙の折に甚だ恐縮ではありますが、ご協力のほど、お願い申し上げます。
プロジェクトリーダー
浦 田 広 朗
(桜美林大学 教授/私学高等教育研究所 研究員)